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「金は反落、原油は急落」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は反落、原油は急落」

2017/6/8
ドル高や金利上昇、株高などが嫌気された。米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官から米上院に提出された書面証言の内容にサプライズが乏しいとみなされたことが、これらの背景にある。
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金相場は前日に付けた約7カ月ぶり高値から下落した。

ドル高や金利上昇、株高などが嫌気された。米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官から米上院に提出された書面証言の内容にサプライズが乏しいとみなされたことが、これらの背景にある。

コミー前FBI長官の書面証言によると、トランプ大統領はコミー氏に対して、ロシア政府の米大統領選干渉疑惑に絡むフリン前大統領補佐官への捜査をやめさせられないかと打診していたようである。書面証言では、コミー氏がトランプ氏に対して、大統領個人が捜査対象になってはいないと何度か伝えたことが確認されたが、捜査の妨害と明確に判断される材料は含まれていなかった。

いずれにしても、8日のコミー氏の議会証言とその後の質疑応答の内容を確認するまでは、明確なことは言えない。また、8日は英国総選挙とECB理事会を控えている。

英国下院選挙では、与党・保守党の獲得議席が過半数を割り込む可能性が指摘されており、市場はこれを懸念している。しかし、保守党が勝利すれば、ポンド安は回避され、金相場は結果的に底堅く推移する可能性がある。

また、ECB理事会でも波乱はないもよう。最終的にはコミー元長官の証言をこなし、13・14日のFOMCでの利上げおよび資産圧縮の具体的な方針の示唆が材料視され、次の動きに移行することになろう。

市場に安心感が広がった場合でも、米長期金利は上昇しづらいと考えられ、ドル安基調が継続することで金相場は支えられると考えられる。

非鉄相場はまちまちの展開。

アルミは1,900ドルを維持し、銅も5,600ドルを維持している。これらは重要なサポートであり、上昇基調を維持するには、これを維持する必要がある。ニッケルは続落し、8,900ドルを割り込んだ。インドネシオアとフィリピンからの鉱石供給再開が嫌気されているが、市場では需給面にどの程度影響があるかを見極めているところであろう。また亜鉛は続落基調が続いており、節目の2,400ドルが視野に入っている。これを割り込むと長期的な基調が崩れることになるだけに、きわめて重要な局面にあるといえる。鉛も2,050ドルを目指す動きにあり、これを維持することが上昇基調維持の最低条件である。

このように、市場全体が上値の重い展開にある。市場では、中国の成長懸念などの先行き不透明感を嫌気している可能性があり、これが払しょくされることが相場浮上の条件になるだろう。

中国の5月末時点の外貨準備高は前月比240億ドル増の3兆0,540億ドルとなり、7カ月ぶりの高水準となった。増加は4カ月連続の増加。厳格な資本規制やドル安が資金流出を抑えたとみられている。

原油は急落。

米国内の原油およびガソリン在庫が市場予想とは逆に増加したことが嫌気された。主要産油国の協調減産が供給過剰の解消にはまだ不十分との認識が広がったことも売りにつながった可能性がある。

米エネルギー情報局(EIA)が発表した2日までの週の石油在庫統計では、原油在庫は前週比330万バレル増、クッシング在庫は同144万バレル減だった。輸入が日量834万バレル増と、前週比36万バレル増加した。輸出は日量56万バレルで、同75万バレル減少した。生産量は日量932万バレルと、同2万バレル減少した。ガソリン在庫は前週比330万バレル増、需要は日量932万バレルで、前週比50万バレル減少した。ディスティレート在庫は前週比440万バレル増、需要は日量350万バレルで、前週比52万バレル減だった。製油所稼働率は94.1%で前週比0.9%低下した。

この内容を受けて売りが出たのだろうが、下げ幅や市場の反応は相当過剰である。今の原油市場がアルゴリズム取引やAI(人工知能)など機械的な判断に基づくトレードに支配されていることがわかる。たとえば、在庫の内容が市場予想と違っていたことがこの日のショートのトリガーになったことは容易に理解できるが、その下げ幅はあまりに大きい。ここにファンダメンタルズの判断は入っていない。OPEC減産の効果が理解できていれば、50ドル割れを売るという行為はできないはずである。

一方、OPEC加盟国のサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)がカタールとの外交関係を断絶したことも引き続き不安材料との見方がある。OPEC加盟国間の関係の冷え込みで、減産合意の拘束力が弱まる可能性をリスクとみなしているようだが、そうなれば原油相場は収益の出ない産油国が自ら首を絞める状態になる。最後は破たんによる産油量の激減とそれを背景とした原油相場の急騰が起きることになる。

実際にそのような事態は想定しづらいが、そのようなことも見越しておけば、いまの水準がいかに割安であるかは容易に理解できるだろう。しかし、そのようなロジックを用いない、価格の方向性や材料のトリガーだけを注視する市場参加者がいまは原油市場を支配している。この状況の解消は、最終的にはファンダメンタルズによって執行されることになろう。

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