「ほぼ世界同時株高」の衝撃

 ここまで、S&P500、銅、原油、金(ゴールド)の長期視点の価格推移を確認しました。2010年ごろから、S&P500が、銅(ドクター・カッパー)と原油(経済の血液)を置き去りにして急上昇したり、金(ゴールド)もろとも急上昇したりしたことが分かりました。

 図5は、世界の六つの地域における合計46の株価指数の、2010年と2025年の年平均を比較した資料です。上昇した株価指数の数と下落した株価指数の数を確認すると、前者が43、後者が3でした。

図5:株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2010年と2025年の年平均を比較)

図5:株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2010年と2025年の年平均を比較)
出所:Investing.comのデータより筆者作成

 北米にはS&P500のほか、ダウ工業株30種平均やナスダック総合指数などが、アジア・オセアニアには日経平均株価などが含まれています。46の株価指数の9割を超える43の株価指数が上昇したことだけでなく、騰落率の平均が217%に達したことも、大きなポイントです。

 2010年以降の世界情勢を振り返ってみると、2011年ごろに北アフリカ・中東地域で武力衝突を伴った民主化運動の波「アラブの春」が起きました。2015年ごろにはチャイナショックと呼ばれた世界同時株安が起きました。

 2020年には新型コロナがパンデミック化し、2022年にはウクライナ戦争が勃発し、2023年には中東で大規模な軍事衝突が始まりました。こうした荒波が訪れても、「ほぼ世界同時株高」だったのです。

 株価指数は半年から1年程度先の景気動向に関わる思惑を織り込んでいる、という言葉は株価指数の特徴を捉えていると、筆者は考えています。

 プラスの思惑「期待」があれば、どんな荒波が訪れようとも、株価指数は上昇することができるのかもしれません(株価指数の分析と一定の距離を置く、コモディティ(国際商品)の専門家である筆者には、どうしてもそのように見えてしまいます)。

だから株も金(ゴールド)も上昇し得る

 2010年ごろ、世界でなにが起きたのでしょうか。なぜ、2010年ごろ以降、株価指数が銅と原油を置き去りにしたり、株価指数と金(ゴールド)が同時に上昇したり、荒波の中でほぼ世界同時株高が起きたりしているのでしょうか。

 図6は、筆者が考える、2010年ごろ以降に目立ち始めた世界規模の変化と、それが株価指数と金(ゴールド)価格を上昇させた経路を示しています。

図6:2010年ごろ以降の株高・金(ゴールド)高の一因

図6:2010年ごろ以降の株高・金(ゴールド)高の一因
出所:筆者作成

 SNS、AI、ドローンなどの「ハイテク」のマイナス面と、好奇心や虚栄心を包含した人気取りを意味する「ポピュリズム」が、世界に甚大な変化をもたらし、その結果、2010年ごろ以降、長期視点のほぼ世界同時株高と金(ゴールド)価格急騰が起きていると、筆者は考えています。

 図6の中央に記した「情報の受け手・発信者の関係 変化」の詳細は、図7のとおりです。

図7:SNS・AIのマイナス面が株価指数の動向に与える影響

図7:SNS・AIのマイナス面が株価指数の動向に与える影響
出所:筆者作成

 こうした状況(図6・7)に陥ったことは、ある意味、当たり前のことだったのかもしれません。そして今後も、こうした流れが継続する可能性は高いと、筆者は考えています。

 だからこそ、株価指数も金(ゴールド)も、長期視点の上昇トレンドが継続する可能性があるといえます。

 2010年ごろからはじまった世界の潮流の変化を強く意識し、短期視点の価格の上下に惑わされず、ゆっくりとどっしりと構えることが、市場と向き合うわれわれに課せられた使命なのかもしれません。

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

純金積立

純金積立・スポット購入

投資信託

三菱UFJ 純金ファンド
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
楽天・ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし/あり)
楽天・プラチナ・ファンド(為替ヘッジなし)

中期:

関連ETF

SPDRゴールド・シェア(1326)
NF金価格連動型上場投資信託(1328)
純金上場信託(金の果実)(1540)
NN金先物ダブルブルETN(2036)
NN金先物ベアETN(2037)
GXゴールド(425A)
SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
ヴァンエック・金鉱株ETF(GDX)

短期:

商品先物

国内商品先物
海外商品先物

CFD

金(ゴールド)、プラチナ、銀、パラジウム