米国とイスラエルによるイランへの攻撃を受け、金融市場に警戒感が漂っています。一方、高市ラリー第二弾にはさらに追い風も。トランプ「相互関税」に米最高裁が違憲判決を下し、トランプ関税の暴走は抑えられる期待が出ました。高市政権による成長戦略への期待が高まる中、AI関連投資の盛り上がりが続くなど、日本株には好材料もあります。
イラン攻撃、2日日経平均は下落の見込み
中東情勢の混乱が深刻化しています。米国とイスラエルは2月28日、イランへの攻撃を開始しました。イラン国営メディアは3月1日、最高指導者ハメネイ師の死亡を発表。報復が大規模な紛争に発展しつつあります。要衝のホルムズ海峡が事実上封鎖されたことも伝わり、原油価格の高騰も予想されます。
2日の日経平均株価は、下落して始まる見込みです。長期化するようならば、世界経済への影響が大きくなります。この混乱がどれだけ長引くか、慎重に見極める必要があります。
高市ラリー第二弾、先週の日経平均は最高値を大幅更新
先週(営業日2月24~27日)の日経平均株価は、1週間で2,024円(+3.6%)上昇して5万8,850円となり、最高値を大幅に更新しました。
高市政権による、財政拡張を伴う積極的な成長戦略への期待が続いていることに加え、先週は以下三つが好感されました。
【1】相互関税に違憲判決
トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて導入した「相互関税」などに米最高裁が「違憲」判決。トランプ関税の暴走に歯止めがかかる期待が高まりました。トランプ大統領は、他の法律に基づいて関税を強化する方針ですが、これまでのように大統領の一存で関税を決められなくなる可能性があります。
【2】日銀による早期利上げ観測が後退、円安に
高市早苗首相が利上げに難色を示したとの報道や、日本銀行の次期審議委員の人事案がややハト派寄りととられたことを受けて、早期利上げ観測がやや後退し、為替が円安ぎみに推移しました。
【3】半導体・AI関連株の上昇が続いた
米半導体大手エヌビディア(NVDA)の好決算などから高水準のAI関連投資が続く期待が強まりました。
<日経平均週足:2025年1月6日~2026年2月27日>
高市ラリーは二段階で進んでいます。第一弾は、昨年10月4日自民党総裁選で高市早苗氏が勝利した直後の日経平均急騰です。外国人投資家が日本株を大量に買ってきたことによって起こりました。
第二弾は、2026年に入ってからの急騰です。高市首相が衆議院解散総選挙を表明し、総選挙で大勝したことを好感する外国人の買いで日経平均が急騰しています。
アベノミクス相場に近似、相場の過熱感に注意
2013年に第2次安倍内閣がスタートした時も、今と似たラリーがありました。その時は、アベノミクスの成長戦略への期待で、外国人投資家が日本株を大量に買いました。アベノミクス相場では、日経平均の上昇ピッチが速過ぎて、相場に一時、過熱感が出ました。そこで、「バーナンキ・ショック」【注】が起こり、日経平均は一時急落しました。
【注】バーナンキ・ショック
2013年5月22日、当時の米連邦準備制度理事会(FRB)議長であったバーナンキ氏が、「将来、金融緩和の縮小が必要」と発言したことをきっかけに、世界中の株が暴落した。バーナンキ氏の発言以外に、政治・経済面でとりたてて悪材料は無かったので、バーナンキ・ショックと呼ばれる。
2013年の日経平均推移の図をご覧ください。
<2013年の日経平均推移:2013年1月4日~12月31日>
2013年の日経平均は、1年間で56.7%も上昇しています。2012年12月26日に第2次安倍政権がスタートして、アベノミクスといわれる資本主義の成長戦略を強力に推し進めたことを好感して、日経平均が急騰した年です。とはいえ、激しく乱高下した年でもあり、売買のタイミングを間違えると、日本株で大損することもあった年です。
それでは、現在の高市ラリーを、2013年のアベノミクス相場と比較してみましょう。
<高市ラリーとアベノミクス相場の比較:高市ラリー2025年7月1日~2026年2月27日、アベノミクス相場2013年1月4日~12月30日、起点の日経平均を100として指数化>
注:高市ラリーの起点をどことするか議論が分かれるところです。私は、高市ラリーは2025年7月1日、日経平均が約4万円であったところを起点としました。石破前政権が終盤に入り、そろそろ政権交代が予想されるという辺りから、政権交代への期待が始まっていたと判断しました
ご覧いただくと分かる通り、高市ラリーの日経平均は、アベノミクス相場と似た上昇軌道をたどっていますが、一つ重要な相違点があります。
アベノミクス相場では、バーナンキ・ショック直前に日経平均がひどく過熱し、そのために、短期的に暴落をはさんでの上昇となりました。一方、高市ラリーでは、アベノミクス相場ほどの過熱にはなっていません。
理由は明らかです。高市政権は、少数与党としてスタートしたため、政権発足当時は、思い通りの政策を実行できるか、懐疑的な見方もあったということです。そのため、政権発足直後の2025年11~12月の日経平均は弱含んで推移しました。それが、過熱を抑制する役割を果たしました。
ただし、2026年に入り、解散総選挙で、自民単独で衆院議席の3分の2超を得る大勝をしたことにより、高市政権の政策実行力に対する懸念は無くなりました。これで、足元、日経平均は「やや過熱」しています。
日本株の投資判断
日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと判断しています。ただし、短期的な株価上昇ピッチがやや速すぎることには、注意が必要です。バーナンキ・ショック直前のアベノミクス相場ほどの過熱ではありませんが、やや過熱しているため、何かショックが起これば、短期的に急落することはあり得ます。
日本株はこれからも急落・急騰を繰り返しながら、上昇していくと予想しています。時間分散しながら割安な日本株に投資していくことが、長期的な資産形成に寄与すると思います。
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