2月8日(日)に投開票が行われた第51回衆議院議員選挙で、自由民主党が単独で定数(465)の3分の2以上を獲得し、大勝しました。これにより、第2次高市政権が目指す積極的財政、物価高対策、各種成長戦略が加速する期待が大きくなりました。
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著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「チョコレートも安くなる?高市政権、シン物価高対策へ」
今年も「ほろ苦いバレンタインデー」に
グラフは、板チョコレート一枚あたりの小売価格(東京都区部 税込 50グラムあたり)の推移を示しています。
図:板チョコレート一枚あたりの小売価格(東京都区部 税込) 単位:円/枚(50グラムあたり)
2020年ごろは100円前後でしたが、2022年ごろから徐々に上昇し始め、2024年後半から2025年にかけて急上昇しました。足元の価格水準は200円前後です。板チョコレート一枚あたりの小売価格がこのおよそ6年間で約2倍になりました。
グラフは、板チョコレートの小売価格と深く関わる、日本のカカオ関連品の輸入単価とカカオ豆の国際価格、そしてドル/円相場の推移を示しています。
ドル/円相場が100円を大きく割り込む極端な円高局面では、カカオ関連品の輸入単価が、カカオ豆の国際価格よりも安くなる、逆に140円を上回る記録的な円安局面では、カカオ関連品の輸入単価が、カカオ豆の国際価格よりも高くなる傾向があります。ドル/円相場の動向が、カカオ関連品を含む輸入品の単価に強い影響を及ぼしていることが分かります。
また、カカオ豆の国際価格が2023年ごろ以降、急上昇した背景に、西アフリカなどの主要な生産国における大規模な供給障害、戦争などをきっかけとした世界的な供給網の混乱などが挙げられます。
図:日本のカカオ関連品輸入単価とカカオ豆国際価格(2008年=100)およびドル/円の推移
近年の日本国内の板チョコレート一枚あたりの小売価格の急上昇は、カカオ豆の国際価格の急上昇と記録的な円安によってもたらされているといえます。
日本国内のチョコレートの需要の大きさや、販管費・人件費などの動向の影響も受けていますが、カカオ豆の国際価格の急上昇や記録的な円安が始まったタイミングと、日本国内の板チョコレート一枚あたりの小売価格が大きく上昇し始めたタイミングがおおむね同じであることから、日本国内の板チョコレート一枚あたりの小売価格の動向は、カカオ豆の国際価格とドル/円相場の変動の影響を強く受けているといえます。
今回の衆議院議員選挙では、自民党を含む多くの政党が物価高対策および減税を公約に掲げました。その中で、「食品」における消費税をどのように扱うのかに、大きな注目が集まりました。今後、ここで述べた板チョコレートの小売価格も、食品における消費税の減税などによって安くなるかもしれません。
日本で各種物価指数が底上げ・上昇中
グラフは、日本の輸入物価指数および国内の消費者物価指数(CPI)・企業物価指数の動向を示しています。近年、記録的な円安によって輸入物価指数(円ベース)が、高騰しています(緑色の折れ線)。このことは、先ほど述べた、カカオ関連品の輸入単価の件に関連します。そして、いずれの物価指数も、2020年以降、上昇傾向にあり、かつ2010年ごろ以降「底上げ」状態にあります。
また、消費者物価指数と企業物価指数という、主に日本国内の物価動向を映す指数の動向と、海外の物価関連指数が関わる輸入物価指数(契約通貨ベース・円ベースともに)の動向に、同じような傾向がみられることは、海外の主要国も2020年以降、上昇傾向にあり、かつ2010年ごろ以降「底上げ」状態にあることを、示唆しています。
こうしたことから、高市政権が今後物価高対策を進める際には、国内の物価動向だけでなく、ドル/円相場の動向、海外の物価動向など、注目するポイントを広範囲にする必要があるといえるでしょう。
図:日本の輸入物価指数および国内の消費者物価指数・企業物価指数(2020年=100)
先進国の消費者物価指数は長期上昇中
グラフは、米国、ドイツ、日本の消費者物価指数の推移を示しています。こうした先進国の消費者物価指数は、特に2020年以降、上昇が目立っています。1990年ごろから2010年ごろまで、デフレ期を過ごした日本でも、このころから消費者物価指数の上昇が目立っています。
複数の主要国で消費者物価指数が一様に上昇し始めた背景に、大規模な金融緩和を背景とした、いわゆる「金(カネ)余り」「じゃぶじゃぶ」と例えられる物価高が進行しやすい環境が、より目立ったことが挙げられます。
図:米国、ドイツ、日本のCPI 2010年=100
グラフは、米ドルのマネーストック(M2)の推移を示しています。1971年のニクソンショックを機に、米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、金(ゴールド)の保有量にかかわらず通貨を発行できるようになりました。
当時は経済発展のための通貨供給が行われていました。2008年に発生したリーマンショックへの対応として、2009年から2011年ごろにかけて断続的に大規模な金融緩和(量的緩和)が行われた際、金融緩和が経済を回復させる大きな期待をもたらし、そして株式市場を大いに盛り上げる策になることが、世界中に広く知れ渡りました。
そして2020年に起きた新型コロナショック直後も、大規模な金融緩和が行われ、それを機に経済が回復し、株式市場が活況を呈しました。2023年ごろは金融政策の正常化の名のもと、マネーストックが減少する場面が見られましたが、2024年ごろ以降、再びマネーストックは増加し始めました。
図:米ドルのマネーストック(M2) 単位:10億ドル
マネーストックが膨張し、社会に資金があふれる状態になると、通貨の価値が実物資産に対して安くなるという思惑が大きくなります。裏を返せばこうした状態は、実物資産の価値が通貨に対して高くなるという思惑が大きくなります。つまりこれが、2020年ごろから目立っている物価高(インフレ)の起源です。
米国、ドイツ、日本などの先進国で2020年以降、目立って消費者物価指数が上昇している背景に、大きな景気刺激策になり得る金融緩和が行われたこと、そしてそれを市場が継続して求める動きが垣間見えることが挙げられます。
市場や個人を含む社会が緩和的な措置を求め、それに中央銀行が応じることが繰り返される中、2010年ごろを起点に目覚ましい向上が見られたSNSやAIなどのハイテク技術によって増幅されたポピュリズム(人気取り)が加わったことで、多くの主要国で「バラマキ政治」と「クレクレ民主主義」が広がりました。
今回の衆議院議員選挙でも、SNSが大きな役割を果たしたといわれています。高市早苗首相が率いる自民党もSNSの恩恵を受けたといえるわけですが、その見返りとして、ある意味「どうバラマクか?」が問われ始めるようになったといえます。
「バラマキ政治」と「クレクレ民主主義」は相互に作用し、社会に出回る資金の量を膨張させ、物価高(インフレ)を助長する要因になり得ます。高市内閣は大変に難しい政権運営を迫られているといえます。
チョコレートも安くなる?高市政権、シン物価高対策へ
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