2026年のBTC相場は最初からつまずいた。2025年は史上最高値を更新するも終盤に失速し、底固めに失敗。ピークからの下落率は4割を超え、「冬の時代」到来を印象付けた。なぜこうなったのか? いつまで続くのか? BTCはもう終わりなのか? 楽天ウォレット・シニアアナリスト:松田康生、通称MATT(マット)が、2026年2月の方向性を分析する。
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著者の松田 康生が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「ビットコイン急落「冬の時代」入り、2月に反転上昇あるか」
1月のビットコイン相場~
1月のBTC市場振り返り
1月のビットコイン相場は下落。
月前半は9.8万ドル近辺まで値を伸ばし、底固めに成功したかに思われたが、1月末から2月初にかけて8万ドルを割り込み、弱気相場入りした。
年初は堅調に推移。BTCは8.7万ドルで始まると、年末に売られたポジションの買い戻しや年初の投資計画に沿った購入、いわゆる「年初の買い」や、ベネズエラのマドゥーロ大統領拘束により地政学的リスクが後退したとの見方もあり9.4万ドル台に値を伸ばした。
この水準は11月11日の10.7万ドルから11月21日の8万ドルへの下落の半値戻しにあたる底固めの第一関門で、昨年何度か跳ね返されており、年初の買いが一巡したこともあり今回も9万ドル近辺に値を落とした。
上院がCLARITY法案(クラリティ法案:米国におけるデジタル資産規制の「管轄権の明確化」を定める法案。どのデジタル資産がどの規制機関の監督下に置かれるかを法律で明確に定める)の草案を公表、審議日程も決まり、いよいよ上院通過が近づいたとの見方から9.4万ドルを上抜けると、底固めの第2関門9.8万ドル手前まで値を伸ばした。
しかし、トランプ政権の大口献金者でもあるコインベースのアームストロングCEOがステーブルコインへの付利禁止条項を巡り反対に回ると法案の審議が延期され、成立が不透明になった。
さらにトランプ政権のグリーンランド取得騒動で米欧が対立、BTCはリスクオフ気味に9万ドルを割り込んだ。ダボス会議でトランプ大統領が対欧関税を撤回すると市場はリスクオンに振れたが、このころから金や米株が回復、史上最高値を更新してもBTCがついていけない展開が続いた。加えて介入警戒感からドル/円が急落する中、円建て価格は上値の重い展開が続いた。
するとマイクロソフトの決算内容自体は良好だったものの過剰な設備投資と回収への懸念から株価が1割以上下落、リスクオフ気味にBTCは急落、昨年11月の安値8万ドル手前でなんとかサポートされた。この間、金価格は騰勢を強め、ついには1日強で1割上昇、銀価格はさらに荒っぽい値動きをするに至った。
そうした中、次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長候補にタカ派のケビン・ウォーシュ氏が選ばれると金・銀が急落、BTCも8万ドルを割り込み、昨年4月の安値7.4万ドルまで値を下げた。さらにAnthropicという会社がAIで法務自動化ツールを開発、既存の業務ソフト会社株が急落、リスクオフの流れでBTCは一時7.2万ドル台まで値を下げた。
なぜBTCは下がったのか
ETFフロー
1月のBTC相場はほぼ上場投資信託(ETF)フローで説明できる。この不振の原因を巡って暗号資産業界内ではさまざまな説明が飛び交っている。
昨年10月10日の大量清算の余波だとか、DeFi(ディーファイ:中央管理者を介さずにブロックチェーン上で金融サービスを提供する分散型金融システム)でのマージンコールだとか、オンチェーン分析による売り圧力だとか、その多くはインナーサークルに起因するものだが、既存ユーザーを見ていてもBTC相場の動きは分からない。
なぜなら、これまでの相場の上昇を支えてきたのは外部からの資金流入だからだ。ブロックチェーン上には既存ユーザーの情報はあっても、外部の資金についての情報は記録されていない。
ETFフローとBTC価格
そのETFフローで見ると、9万ドルから7.4万ドルに急落した最終週に15億ドル流出したのに対し、週明け2月2日に5億ドルの流入があり、7.4万ドルから7.9万ドルに反発した。そして3日は再び流出に転じBTCは失速した。
代表的な金ETF、SPDRとiSharesの2社で1月に約50億ドルの資金流入があった。これに対し、BTC ETFは前半に12億ドルの流入、後半に28億ドルの流出に転じた。
この結果、1月の前半は金とBTCの動きはおおむねシンクロしたが、後半は金とBTCがダイバージェンス、反対方向に推移した。同じ投資家が行ったかは不明だが、ETF市場で金買い・BTC売りの動きがあったもようだ。
金とBTC価格
