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【株式インデックス投資の“光と影”】知っておくべき3つの注意点と賢い付き合い方 (後編)

2026/4/3 12:37

 前回はインデックス投資が持つ合理性と効率性の裏側で、「特定の投資対象への集中」や「価格を見ない投資の特性」、「市場リスクを受け入れる投資スタイル」といった点に留意すべきであることを確認しました。これらの特性を踏まえ、インデックスファンドを活用しながら堅実に資産を形成していくための3つの考え方をご説明します。

目次
  1. 市場の変動に惑わされず、長期投資を継続する
  2. 株式以外の資産も活用し、ポートフォリオ全体でリスクを抑制する
  3. 「コア・サテライト戦略」でインデックスファンドをより効果的に
  4. まとめ

市場の変動に惑わされず、長期投資を継続する

 インデックス投資は短期的な市場の予測やタイミングを狙うのではなく、市場全体の長期的な成長に乗り、その平均リターンを享受することを目的としています。 しかし、市場は常に一本調子で上昇するわけではなく、経済指標の悪化や国際情勢などで株価が急落する場面も時として訪れます。

 このような市場が大きく動く場面で、感情的な判断で積立投資を中止したり、保有資産を慌てて売却したりすることは、長期的な資産形成において投資成果を悪化させる要因になります。また、相場下落局面は、割安な価格で資産を買い増すチャンスでもあります。 継続して投資を行うことで、その後の回復期に大きなリターンを得られる可能性が高まるのです。自身の投資目標達成のためにも、長期的な視点を持ち、淡々と投資を継続することが最も重要です。 

▼積立中止や投げ売りのマイナス効果を検証した記事はこちら
相場急落時の積立中止と売却、どのくらい将来資産と年率リターンにダメージが出るか? 

株式以外の資産も活用し、ポートフォリオ全体でリスクを抑制する

 全世界株式やS&P500指数を投資対象とするインデックスファンドの運用では、株式市場が大きく下落する局面で、資産額を大きく減らすことになります。このとき資産額の減少をできるだけ抑えるためには、株式型のインデックスファンド一辺倒ではなく、債券や金など、異なる値動きをする他の資産を組み合わせて分散投資を行うことが有効です。 これにより株式市場が下落する局面でも、資産額の変動を和らげることができます。

 その効果を示すのが、次の<図表1:資産の組み合わせで変わるリスクとリターン>です。株式単独の場合と比較し、債券や金を加えたポートフォリオでは、同等のリターン水準を保ちながら、リスクが効果的に抑制されていることが見て取れます。さらに、3つの資産を均等に配分していた場合は、リターンの水準は少し下がるものの、リスク1単位あたりのリターンを表す投資効率(括弧内の数値)が更に上昇する結果となりました。このように単一の資産に投資する場合と比べて、同じリスクでより高いリターンを狙う、あるいは、同じリターンでよりリスクを抑えることができる資産の組み合わせが存在することが分かります。

図表1:資産の組み合わせで変わるリスクとリターン

※1996年2月末~2026年2月末の月次データを年率換算して表記。 ※各点の括弧内の数値は、投資効率(シャープレシオ = リターン ÷ リスク)を示す。シャープレシオは本来、(リターン - 無リスク金利)÷ リスクで定義されるが、本稿では簡便的に無リスク金利をゼロとして算出。
※株式:MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)、債券:ブルームバーグ・グローバル総合インデックス(円ヘッジ、トータルリターン)、金:円建て金スポット価格
※上図は過去のデータを用いたシミュレーションであり、将来の投資成果を示唆・保証するものではない。また、例示した資産配分を推奨するものではない。
出所:Bloombergのデータをもとに筆者作成

 しかしそうした資産の組み合わせは、「何に」「どの程度」配分するかを適切に決めなければ、リスク低減効果を得られないばかりか、いたずらにリターンの水準を下げてしまうことになります。また、投資家一人ひとりのリスク許容度や目標リターンは異なります。理論上、最適な資産の組み合わせ方を導き出す方法は存在しますが、データの収集や複雑な計算を要するため、個人投資家が自力で行うには、知識や手間が必要となります。

 そこで、より効率的に分散投資を行いたい場合は、バランスファンドも選択肢となるでしょう。これは運用担当者が複数の資産でポートフォリオを構築し、定期的なリバランスも任せられるため、手間をかけずに分散投資を実現できます。また、ロボアドバイザー型のファンドや投資一任サービスであれば、自分に合ったポートフォリオ選びの補助もしてくれます。ただし、こうしたバランス型の運用商品は、一般的にインデックスファンドよりコストがやや高い傾向にあります。そのため、専門家による分散投資と管理というメリットに対し、設定されたコストを許容できるかどうかが、商品選びの重要なポイントとなるでしょう。

 自分で分散投資をする場合も、バランス型の運用商品を活用する場合も、重要なのは自身の目標とリスク許容度に適した資産配分の形を追求することです。

「コア・サテライト戦略」でインデックスファンドをより効果的に

 インデックス投資は、低コストで市場の平均リターンを狙う「コア(中核)」資産として非常に優れています。しかしながら、その運用特性上、時価総額加重型の指数では一部の投資対象への寄与度が高くなることや、適正価格を考慮しないことなどの特性も持ち合わせます。 そこで、中上級者向けの選択肢として「コア・サテライト戦略」の活用が考えられます。この戦略を検討するうえで重要なのは、「サテライト(衛星)」資産を単なる追加的なリスクテイクとしてではなく、インデックス投資の構造的特性を補完する役割として位置づける点です。

▼コア・サテライト戦略のイメージ

※上図はあくまでコア・サテライト戦略の一つの考え方であり、全てを説明しているものではない。また、将来の投資成果を示唆・保証するものではない。
出所:筆者作成

 具体的には、個別株やアクティブファンドなどのサテライト資産を一部に組み入れることで、インデックス投資では反映されにくい企業固有の成長性や収益性、あるいは市場の非効率性を捉え、超過収益(アルファ)の獲得を目指します。それは同時に、ポートフォリオにおける特定の投資対象への偏りを緩和し、リスク・リターンの特性に多様性をもたらします。こうした指数と異なる値動きをするサテライト資産の組み入れは、ポートフォリオ全体のリスクとリターンのバランスを追求する可能性を広げてくれます。

 もっともこの戦略は、サテライト資産の選び方によっては、ただコストを増やすだけで、あまり追加的なリターンやリスク低減効果が得られないことも起こり得るため、全投資家が実践すべきといったものではありません。ゆえにサテライト資産を選ぶ際は「コア資産と投資対象が重複していないか」、「コストに見合う付加価値が期待できるか」など慎重に見極める必要があります。しかしながら、その特性を理解し適切に活用することで、インデックス投資の課題を克服し、より柔軟なポートフォリオ構築に貢献する可能性を秘めています。

まとめ

 インデックス投資は資産運用において非常に有効な手段ですが、決して万能薬ではありません。その特性を理解せずに妄信してしまうと、期待通りの成果が得られない可能性もあります。 インデックス投資の本質は、そのツールを「どのように理解し、そして使いこなすか」にかかっています。

 前編でお伝えしたインデックス投資の特性、そして後編でご紹介した「長期投資の継続」「資産の分散」「コア・サテライト戦略」の3つのポイントをおさえ、インデックスファンドを賢く活用していきましょう。

▼前編はこちら
【株式インデックス投資の“光と影”】知っておくべき3つの注意点と賢い付き合い方 (前編)

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