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JR東海「買い」継続、最高益でもPBR0.9倍、リニア工事再開に期待(窪田真之)

2026/2/7 8:00

 JR東海は新幹線事業が好調で2026年3月期に2期連続で経常最高益を更新する見通しです。ところが、株価は、解散価値といわれるPBR1倍を大きく割り込んでいます。リニア中央新幹線の工事が静岡県でストップしているリスクが嫌気されています。筆者はリニア中央新幹線のリスクを考慮しても売られ過ぎと判断、投資判断「買い」を継続します。

目次
  1. JR東海を「割安な成長株」と評価
  2. 新幹線事業・多角化事業で成長してきたJR4社
  3. PBR1倍割れとは

JR東海を「割安な成長株」と評価

 JR東海(東海旅客鉄道:9022)を私は「割安な成長株」と評価、2025年6月3日レポート(株価3,113円)で買い推奨しました。株価はその後大きく上昇しましたが、2026年2月4日時点で、まだ株価純資産倍率(PBR)1倍を割れています。解散価値といわれるPBR1倍を割り込んだ「割安な成長株」として、引き続き「買い」を推奨します。

JR4社のPER、PBR:2026年2月4日時点

JR4社のPER、PBR比較:2026年2月4日時点
出所:PERは株価を2026年3月期1株当たり会社予想利益で割って算出、PBRは株価を2025年3月期1株当たり純資産(資本)で割って算出、QUICKより筆者作成

 上記の表「JR4社のPER、PBR(:2026年2月4日時点)」で、株価バリュエーションを比較しています。解散価値であるPBR1倍を割っているのはJR東海だけです。株価収益率(PER)で見ても、JR東海が一番低く、株価が割安と評価できます。

 JR4社の中で一番成長性が高いと考えられるJR東海は、本来ならば一番株価バリュエーションが高くなるはずです。ところが、逆に、一番バリュエーションが低くなっています。

 JR東海が次の成長事業としてスタートしたリニア中央新幹線の工事が静岡県で止まり、リニア中央新幹線の開業が遅延する見通しとなっていることが嫌気されて、JR東海だけ株価が特に低く評価されています。

 ただし、静岡県との話し合いも進みつつあり、いずれ静岡県で工事が再開されると期待できます。リニア中央新幹線の開業時期は大幅に遅れることとなりますが、それでも東海道新幹線とリニア中央新幹線で成長していく企業としての評価を変える必要はないと判断しています。

 それでは、JR東海の業績および株価の推移を以下、振り返ります。

新幹線事業・多角化事業で成長してきたJR4社

 JR4社とも、新幹線事業および多角化事業(不動産・観光事業など)がけん引して、コロナ禍前はそろって最高益を更新していました。コロナ禍で4社とも赤字転落しましたが、その後のリオープン(経済再開)・観光ブームによって、再び最高益を更新、あるいは最高益に近づいています。

JR4社の連結経常利益推移:2018年3月期~2026年3月期(会社予想)

JR4社の連結経常利益推移:2018年3月期~2026年3月期(会社予想)
出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成、▲は赤字

 好調な新幹線事業を柱として、JR東海は前期(2025年3月期)、いち早く経常最高益を更新しました。今期(2026年3月期)は2期連続で経常最高益を更新する見通しです。

 JR東海の強みは、以下2点です。

【1】新幹線事業の比率が高い
 JR東海が運営する東海道新幹線は、特に収益力も成長力も高い
【2】赤字ローカル線の影響が相対的に小さい

 JR東日本・JR西日本・JR九州は、過疎地の赤字ローカル線を抱えることが業績の足を引っ張っています。JR東海にも赤字ローカル線はありますが、その比率・業績への影響は小さく済んでいます。

 このようにJR4社の中で、一番収益力・成長力の高いJR東海が、一番株価バリュエーションで低く据え置かれているのは、リニア中央新幹線工事の遅れが原因です。

JR4社株価と日経平均の比較:2019年末~2026年2月4日

JR4社株価と日経平均の比較:2019年末~2026年2月4日
出所:2019年末を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所作成

 JR東海はこれまで新幹線を中心に成長、最高益を更新していく「美しい成長株」でした。ところが、さらなる成長を賭けて建設中のリニア中央新幹線の工事が静岡県で止まっていること【注】が重大な経営リスクとして意識され、2024年に株価が大きく下がりました。

【注】リニア中央新幹線の工事が静岡県でストップ
 大井川水資源への影響を巡る議論から、JR東海が進めるリニア中央新幹線の工事が静岡県で長らく差し止められています。JR東海は当初、品川-名古屋間を2027年に開業する予定でしたが、2034年以降になる、とみられています。大阪まで2045年までに開業の予定ですがそれも遅れる見通しです。

 全線開業すれば航空便の代替を含め、新規需要の拡大が期待されます。国内で実績を積めば、将来、海外へリニア中央新幹線技術の輸出も期待されます。ところが、開業が大幅に遅れる見通しとなったことで、JR東海の成長期待が低下するだけでなく、コスト負担が極めて重くなる不安が出ています。

 ただし、静岡県との話し合いは進捗(しんちょく)しています。リニア中央新幹線の工事に強硬に反対していた川勝平太知事(前知事)は辞任し、その後任として2024年5月に着任した鈴木康友知事は、「リニアの必要性は理解している」と述べ、JR東海や国との対話に前向きの姿勢を示しています。

 2026年1月24日には、リニア工事で大井川の水利用に影響が生じた場合の補償に関する確認書で、JR東海と静岡県の合意が成立しました。

 静岡工区での工事再開まで、まだ多くのハードルが残っていますが、実現に向けて進みつつあります。

 JR東海の株価は、JR東海が2025年4月30日の取締役会で、上限1,000億円の自社株買いを行うことを決議したと発表してから大きく上昇しました。ただし、それでもPBRから見た株式市場での評価は低いままです。以下、JR東日本とJR東海のPBR推移の比較をご覧いただくと分かります。

JR東海とJR東日本の連結PBR比較:2019年末~2026年2月4日

JR東海とJR東日本の連結PBR比較:2019年末~2026年2月4日
出所:QUICKより筆者作成

 リニア中央新幹線の静岡工区での工事が再開されるまで、JR東海に対する株式市場評価は低いままにとどまる可能性があります。私は、環境への影響に対する不安が解消され、早期に静岡県での工事が再開され、日本がリニア技術で世界トップを走り続けることが可能になることを強く期待しています。

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