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今週のマーケット:原油価格110ドル突破。「令和のオイルショック」で株価続落?

2026/3/9 13:33

 先週は中東の戦闘激化で原油価格が急騰したため、ほぼ全ての株が売られる全面安でした。今週は原油輸送の要衝・ホルムズ海峡封鎖が続くか、解除の見込みが立つかが焦点。ただ、欧米のプライベートクレジット市場の信用不安拡大やAI過剰投資が問題視される米国オラクルの決算発表などもあり、続落する可能性も高そうです。

目次
  1. 今週のトピック:イラン戦争長期化のほか、米国オラクル決算発表など下落要因が多数
  2. 今週のマーケット:原油価格150ドルも?「令和のオイルショック」で株価続落か
  3. 米国で2月CPIなど物価指標発表。スタグフレーション懸念が株安に追い打ち?
  4. 先週の振り返り:原油の恩恵を受ける資源株、海運株以外は全面安!有事の金で買われた貴金属関連株にも利益確定売り

今週のトピック:イラン戦争長期化のほか、米国オラクル決算発表など下落要因が多数

日付 イベント
3月8日(日) ・週末も米国・イスラエルとイランが戦闘継続。ホルムズ海峡の封鎖続く
3月9日(月) ・1月毎月勤労統計調査。実質賃金プラス転換か?
3月10日(火) ・米国で2月中古住宅販売件数
・米国でソフトウエア大手・オラクル(ORCL)などが決算発表
3月11日(水) ・米国で2月CPI
3月12日(木) ・米国で1月住宅着工件数
・米国でアドビ(ADBE)などが決算発表
3月13日(金) ・メジャーSQ算出日で株価乱高下も
・米国で1月個人消費支出の価格指数、3月ミシガン大学消費者態度指数・速報値

・原油輸送の要衝・ホルムズ海峡の封鎖継続で1バレル100ドル突破、一時111ドルまで急騰。原油の90%超を中東からの輸入に頼る日本株は米国株以上にダメージ大か

・米国トランプ大統領が「イランの無条件降伏」を要求、イランの徹底抗戦で戦争が続く限り株価下落は止まらない?停戦交渉に向けた動きが出れば、多少はリバウンド上昇も

・世界最大の資産運用会社ブラックロック(BLK)がノンバンク融資ファンドの一つで投資家の解約を制限。プライベートクレジット市場の信用不安拡大で銀行株の下落続くか。

・数千人規模の人員削減計画が報じられる米国のソフトウエア企業大手オラクル(ORCL)が決算発表。人工知能(AI)データセンター向け過剰投資が株価の下げ要因に?

3月9日(月)の日経平均

 前営業日比1,012円安の5万4,608円と大幅に反落スタート。その後下げ幅をさらに拡大、前場では一時4,213円安となる5万1,407円まで下落、2024年8月5日以来の歴代2位の下げ幅となりました。イラン情勢の長期化懸念など下落要因が多い一方で好材料がなく、下落展開はしばらく続きそうです。(3月9日13時時点)

今週のマーケット:原油価格150ドルも?「令和のオイルショック」で株価続落か

 今週の株式市場は米国トランプ大統領がイランに対して「無条件降伏」を要求するなど、戦争の早期終結が見込み薄なことで、株価の下落基調が続きそうです。

 この戦争が株価の大きな下げ要因になっているのは、原油輸送の要衝・ホルムズ海峡が事実上封鎖され、中東の産油国が戦争に巻き込まれているからです。

 原油価格の指標となるウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI:米国西テキサス産出の良質な原油)の先物価格は先週12.2%も急騰し、1バレル90.9ドルまで上昇。

 今週すでに100ドルを突破、一時111ドルまで急騰しており、中東の産油国カタールのエネルギー相は紛争が長引けば1バレル150ドルに急騰して「世界経済が崩壊しかねない」と警告しています。

 週末には、イランのペゼシュキアン大統領が近隣の中東諸国を攻撃の標的にしないことやホルムズ海峡を航行する米国、イスラエルに関係しない船舶は攻撃しないと発言。

 しかし、サウジアラビアやアラブ首長国連邦の石油施設には週末もイランのドローンによる攻撃があり、激しい戦争が続いています。

 最高指導者ハメネイ師を殺害されたイランがそう簡単にホルムズ海峡の安全航行を確約するとは思えないため、原油高による世界経済の景気後退懸念が株価の足を引っ張り続けそうです。

