金相場は反発した。

ドル安と地政学リスクが支援材料となっている。1,270ドルを超えて高値を更新しており、強い動きは続いている。6月のFOMCでの米利上げ観測が高まっているが、それ以降の利上げに市場は懐疑的であり、米長期金利が低迷している。これがドルの上値を抑えており、金相場の下支え要因になっている。

米国の政治リスクの高まりを背景に、ドルは対主要通貨で下げている。6月の英総選挙を控える中、与党・保守党がリードを保っているとの世論調査の結果からポンドドルが上昇したことも、ドルの上値を抑える要因となっている。ユーロドルも1.12ドルを回復するなど、欧州通貨の堅調さは金相場には追い風となっている。

市場の関心は米雇用統計に向かっている。その内容次第では、今後の利上げペースに関する情報が得られる可能性があるだけに、注目度は高いといえる。しかし、FRBは利上げよりも保有する資産の圧縮を優先させる可能性が高そうであり、その場合にはドル安基調が続く可能性がある。また、住宅指標がやや緩んできており、これも利上げペースが上がってこない要因である。

このような背景もあり、金相場に関する長期的な見通しを変える必要はないと考えている。また、パラジウムが反発基調にあり、プラチナとの価格差が縮まっている。この動きにも注目しておきたい。

非鉄相場はまちまち。

中国の製造業購買担当者景況指数(PMI)が市場予想を上回ったことを受けて銅が上昇した。銅は5,600ドルの重要なサポートを維持しており、5,800ドルを超えると強気相場に入りやすくなる。アルミも1,920ドルを一時割り込んだが、引けでは1,930ドルまで戻しており、崩れてはいない。一方、ニッケルは8,950ドルまで下落し、節目の9,000ドルを割り込んだ。底抜けとなった感があり、警戒すべき動きといえる。インドネシア産、フィリピン産の供給拡大観測や中国のステンレス需要の先行き懸念が売り材料となったもようである。亜鉛は下げたが、2,600ドルの節目でかろうじて支えられている。

一方、中国の5月の製造業PMIは51.2となり、前月と同じだった。節目の50を引き続き上回った。5月の非製造業PMIは54.5と、前月の54.0から上昇した。中国国内の製造業購買担当者のセンチメントは悪化していないことが確認されたことで、一定の安心感が広がる可能性がある。

原油は続落。

リビアの産油量回復が嫌気された。この結果、OPECの月間産油量が今年初めて増加し、これを市場は売り材料視した。引け後に米石油協会(API)が発表した5月26日までの週の原油在庫は前週比870万バレル減と、市場予想の250万バレル減を大幅に上回った。

米国の原油在庫は減少傾向が続いており、これが原油相場を支えるだろう。また、米国ではガソリン需要期に入った。この時期に原油相場が下落するのはまれである。ガソリン需要は増加傾向が鮮明であり、また在庫の減少もすでに始まっている。これが材料視されていないのは、市場がよほど弱気であるということであろう。

OPEC加盟・非加盟国が減産の延長を行ったが、これが奏功するのを確認するころには、原油相場はあるべき水準に戻していることだろう。ロイター調査によると、5月のOPEC産油量は、減産を免除されているナイジェリアとリビアの供給増に伴い、前月比日量25万バレル増の3,222万バレルとなり、今年初めて増加した。

リビア国営石油会社(NOC)は、産油量が日量82万7,000バレルと、5月初旬に達成した3年ぶり高水準である80万バレルを上回ったとしている。ただし、11年の内戦前に記録していた160万バレルの半分にとどまっている。また、増産が最も大きかったのはナイジェリアだった。昨年2月に武装勢力による爆破を受けて以来、ほとんど停止状態だったフォルカドス・パイプラインで輸出カーゴの積み込みが開始された。