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2026年中国経済「五つの注目ポイント」:1~2月好調もリスク山積

2026/3/26 7:30

 全人代が閉幕し、中国にとっての2026年度が本格的にスタートしました。1~2月の中国経済は、好調の様相を見せているようですが、実際はどうなのでしょうか。2026年の中国経済における「五つの注目ポイント」と併せて、考察します。

目次
  1. 内外の情勢が混乱しているからこそ重要なのは経済
  2. 2026年1~2月の主要統計発表。上々の滑り出し?実際のところは?
  3. 2026年中国経済五つの注目ポイント

内外の情勢が混乱しているからこそ重要なのは経済

 中国では1年に1度の政治イベント全国人民代表大会(全人代)が3月5~12日に開催され、李強(リー・チャン)首相による「政府活動報告」で経済を中心に各種政策の方向性が示されました。

 これを受けて、中国政治は本格的に2026年度に突入したと言えます。

 昨今の中国を取り巻く状況を見ていると、軍内粛清、米中攻防、台湾有事、イランやベネズエラといった地政学情勢など、一つかじ取りを間違えれば致命的な政策リスクにつながり得る火種が山積しているように見受けられます。

 私が20年以上曲がりなりにも中国と付き合ってきた経験と感覚からすれば、中国共産党指導部は、内政・外交を含め、情勢が不安定でリスクが不透明に山積している状況下では、まずは情勢を静観し、見極め、慎重に慎重を重ねた上で、動くときには満を持して一気に、大胆に動くという傾向があると思っています。

 現時点で俯瞰(ふかん)する限り、2026年も中国のそうした一面が可視化されるかもしれません。

 そして、内外が混乱しているときだからこそ、「政治の安定」という観点が重要になるのが経済だと思います。中国と聞くと、しばしば想起されるのが「社会主義」「共産主義」「マルクス主義」「毛沢東思想」など、政治、イデオロギーにまつわるものが少なくありません。

 一方で、西側諸国や日本で実践されている民主主義に基づいた選挙によって為政者の立場にいるわけではない中国共産党は、「結果」を出すことによってしか、人民の信頼と委任を勝ち取ることはできません。

 日本であれば、政権が経済政策や外交政策で失策を犯し、国益を損じた場合でも、首相が辞任したり、衆議院を解散したりすることで、責任を取る、責任の所在を明らかにする、その上で、状況改善のために再スタートするというプロセスを踏むことが制度的に可能になっています。

 ただ、中国はそうはいきません。

 為政者が致命的なミスを犯した場合(例:経済状況が極端に悪化し、ハイパーインフレが起こり、失業者が続出:米国との関係が極端に悪化し、断交も辞さない苦境に陥る:「台湾統一」を試みて失敗する、など)、政権が交代するのではなく、政権の転覆などにより国全体がひっくり返ってしまい、統治機構そのものが瓦解(がかい)の危機に陥ってしまう可能性すらあります。

 政権としてではなく、国家として再スタートを切らなければならなくなる可能性があるのは、激動の中国史が証明しているとおりです。

 そして、結果として最も重要なのは、共産主義やマルクス主義の宣伝、すなわちプロパガンダ工作を通じて14億の人民を「洗脳」することではありません。

 経済の成長を促し、国民の生活を物質的に守っていくことを通じて、物価や雇用の安定の確実な実現を通じて、人々に日々豊かになっている、安心して暮らせていると実感してもらうことです。そうすることでしか、中国共産党は為政者としての立場を死守できないという非常に厳しい実情が横たわっているのです。

 私自身、中国ほど「唯物史観」に基づいて為政者と被治者の関係性が構築されている国はないと思っています。

2026年1~2月の主要統計発表。上々の滑り出し?実際のところは?

 中国国家統計局が、全人代閉幕後の3月16日、1~2月の主要統計結果を発表しました。直近の昨年12月、昨年1~12月と比較しつつ整理してみます。

  2026年1~2月 2025年12月 2025年1~12月
工業生産 6.3% 5.2% 5.9%
小売売上 2.8% 0.9% 3.7%
固定資産投資 1.8%   ▲3.8%
不動産開発投資 ▲11.1%   ▲17.2%
不動産を除く固定資産投資 5.2%   ▲0.5%
貿易(輸出/輸入) 18.3%
(19.2%/17.1%)
4.9%
(5.2%/4.4%)
3.8%
(6.1%/0.5%)
失業率(農村部除く) 5.3% 5.1% 5.2%
消費者物価指数(CPI) 0.8% 0.8% 横ばい
生産者物価指数(PPI) ▲1.2% ▲1.9% ▲3.0%
出所:中国国家統計局の発表を基に筆者作成。数字は前年同期(月)比

 工業生産、固定資産投資、貿易は、直近の12月、および昨年通年の数値と比べて改善しているのが見て取れます。個人消費動向につながる小売売上は、12月に比べればマシになっていますが、依然として低迷から抜け出せていないように見受けられます。

 違和感を覚えるほどに伸びている輸出入とは対照的であり、中国政府が掲げる「需要不足の脱却」「内需に立脚した経済成長」と逆の方向に進んでいるのは不安要素と言えるでしょう。

 不動産開発投資は昨年通年と比べると若干下げ幅が改善されています。デフレスパイラルが懸念されてきた物価関連も、足元何とか持ちこたえているようには見受けられます。

 失業率は統計から見る限り上昇傾向にあるようです。ちなみに、現時点で発表されている若年層(学生を除く16歳から24歳)の失業率を見ると、2025年12月は16.5%、1月は16.3%、2月は16.1%と改善傾向が続いています。

 学生を統計から除いた2023年12月以降で最も悪い水準だった昨年8月の18.9%からは2.6ポイント改善していますが、依然として高止まりは続いています。「高止まりする若年層の失業率」問題は今後とも、中国経済(もっと言えばその先にある政治を含め)にとっての不安要素であり続けるでしょう。

 この発表を受けて、国家統計局の報道官は、次のようにコメントしています。

「1~2月、主要経済指標は明らかに回復しており、今年、国民経済は良好なスタートを切ったと言える。一方、外部環境の変化がもたらす影響は深く、地政学的リスクも持続的に上昇している。国内経済の成長と転換における古い問題、新たな課題は依然として少なくない。一部企業の経営も困難に陥っている」

 景気回復に向けた兆候は見えつつあるけれども、まだまだ油断できず、予断を許さない状況が続くという警戒心と危機感を当局としても抱いていると見るべきです。

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