3.CPU、値上げへ。AI半導体だけでなくCPUが重要になってきた。インテルとレーザーテックに注目したい。
もっとも、生成AI関連のシステムと半導体の全てが節約ムードになるかというとそうではない模様です。
一部の報道によれば、AMDとインテルは、2026年3~4月からCPU価格を10~15%値上げすることを顧客に通知した模様です。値上げの範囲はサーバー向け、パソコン向けのCPUの主要製品です。受注から出荷までのリードタイムも延長され、数週間から数カ月以上かかる見通しです。AMDは2025年12月にも一部のCPUを値上げしました。
CPUの需給が逼迫している要因は、生成AIです。生成AI向けデータセンターではAI半導体だけでなく、サーバー向けCPUも高性能品が要求されます。パソコン向けもCPUで高性能生成AIを処理するケースが増えているため、比較的新しい高性能CPUが求められているという事情がある模様です。
グラフ3はインテルのCPUの店頭価格を示したものです。昨年から今年年末にかけて価格が上昇した製品が多くなっていますが、これは製品にもよります。
10~15%の値上げはインテル、AMDの業績に貢献すると思われます。特にインテルはサーバー向け、パソコン向けともに市場シェアが高いこと(AMDに喰われてはいますが)、経営再建中であることから、値上げの寄与が大きくなると思われます。
今後注目したいのはインテルの「パンサーレイク」(開発名。製品名は「Intel Core Ultra Series 3」)です。2026年1-3月期に出荷開始となるはずでしたが、出荷が遅れています。ノートブックPC用CPUで、ゲーミングPCとしての使用に耐える高性能GPUを内蔵したものです。生成AIがビジネスに定着すればするほど、生成AIを高額なAI半導体を使わずにCPUで動かしたいというニーズが大きくなると思われます。例えば、米国企業の間でパランティア・テクノロジーズのAIシステムが人気ですが、これはパランティアのAIシステムが優秀であるとともに、システムの大半がAI半導体を使わずにCPUで動いているためと思われます。そのため、パランティアのシステムはインフラコストが安いのです。
生成AIがビジネスに定着するほど、サーバー、パソコン両方の市場でCPUの需要が大きくなると思われます。
CPU重視の流れは半導体設備投資にも影響を与えると思われます。AI半導体の生産ラインはこれまでは4ナノ(5ナノの拡張版)が最先端でしたが、今年から3ナノが最先端になる見込みです。サーバー向けCPUもこれまでは5ナノからそれ以前の生産ラインでしたが、これが今年は3ナノになる見込みです。
一方、パソコン用CPUは今年から最先端が2ナノになる見込みです。パソコン用CPUの需要が多いという状況を見ると、これまで生成AI向け設備投資が大きく伸びる中で影が薄くなっていた感がある2ナノ(2025年10-12月期量産開始、2026年夏出荷開始と思われる)から1.6ナノ(2ナノの拡張版。2026年後半量産開始、2027年出荷開始)、1.4ナノ(次世代版。2028年量産開始予定)への流れが再び強化され、微細化の進展にとって重要になる半導体製造装置メーカー、例えば、レーザーテックが注目される可能性があります。
グラフ3 パソコン用CPUの店頭価格
グラフ4 サーバー用CPUの市場シェア
グラフ5 モバイル用CPUの市場シェア
グラフ6 デスクトップPC用CPUの市場シェア
4.生成AI関連株が下げ相場に入った可能性がある。
1)生成AI関連株、下げ相場入りか。
AI半導体の低価格化、メモリの節約が進み、クロードによる生成AI開発の効率化が進み、生成AIシステムの低コスト化が進むと、AI半導体とクラウドサービスの価格競争が起こる可能性があります。
これまで高価格化が進んできたものが、低価格化へ逆向きの動きになるわけですから、AI半導体メーカー、特にエヌビディアとクラウドサービス会社上位のマイクロソフト、アマゾンに対して業績の鈍化懸念が出てくると思われます。ブロードコム、アルファベットは低価格化を進めている会社であり、アルファベットの場合は全体の業績に占めるクラウドサービスの比率が低く、生成AIシステムとAI半導体の低価格化は検索広告の採算改善に寄与するため、本来はプラスになると思われます。しかし短期的には、ブロードコム、アルファベットの株価もAI関連相場の変調に巻き込まれる可能性があります。おそらく現状がそうだと思われます。
