米国とイランの一時停戦合意を受け、4月8日の市場は急騰しました。日経平均は歴代3位の上げ幅を記録し、相場のムードは一変したかに見えます。しかし、この反発は過度な警戒感の反動や買い戻しの側面が強く、警戒は解けません。依然として不透明な情勢と、来週から本格化する日米の企業決算。調整局面を脱し上昇トレンドを描けるか正念場です。
中東の一時停戦合意で国内外の株式市場が急反発
今週の株式市場ですが、8日(水)の取引で国内外の株式市場が急騰する場面がありました。
そのきっかけは、「米国とイランが2週間の一時的な停戦に合意した」と報じられたことです。さらに、それに合わせて、イランのアラグチ外相がホルムズ海峡の安全な通航を可能にすると表明したことも安心感を誘い、原油価格が下落したことも追い風となりました。
<図1>国内外主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年4月8日時点)
図1は、昨年(2025年末)を100とした、国内外の主要株価指数のパフォーマンスを比較したものですが、全ての株価指数がチャートの右端に当たる4月8日(水)に大きく上昇しています。
とりわけ、日本株の上昇が目立っており、この日の日経平均株価の上げ幅は前日比で2,800円を超え、歴代3位の大きさとなっています。
相場のムードが一変したような印象も与えていますが、翌9日(木)の国内株市場では、日経平均や東証株価指数(TOPIX)が売りに押されて下落に転じており、「急騰した株式市場が今後も上昇を続けていけるのか?」についてはいまだ不透明感が漂っています。
「強気のわな」は継続中
確かに、8日(水)の株価急騰は目立ってはいるものの、直前まで米国によるイランへの地上軍事作戦の実行が警戒されていた状況からの急展開というサプライズや、下方向への意識が醸成されていた中で増えていた売り方が慌てて買い戻す「ショートカバー」などが、株価の上げ幅に寄与したことが考えられます。
さらに、8日(水)の国内外の株価指数の上昇率(前日比)を見ると、日経平均が5.39%、TOPIXが3.32%、ダウ工業株30種平均が2.85%、S&P500種指数が2.50%、ナスダック総合指数が2.80%、上海総合指数が2.69%、香港ハンセン指数が3.09%、印センセックスが3.95%、欧州600指数が3.88%となっており、他の株価指数と比べても日経平均の上昇率の大きさが際立っています。
日経平均は半導体関連銘柄など、値がさ株の影響を受けやすい株価指数ですが、半導体関連銘柄で構成される米SOX指数の上昇率が6.33%となっており、日米ともに一部のハイテク株の上昇がけん引している面も強いといえます。
<図2>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年4月8日時点)
図2は、図1と同様に昨年末を100とした米主要株価指数のパフォーマンス比較ですが、あらためてSOX指数の上昇が確認でき、8日(水)の取引では中東情勢が緊迫化する前の2月25日(水)につけていた高値をも更新しています。
その一方で、米主要3指数(NYダウ、S&P500、ナスダック)の上昇は、50日移動平均線あたり、もしくは節目の株価(NYダウは4万7,909ドル、S&P500は6,800p、ナスダック総合は2万3,000p)を意識するところで上昇が止まっており、「次の展開」を探っているようにも見えます(図3から図5)。
<図3>米NYダウ(日足)とMACDの動き(2026年4月8日時点)
<図4>米S&P500(日足)とMACDの動き(2026年4月8日時点)
<図5>米ナスダック総合(日足)とMACDの動き(2026年4月8日時点)
米主要3指数はいずれも、相場の調整局面入りとされる「直近高値から10%安」のところで踏みとどまって反発しているほか、下段のMACDもシグナルを上抜けするクロスが出現するなど、3月の株価下落の底打ちを感じさせるサインも出ており、「ある程度の買い戻しが進んだ」と言えそうですが、さらに「買い上がれるかどうか」を探ろうとしている状況と思われます。
今後の株価が50日移動平均線および節目の株価を上抜けできなかった場合、再び下落基調を強めてしまう可能性があるため、前回のレポートでも述べた「強気のわな」への警戒は継続中ということになります。
▼前回のレポート
2026年4月3日:株価の反発場面で注意したい「強気の罠」とは?(土信田雅之)
中東の一時停戦で急騰した株式市場の「その先」は?(土信田雅之)
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