おそらくは、金相場が第4コーナーを回って過熱から熱狂にシフトチェンジする中、ETF投資家の間で資金を金に振り向ける動きが見られたと思われ、金の上昇が一服し、市場が落ち着けばBTCにフローが戻ってくると考える。
新FRB議長
一方、金や銀相場が急落した場面でもBTCは失速した。これはウォーシュ元FRB理事が次期議長に指名されたことがきっかけだ。
同氏はスタンフォードで経済学士、ハーバードで法学博士を取得、モルガン・スタンレーで7年勤めたのち、ブッシュ政権で国家経済会議の事務局を務め、2006年から35歳で史上最年少のFRB理事に就任、リーマンショック後の処理では現場経験を生かしバーナンキ議長の右腕として辣腕(らつわん)を振るった。
その彼が2011年に任期途中で辞任したのは量的緩和を巡る議長との意見の不一致が原因といわれている。実際、昨年11月のWSJへの寄稿でも現FRBのバランスシートは巨大すぎると批判している。
FRBのバランスシート、すなわちドルの発行量を絞ろうと考える議長の誕生は、法定通貨の減価に対するヘッジと目されている金やBTCへダメージとなるという発想だが、一方で利下げについては柔軟なもようだ。AIの普及などでインフレが抑えられ利下げ余地が生じると主張している。
また同氏はFRBの役割縮小も主張しており、ドルの減価の原因である財政ファイナンスも、国民がそれを望むのであれば、FRB議長が代わったからといって止められるものではないと考える。
トレジャリー企業
今回の下落で外部資金を調達して暗号資産を購入するトレジャリー企業にも注目が集まった。70万BTC以上保有するストラテジー社の持ち値7.6万ドルを一時割り込み、本邦の代表格、メタプラネット社の含み損が1,300億円を超えたと報道された。ETHに投資するビットマイン社の含み損は60億ドルを超えたとも報じられた。
ただ、こうした企業の多くは株式で購入資金を調達しており、保有暗号資産の時価が下がっても債務超過には陥らないし、資金繰り上、暗号資産を現金化する必要もない。
例えると、こうした企業は償還義務のないファンドのようなもので、含み損が発生しても、それは株主が間接的に被っているだけで、企業自体に保有資産を売却するインセンティブはないわけだ。むしろ含み益が発生した時の方が株主から現金化・配当を求められるリスクが生じる構図だ。
従って、価格が下がると、こうしたトレジャリー企業が含み損に耐えかねて売りに回るという懸念は杞憂(きゆう)に終わりそうだ。ただし、本業がしっかりあって、資産運用の一つとして暗号資産に投資しているような企業が手放す可能性はあるが、市場への影響は限定的か。
CLARITY法案
1月のBTC相場が9.8万ドルでピークアウトした直接のきっかけはCLARITY法案だが、これには少し解説が必要だ。
CLARITY法案(別名市場構造法案)は暗号資産を定義する法律がないためにゲンスラー前委員長下でSECによるスラップ訴訟の乱発を招いた反省から、暗号資産を定義し、所管を明らかにする(主にCFTC)法律で、昨年7月に下院を通過、上院での審議を待つ状態だ。
これより前にGENIUS法(ジーニアス法:米国におけるデジタルドル[ステーブルコイン]の発行や管理に関する法律)といってステーブルコインを定義する法律が上下両院を通過、施行を待つ状態だが、この法ではステーブルコインの付利が禁止されている。
ステーブルコインの付利を認めると、預金に類似した商品となり、預金が流出し貸し出しが減り経済が停滞しかねない、預金者保護も十分でないという銀行ロビーの主張を反映したものだ。
一方で、ステーブルコインの発行体による付利は認められていないが、それを預かるカストディーによる付利は規定されておらずグレーゾーンとされていた。
銀行ロビーは、この不備をCLARITY法案で規定することを求め、カストディーによる付利の禁止、ただしリワードプログラム(ポイントのようなもの)は認める妥協案で決着した。共和党の過半数で可決する下院と異なり、法案可決に実質6割の賛成が必要な上院での超党派での合意だった。
ところがコインベースはこの妥協案に対し「悪法なら、ない方がましだ」と反対の姿勢を示した。コインベースはユーザーの利益を主張したが、実は同社はサークル社から同社保管分に関しては運用益を受け取れる約束があり、それを還元することで独占的地位を得ようとする個社の事情による反対で、他の暗号資産業者はホワイトハウスからも強烈な批判を浴びた。
預金金利を引き上げたくない銀行ロビーと、巨額献金を盾に業界の利益より個社の利益を優先するどっちもどっちの綱引きだったが、ホワイトハウスが三者による協議を設け、当初案通りで審議入りする方向になっている。
ビットコイン急落、「冬の時代」入り、2月に反転上昇あるか
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