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投資のヒントがいっぱい!個人投資家インタビュー

S&P500、「上がっている理由がわからないこと」が怖い

2026/2/24 7:30

 1月下旬、金(ゴールド)関連の調査機関が、統計を公表しました。これは、2025年が金(ゴールド)市場にとってどんな年だったかを考察したり、今後の長期視点の金(ゴールド)相場の動向を展望したりする際の大きなヒントになり得ます。

目次
  1. 下がった株価指数を見つけることは困難
  2. 「上がっている理由が分からない」怖さ
  3. ポピュリズムとハイテクが同時高を増強
  4. M2増加は「クレクレ&バラマキ」の象徴
  5. [参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
S&P500、「上がっている理由がわからないこと」が怖い

下がった株価指数を見つけることは困難

 グラフは、米国の主要株価指数の一つである、S&P500種指数の動向を示しています。2010年ごろから騰勢を強めたことが分かります。

図:S&P500、原油、銅の価格推移(年間平均 1986年を100 2025年まで)

図:S&P500、原油、銅の価格推移(年間平均 1986年を100 2025年まで)
出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 2010年の同指数(年間平均)はおよそ1,100ポイントでした。2025年は6,200ポイントでした。この間、同指数は5倍以上になりました。最近の2年間(2023年から2025年まで)では、約1.5倍(+50%)です。

 図が示すとおり、世界各地のさまざまな株価指数も、大きく上昇していることが分かります。S&P500が約1.5倍になった最近の2年間の騰落状況を確認すると、参照した47の株価指数のうち、およそ93%に当たる44の株価指数が上昇しました。全体として、騰落率(平均)は+26.5%でした。

図:株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2023年と2025年の年平均を比較)

図:株価指数(現地通貨建て)の地域別騰落率(2023年と2025年の年平均を比較)
出所:Investing.comのデータより筆者作成

 S&P500の推移や、世界各地のさまざまな株価指数の騰落状況より、近年は特に、世界全体で株高だったことが分かります。下がった株価指数を見つけることが困難だったとも言えます(下落した株価指数は、SET(タイ)、PSEi Composite(フィリピン)、OMXC25(デンマーク)の三つです)。

 世界同時株高の中、ほとんど横ばい、あるいはやや下落した銘柄があります。先ほどのグラフで示した、銅と原油です。銅は「ドクター・カッパー」、原油は「経済の血液」と呼ばれ、これらの価格動向が、世界全体の経済情勢の活況度を示すバロメーターになり得るといわれることがあります。

 こうしたバロメーターが、ほぼ横ばい、あるいはやや下落する中で、世界同時株高が起きていた事実を、どのように受け止めればよいでしょうか。銅と原油の価格がバロメーターとは言いにくくなった、という指摘はあるかもしれません。

 とはいえ、世界同時株高は、米国でトランプ政権の2期目がはじまり、世界中に関税に関わる不安が広がったり、世界のさまざまな地域で地政学的リスクが噴出したりした時期に起きました。

 世界中で困難なことが多発する中でなぜ、世界中の株価指数は上昇することができたのでしょうか。この問いの答えを探す思考は、金(ゴールド)相場の長期視点の行方を展望する際の大きな助けになります。

「上がっている理由が分からない」怖さ

 グラフは、上場投資信託(ETF)および中央銀行をきっかけとした金(ゴールド)需要と金(ゴールド)価格の推移を示しています。1月29日に世界的な金(ゴールド)の調査機関であるワールド・ゴールド・カウンシルが公表した需給に関する統計を参照しています。

図:ETFおよび中央銀行をきっかけとした金(ゴールド)需要と金(ゴールド)価格の推移

図:ETFおよび中央銀行をきっかけとした金(ゴールド)需要と金(ゴールド)価格の推移
出所:ワールド・ゴールド・カウンシルのデータを基に筆者作成

 ETF(類似商品を含む)をきっかけとした金(ゴールド)の需要が、2025年に大きく増えたことが分かります。+801トンは中央銀行をきっかけとした同需要に迫る水準で、同年の金(ゴールド)需要全体のおよそ16%を占めました。

 ETFは「上場投資信託」と呼ばれ、「上場」という言葉のとおり、株のように取引をすることができる金融商品です。日本や米国だけでなく、世界のさまざまな証券取引所で取引をすることができます。

 個人投資家はもとより、法人として運用益を大きくすることを目指す機関投資家も、多くがETFで金(ゴールド)の取引をしています。こうした投資家によるETFの購入が増えたことで、2023年から2025年までの2年間で1,000トンを超える金(ゴールド)の需要が生まれました。

 こうした、ETFをきっかけとした金(ゴールド)の目覚ましい増加がみられた時期は、グラフの上部に記載した金(ゴールド)価格の推移が示すとおり、金(ゴールド)価格が歴史的な高値を更新し続けた時期でした。そして先述の「世界同時株高」の時期でもあります。

 株高・金(ゴールド)高の中で、ETFをきっかけとした金(ゴールド)需要が増加する背景を、図のようにまとめました。(1)の短期的な有事拡大をきっかけとした株安に備えるためは、多くの投資家が伝統的に認識してきたことと一致しています。

 ただし、(2)と(3)については、「2010年ごろ」から目立ち始めた世界的な変化によって生じている背景です。(2)については、中央銀行が多くの市場に大きな影響を及ぼしていること、(3)については、SNSなどで世の中の思惑(期待・懸念)が膨張しやすくなったこと、を考慮しています。

(3)については、筆者がじかに、少なくない個人投資家の皆さまから聞いた体験も、参考にしています。

図:株高・金(ゴールド)高の中、ETF経由の金(ゴールド)需要が増加する背景

図:株高・金(ゴールド)高の中、ETF経由の金(ゴールド)需要が増加する背景
出所:筆者作成

 近年、筆者はイベントなどで個人投資家の皆さまから、「株価指数が上昇している理由が分からない」「今、景気が良いとは全く思えない。しかし、株価指数は上昇している」「理由が分からないから怖い」「だから金(ゴールド)に興味を持った」という趣旨の言葉を何度もうかがいました。

 上昇していることが分からないことへの不安・恐怖は、金(ゴールド)を保有するれっきとした動機になり得るのです。このことは、個人投資家だけでなく、機関投資家も同じだと思われます。

 2020年にETFをきっかけとした需要は減少しました。これは、金(ゴールド)価格が高くなったことや、株価指数が上昇した影響が大きかったと言えます。

 しかし、足元は、株価指数が上昇しても、金(ゴールド)価格が高値を更新しても、ETFをきっかけとした金(ゴールド)の買いは増えています。このことは、株価指数の高騰がかえって不安を大きくし、金(ゴールド)を買う動機を強めていることの証しであると言えます。

 さらには、2010年ごろから目立ち始めた世界的な変化が株価指数の(実態を感じにくい)上昇を後押ししていることが、個人投資家だけでなく、機関投資家の間で浸透し始めたことを示唆していると言えます。

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