 日本政府内では254日分とされる石油備蓄の放出も検討されていますが、原油の90%以上を中東からの輸入に頼る日本が「令和のオイルショック」に見舞われても全くおかしくありません。

 実際、先週は米国のS&P500種指数が前週末比2.02%安だったのに対して、日経平均株価(225種)は5.49%(3,229円)安の5万5,620円で終了。

 6日(金)夜間の日経平均先物価格(期近)も前日比1,710円下落の5万4,020円で取引を終了しており、今週も日本株へのダメージは米国株以上に大きくなりそうです。

 さらに株式市場の二重苦、三重苦となっているのが、米国のプライベートクレジット市場(銀行を介さず投資ファンドが企業に直接融資するノンバンク融資市場)で拡大する信用不安、AIデータセンターに対する過剰投資、物価高と景気後退が同時進行する米国のスタグフレーション懸念です。

 先週6日(金)には世界最大の資産運用会社ブラックロック(BLK)が、260億ドル(約4.1兆円)規模のプライベートクレジットの旗艦ファンドからの資金引き出し制限を行い、前週末比10%安と急落。

 2025年10月に破たんした米国の自動車部品メーカー、ファースト・ブランズ・グループ向け融資で約200億円の貸し倒れ費用を計上した米国の地方銀行ウェスタン・アライアンス・バンコープ(WAL)が8%安。

 その他にも、2月下旬に破たんした英国住宅ローン会社向け融資が焦げ付きそうな米国資産運用会社ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ(JEF)が14%安となるなど、金融株が急落しています。

 また、米国のソフトウエア企業大手・オラクル(ORCL)がAIデータセンター向け過剰投資による資金ひっ迫で、人員削減や生成AIソフト「ChatGPT」を運営するオープンAIと進めていた米国テキサス州のデータセンター拡張計画の中止を発表。

 オラクルは今週の日本時間11日(水)早朝に2025年11月-2026年1月期決算を発表予定です。

 前回2025年12月の決算発表では過剰なAI投資に比べてクラウド事業の売上高の伸びが低調だったことで株価が急落。2026年に入ってからも前年末比22%も下落中で、今回の決算発表でも一波乱ありそうです。

米国で2月CPIなど物価指標発表。スタグフレーション懸念が株安に追い打ち?

 今週は11日(水)に米国の2月消費者物価指数(CPI)、13日(金)に1月個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表。

 2月CPIは前年同月比2.5%上昇と、前月1月より伸び率が拡大する予想です。

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が最重要視する、食品・エネルギーを除いた1月のコアPCEデフレーターも前年同月比3.1%上昇予想で、前月より物価高が進む見通しです。

 先週6日(金)には米国の2月雇用統計が発表。非農業部門雇用者数が予想の5.5万人増に対して実際は9.2万人の減少、失業率が4.4%に上昇するなど、米国雇用市場の悪化が6日の米国株安につながりました。

 今週発表の物価指標が予想以上の伸びを示すと、物価高と景気後退が同時するスタグフレーション懸念が台頭しそうです。

 米国のガソリン価格は先週すでに2024年9月以来の高値をつけており、米国内には「2026年の年内利下げはもうない」という観測も浮上。

 今週の物価指標の結果がさらなる株安につながる恐れが高くなっています。

 日本でも日本銀行が原油高による物価再上昇を抑え込むため4月に利上げに踏み切らざるを得ないという観測が流れています。

 ただ、相場が過度に悲観的になり過ぎている中、トランプ大統領がイランに対する過激な姿勢を突如、方針転換することで再びTACO(Trump Always Chickens Out:トランプはいつもビビって引く)トレードが発生する可能性もあります。

 また、日本と同様に中東の原油に対する依存度が高い中国では、米国のイラン攻撃にもかかわらず、3月31日(火)~4月2日(木)の日程で米国トランプ大統領の訪中が予定されています。

 先週6日(金)には米国航空会社のボーイング(BA)が中国から主力の航空機「737MAX」500機分を受注する見通しと報じられるなど、米中会談に向けたディール案件も進行中。

 3月末の米中首脳会談を前に、中国に対する米国優位の状況が明確になり、何らかの形でホルムズ海峡の封鎖解除に向けた外交的な動きが出るようなら、株価の下支えにつながるかもしれません。

 来週3月19日(木)には日米首脳会談も迫っています。

 6日(金)に訪米した赤沢亮正経済産業相は、トランプ新関税の全世界一律15%への引き上げ対象から日本を除外する要請を行った模様。

 関税政策が日本の要望通りにまとまるようなら、日本株の支援材料になるでしょう。

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