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米中が6回目のハイレベル協議:イラン情勢で「トランプ訪中」延期か?

2026/3/19 7:30

 イラン情勢が緊迫するのを横目に、6回目となる米中ハイレベル協議がフランスのパリで開催されました。経済・通商分野で対話を続ける一方、注目されるのは3月末に予定されていたトランプ大統領の訪中です。予定通りに実施されるのでしょうか。

目次
  1. イラン情勢の緊迫化を横目に米中がパリでハイレベル協議開催
  2. 米中「貿易戦争」の現在地と行き先
  3. トランプ訪中はどうなるか?

イラン情勢の緊迫化を横目に米中がパリでハイレベル協議開催

 イラン情勢が緊迫しています。米国とイスラエルが2月28日にイランを攻撃した後、イランも徹底抗戦し、安易な停戦要求に乗るつもりはないという姿勢で臨んできました。

 トランプ大統領は当初「4週間ぐらいか、それ以内」でイランでの戦争が終了するという見立てを示していましたが、昨今の緊迫、膠着(こうちゃく)した情勢から俯瞰(ふかん)する限り、泥沼化、長期化する可能性も大いにあるといえるでしょう。

 ロシアとウクライナの戦争は始まってからすでに4年が経過しました。欧州に加えて、中東までもが「長期の戦場」と化せば、世界情勢はますます混沌(こんとん)としたものになっていくのは避けられません。エネルギー価格の高騰を含め、私たちの生活にも直接的に影響してくる局面も容易に想像できます。

 そんな中、3月15~16日、米中の閣僚がフランスのパリでハイレベル協議を実施しました。第2期トランプ政権発足以降、ジュネーブ、ロンドン、ストックホルム、マドリード、クアラルンプールに続く、6回目の協議です。

 米国側からはベッセント財務長官、グリア通商代表、中国側からは何立峰(ホー・リーフォン)副首相、李成鋼(リー・チョンガン)通商代表が参加し、米中間の通商問題を中心に、約1日半にわたって議論を展開しました。

 私から見ると、この光景はある意味、「異様」に映りました。というのも、イランは中国にとって伝統的友好国であり、BRICSの加盟国でもあります。そんなイランが米国に軍事攻撃を受けているさなかに、習近平国家主席の側近で副首相である何立峰氏が、米国側の閣僚と対面で協議をしたわけです。

 中国にとっては、イラン情勢よりも米国との関係が重要ということなのでしょうし、大国間の政治というものは、冷徹で無情なものだと改めて実感させられている今日このごろです。

米中「貿易戦争」の現在地と行き先

 ここからは、米中ハイレベル協議で何が議論されたのかを見ていきましょう。

 関税措置の手配、二国間貿易および投資の促進、既存の協議合意の維持など、双方が関心を有する経済・貿易問題について議論が行われました。米国側からは、米最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税発動を違憲と判断したのを受けて、今後の関税措置をどう実施していくかについての説明もあったもようです。

 また、今回の協議での「新たな合意事項」としては、二国間の貿易および投資を促進する協力メカニズムの設立検討が挙げられます。

 中国側の発表によれば、このメカニズム設立の背景・目的は、「米中経済・貿易協議メカニズムの役割を引き続き十分に発揮させ、対話と意思疎通を強化し、相違を適切に管理し、実務的協力を拡大し、二国間経済・貿易関係の持続的で安定した前向きな発展を推進すること」にあるとのことです。

 一方で、中国側は米国側に対し、「一方的関税措置に反対する立場を一貫して堅持しており、米国側に対し一方的関税などの制限措置を全面的に撤廃するよう強く求める」「自らの正当かつ合法的な権益を断固として守るため必要な措置を講じる」と迫り、トランプ政権の関税措置に対して「深刻な懸念」を伝えています。

 大国ではなく、強国を目指す国として、「超大国」米国に対しても、言うべきことは言っていく、という姿勢に変化はありません。この傾向は今後強まることはあっても弱まることはないでしょう。

 ただ全体的には、今回の協議は比較的良好な雰囲気の中で実施され、終了したように見受けられます。

 中国側は、「率直で、踏み込んだ、建設的な交流と協議だった」と振り返り、米国のベッセント長官も、会談後、次のようにインタビューで語っています。

「会談は非常に良かった。われわれは安定した関係を築いている。これは経済協議として6回目の会合だ。何立峰副首相と私は互いに大きな敬意を抱くようになった」

 また、「世界第1位と第2位の経済大国の関係の安定性を改めて確認することになる」「米国はデカップリングを望んでいるわけではない(「戦略産業は取り戻す必要はある」とも)という点を改めて中国側に伝えた」などともコメントしています。

 米中経済関係の間には、半導体やAIなど戦略的に競争関係にある分野もあるけれども、包括的なデカップリング(切り離し)は追求しないという立場です。

 米中が競争しつつも、共存を目指していくというスタンスを改めて確認した事実は、世界経済、マーケットにとっては取りあえず朗報といえると思います。

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