3月のビットコイン相場~
3月のBTC市場
3月のビットコイン相場は底堅い展開となった。
2月末のイラン攻撃開始時に6.3万ドルで切り返すと、7.6万ドルまで反発した。その後はイラン情勢への楽観論と悲観論が交錯する中、原油価格を見ながら一進一退の展開が続いた。
イラン攻撃直後でもBTCが意外と売られなかった、との見方から、月初は底堅い動きとなった。ホルムズ海峡通過に際し、民間に代わって米国が保険を提供し、米艦が護衛するというアイデアが出ると、BTCは7.4万ドル近くまで反発した。
しかし、ペルシャ湾内でタンカー攻撃が複数発生し、海峡が事実上の閉鎖状態となった。また、周辺国の被害についてイラン大統領が謝罪した直後に撤回したことや、モジタバ師が最高指導者に選出されたことで強硬派が主導権を握ったと認識され、原油価格が116ドルに急騰。BTCは6.5万ドル台まで値を落とした。
それ以降は原油価格との連動を強め、米政権が早期終息に自信を見せ、国際エネルギー機関(IEA)を中心に備蓄原油の放出が決まったことで、原油価格が一時、1バレル=80ドル台まで低下する中、BTCは7.6万ドルまで値を伸ばした。
イランの報復攻撃は徐々に下火となった一方、ホルムズ海峡の実効支配は強まったため、原油価格は高止まりし、BTC市場の重しとなった。
特に、2月28日の攻撃開始、3月8日のモジタバ師選出、13日のカーグ島攻撃、22日の48時間期限、29日のフーシ派参戦と、週末ごとにリスクイベントが発生しては週明けの原油相場が急騰し、リスクオフでBTCが失速、その後週を通して戻すという展開が続いた。
トランプ大統領は「ホルムズ海峡封鎖を解かなければ48時間以内にイラン国内の発電インフラなどを攻撃する」とし、期限を5日間、10日間と延長していた。しかし30日、キャロライン・レビット米ホワイトハウス報道官が「米国の核心目標はイラン海軍、ミサイル、核開発能力の破壊であり、ホルムズ海峡再開は努力目標に過ぎない」と発言。
トランプ大統領も「(ホルムズ海峡経由で)燃料が欲しい国は自分で取りに行けばいい」と、海峡封鎖したままの終戦を示唆した。これに対しイラン大統領も「再攻撃防止などが保証されるなら終戦の用意がある」と応じ、一気に終戦機運が高まり、BTCは6.9万ドル台まで値を戻している。
BTC/米ドル
意外と底堅かった理由
今回のイラン攻撃で、ビットコイン(BTC)は意外と底堅い動きだったことが指摘されている。攻撃があった2月28日との比較では、BTCは+7%の上昇となったのに対し、S&P500種指数(S&P500)はマイナス4%、金(GOLD)はマイナス11%の下落となった。ただし、これを受けてBTCが「安全資産」として評価されたとするのは時期尚早だ。
BTC/USD
これは、BTCが戦争などのリスクイベントに対して弱いという性質が、構造的なものだからだ。
BTCは、プロの機関投資家のポートフォリオに、一部組み入れられるようになってきたことは知られているが、こうした投資家のリスク管理はVaR(Value at Risk)と呼ばれるリスク量で測られている。リスク量とは「もうかるかもしれないが、損をするかもしれない額」のことで、だいたい過去2年間の実績データから算出される。
為替で例えると、一昔前はさまざまな通貨ペアをドル換算してポジション量を計算していたが、ドル円とトルコリラ円では値動きの大きさが大きく異なるため、現在は変動率に合わせてリスク量を計算するようになっている。
そして戦争といった究極のリスクイベントが発生すると、上層部から「リスク量を減らせ」という指令が出る。どの資産を減らすかはファンドマネージャーに任されるケースが多いが、その場合、変動率が高い資産を優先的に売却するのが最も手っ取り早い手法となる。そのため、どうしてもBTCは真っ先に売られやすい構造になっている。
BTCUSD/XAU(ゴールド)USD
では、なぜ今回このような動きになったのかと言えば、それまでに上場投資信託(ETF)市場で金買い・BTC売りのポジションがかなり積み上がっていたため、その巻き戻しが入ったのが実態だろう。例えば、BlackRockの金ETFの資金フローは1、2月が+9億ドルだったのに対し、3月はマイナス38億ドルと大幅な流出となった。
一方、同社のBTC ETFは1、2月がマイナス4億ドルの流出だったのに対し、3月は+13億ドルの流入に転じている。リスクイベントが発生したことで、利が乗っていた金ETFを換金売りした格好であり、
逆にBTCは割安感から押し目買いが入ってきたという見方もできる。
ボトムが近いとの見方
また先月ご紹介したように、BTCは最悪の事態が発生した時にボトムアウト(底打ち)する傾向がある。今回のイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖がそれに該当するとみて、底を拾う動きが出ている可能性がある。実際、ETFフローはイラン攻撃後、プラスに転じている。また、今回の攻撃とは関係なく、「そろそろ底が近い」との見方が市場で増え始めている。
BTC/USD(2015年1月ボトム)
BTC/USD(2018年12月ボトム)
BTC/USD(2022年11月ボトム)