また、最近のエヌビディアやマイクロン・テクノロジーの株価を見ると、足元の高水準の業績を伝える良いニュースには反応せずに、2027年の生成AI向け設備投資に懸念がある、特注型AI半導体にメディアテックが参入した、アルファベットが生成AI向けメモリの節約技術を開発したなどの、これまでの高性能高額化から、高性能だが低コスト化を示唆するニュースに対して敏感に反応し、株価が下がっています。
これらの状況を見ると、2022年年末から始まった生成AI関連株、米国株では半導体ではエヌビディア、ブロードコム、マイクロン・テクノロジーなど、IT大手では、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、メタ・プラットフォームズなど、日本株では、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロンなどの生成AI関連株は下げ相場入りした可能性があります。
この中で半導体関連銘柄は、足元の業績が高水準なので、株価がリバウンドする可能性もあります。今回もエヌビディア、ブロードコム、アルファベット、アドバンテスト、ディスコ、東京エレクトロンの目標株価は変更しません。2026年1-3月期、2026年2-4月期決算と会社側の今後の見方を確認したいと思います。ただし、リバウンドがあっても大きな期待はしないほうが良いと思われます。
グラフ7 エヌビディアのチャート
グラフ8 マイクロソフトのチャート
グラフ9 アマゾン・ドット・コムのチャート
グラフ10 アルファベット(GOOGL)のチャート
グラフ11 メタ・プラットフォームズのチャート
グラフ12 パランティア・テクノロジーズのチャート
グラフ13 インテルのチャート
グラフ14 アドバンテストのチャート
グラフ15 レーザーテックのチャート
2)例外は、アルファベット、パランティア・テクノロジーズ、インテル、レーザーテックなど
アルファベットは、AI半導体と生成AIシステムの低コスト化を先導しているため、株価が底入れした後は投資する機会が到来する可能性があります。
パランティア・テクノロジーズについては、AI関連であっても生成AI関連ではありません。パランティアのシステムは大半がCPUで動きます。企業が使っている情報システムを使って動くと思われるため、パランティアのシステムは米国企業の間で人気なのだと思われます。今は他の生成AI関連銘柄と同じ目で見られていると思われますが、株価が下がった後は買い場が来る可能性があります。
また、インテルも目標株価は変更しません。中長期で投資妙味を感じます。レーザーテックは目標株価を引き上げます。こちらも中長期で投資妙味を感じます。
生成AI関連、AI関連、半導体関連の今後6~12カ月間の目標株価
アルファベット 400ドル
パランティア・テクノロジー 200ドル
エヌビディア 210ドル
ブロードコム 420ドル
インテル 55ドル
TSMC 410ドル
マイクロン・テクノロジー 530ドル
ASMLホールディング 1,750ドル
アドバンテスト 3万円
ディスコ 8万5,000円
東京エレクトロン 5万1,000円
レーザーテック 4万円→4万5,000円
表2 アルファベットの業績
時価総額 3,312,107百万ドル(2026年3月27日)
発行済株数 12,228百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 12,073百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
表3 パランティア・テクノロジーズの業績
時価総額 341,470百万ドル(2026年2月27日)
発行済株数 2,573.497百万株(完全希薄化後、Diluted)
発行済株数 2,386.904百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
注3:会社予想は予想レンジの平均値。
3)実際に生成AI関連株が下げ相場入りしたのならば、どう対処すべきか。
実際に生成AI関連株が下げ相場入りした時に、どう対処すべきか、これは別にレポートするつもりです。
定石としては、
- 保有している生成AI関連株を少しずつでも売って、キャッシュポジションを上げる。日米のMMFなどへの金利ものへ退避する。
- 生成AI関連以外のセクター、テーマ、例えばディフェンシブ系、高配当系、低株価収益率(PER)系へ分散投資する。
- 個別銘柄よりも上場投資信託(ETF)をうまく使って分散投資を行う。
などです。





















































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