ドラッコノミクス(Druckonomics)とドラッケンミラーのポートフォリオ
米国のスコット・ベッセント財務長官とケビン・ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長候補は、ともに伝説的な投資家スタンレー・ドラッケンミラーの弟子として広く知られている。
スコット・ベッセントは1991年にドラッケンミラーによってジョージ・ソロス氏のソロス・ファンド・マネジメントに採用され、1992年の英ポンド空売り(ポンド危機)の際、ドラッケンミラー氏の右腕として活躍した。ドラッケンミラーはベッセントの長年のメンターであり、二人の絆は「父と子」のようだと評されている。
一方、ケビン・ウォーシュは2011年にFRBの理事を退任した後、ドラッケンミラーのファミリーオフィスであるデュケーヌ・ファミリー・オフィスのパートナーに就任した。約15年間にわたりドラッケンミラーのビジネスパートナーとして活動し資産運用に深く関わってきた。
米国の経済政策のトップ(財務長官)と中央銀行のトップ(FRB議長指名候補)の両者が同じ巨匠の門下生であることは、「ドラッコノミクス(Druckonomics)」とも呼ばれ、市場の注目を集めている。
さて、師匠のスタンレー・ドラッケンミラー(デュケーヌ・ファミリー・オフィス)の現在のポートフォリオはどうなっているのだろうか?
ファミリーオフィス、デュケーヌ・ファミリー・オフィスが2025年第4四半期に、世界最大級のアルミニウム企業であるアルコア(AA)、鉱山会社のサザン・コッパー(SCCO)などの株式を新たに保有したことが分かった。
デュケーヌ・ファミリーオフィスが17日に米証券取引委員会(SEC)に提出したフォーム13Fによると、アルコア株を約137万株、サザン・コッパー株を約12万株新たに取得した。
アルコア(日足)
アルコアは、ペンシルベニア州ピッツバーグに本拠を置く、アルミニウム生産を手がけるメーカーで、アルミの原料となるボーキサイトの採掘からアルミナ精錬、アルミ地金の製造まで一貫して行っているのが強みで、自動車・航空機産業など向けに製品を供給している。
1888年の創業以来、世界的なアルミメジャーとして、アルミ地金やアルミナの安定供給において重要な役割を担っている。
サザン・コッパー(日足)
サザン・コッパーは、世界最大級の銅埋蔵量を保有する鉱山会社で、ペルーやメキシコを中心に、銅、モリブデン、亜鉛、銀の採掘、製錬、精製を一貫して行っている。銅に関しては世界トップクラスの埋蔵量を誇っており、銅価格が上昇する中、低コストで採掘可能な大規模鉱山を自社保有している点は、競合他社に対する強力な優位性である。
一方、デュケーヌ・ファミリー・オフィスはアーム・ホールディングス(ARM)やバンク・オブ・アメリカ(BAC)、シティグループ(C)、メタ・プラットフォームズ(META)、電力のビストラ・コープ(VST)を含む30銘柄を売却した。アーム(約16万株)、メタ(約7万株)、エネルギーのビストラ・コープ(約23万株)については、前の四半期(第3四半期)に取得して3カ月での売却となる。
2025年12月末時点でデュケーヌ・ファミリー・オフィスが保有する米国上場株式数は59銘柄と、3カ月前(2025年9月)に比べて差し引き4銘柄減少した。
2025年12月末時点のデュケーヌ・ファミリー・オフィスのポートフォリオ
出所:フォーム13Fより石原順作成
デュケーヌ・ファミリー・オフィスが保有する上位10銘柄(2025年12月末時点)
デュケーヌ・ファミリー・オフィスが保有する上位10銘柄(2025年9月末時点)
12月末時点の上場株式ポートフォリオを評価額順にまとめると、トップは前回同様、テキサス州オースティンに本拠を置く臨床遺伝子検査会社ナテラ(NTRA)だった。ただし、保有株数は3カ月前に比べて約8万株減少した。
前回2位だった希少疾患の研究と開発を行うインスメッド(INSM)は3位に、そして前回3位だったテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(TEVA)は7位に後退した。
半導体大手TSMC(TSM)については、保有株数の約3割(22万株)を売却し、持ち高は3カ月前の76万株保有から54万株に減少、上場株ポートフォリオの中で9番目の評価額となった。中でも特に取り上げたいのは、アマゾン・ドット・コム(AMZN)株とグーグルを傘下に持つアルファベット(GOOGL)株の保有株数を増やしたことだ。
TSMC(日足)
アマゾン・ドット・コム(日足)
アルファベット(日足)