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三菱総研に割安感、政府DX需要拡大が追い風(西 勇太郎)

2026/2/5 8:00

 コンサル大手の三菱総合研究所は、行政DXの需要急拡大や金融機関システム開発需要伸長といった追い風の中、過去10年間で売上高を1.4倍、当期純利益を1.7倍に伸ばしています。株主資本が1.9倍に増加したものの、時価総額は1.6倍増加にとどまっていることと、同業他社比較の観点から、株価には割安感があります。

目次
  1. プロローグ
  2. AI関連など大規模案件の増加で業績拡大
  3. 純利益は高水準、株価は上昇トレンド
  4. 業績拡大も、PBRは小幅に低下
  5. PBRの割安感が解消されれば株価は1万500円に
  6. 財務レバレッジが他社比で低く、ROEに上昇可能性
  7. 1,000億円以上の潜在的な使用可能資金

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
三菱総研に割安感、政府DX需要拡大が追い風

プロローグ

タローくん「政府向けコンサルティング大手の三菱総研って最近どうなの?」

ユーちゃん「AIや行政DXの大型案件が増えて、受注単価も利益も株価も全部上昇中。昔は調査が中心だったけど、今は行政DX、ビッグデータ分析、AI活用といった大規模案件が主役だよ」

タローくん「へぇ、割高になってそう」

ユーちゃん「むしろ割安。PBRは1.1倍で株価は5,000円割れだけど、同業並みに評価されれば株価は1万円台もあり得る」

タローくん「そんなに?」

ユーちゃん「財務レバレッジも低いから、これを高めれば1,000億円以上の追加資金を使える可能性もある」

タローくん「つまり伸びしろがあるってこと?」

ユーちゃん「そう。AI案件で伸びて配当も高い上、財務は健全」

タローくん「優等生すぎるね!」

ユーちゃん「そのうち『三菱総研に相談するAI』とか出るかもね」

AI関連など大規模案件の増加で業績拡大

 三菱総合研究所(3636 東京)(株価4,940円、時価総額778億円:2月3日終値)は政府関連コンサル大手で、金融機関向けITシステム開発なども行っています。三菱グループの創業100年を記念して民間主導での社会開発・研究を目的とし、グループ傘下企業の出資で1970年に設立されました。

 2004年以降、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)のコンピューター受託計算部門であった三菱総研DCSの株式を80%譲受し、コンサルティングとITシステム開発を二本柱とする現在の事業体制となりました。

 コンサルティング事業の柱である政府関連事業の2025年9月期における大規模受注案件は、総務省の「省人化・省力化による地域社会課題の解決に資する通信システムを用いたAI・自動運転等の検証に関する調査研究の請負」(28億円)、法務省の「戸籍情報連携システム等の工程管理等支援の請負」(9億円)、厚生労働省の「介護保険総合データベース等介護関連システムの改修に係る工程管理支援」(8億円)などです。

 案件当たりの平均受注単価は1億円でした。(出所:調達ポータル)

 比較のために8期前の2017年9月期における大規模受注案件を見てみると、総務省の「放送コンテンツ海外展開基盤総合整備事業の運営の請負」(10億円)、経済産業省の「中小企業実態基本調査の実施及び結果検証」(3億円)、財務省の「第4次通関情報総合判定システム(CIS)の設計・開発等に係る追加業務支援」(1億円)などでした。

 また、案件当たりの平均受注単価は4,000万円でした。

 大規模受注案件と平均受注単価の変化から明らかなとおり、過去8年間で案件金額単価は大きく増加しました。これは、かつては個別政策の調査研究を主とした政府案件が大宗であったところ、近年は行政DX、ビッグデータ分析、AI活用といった大規模案件が増えている実態を反映した結果といえます。

純利益は高水準、株価は上昇トレンド

 三菱総合研究所の当期純利益は2019年9月期までは30億円台で推移していましたが、行政DX、ビッグデータ分析、AI活用といった大規模案件が増えていく中、2020年9月期以降は50億~80億円と一段高い水準で推移するようになりました。

<三菱総合研究所の当期純利益推移(2017年9月期以降)>

三菱総合研究所の当期純利益推移(2017年9月期以降)
※2026年9月期は会社計画値
出所:三菱総合研究所資料などより楽天証券経済研究所が作成

 当期純利益の増加に合わせて株価も上昇トレンドが継続しています。

<三菱総合研究所の株価推移(2017年9月期以降)>

三菱総合研究所の株価推移(2017年9月期以降)
※2026年9月期は直近値
出所:三菱総合研究所資料などより楽天証券経済研究所が作成

業績拡大も、PBRは小幅に低下

 三菱総合研究所の過去8年間の業績変化を見ると、売上高が1.4倍、営業利益も1.4倍、当期純利益は1.7倍に増加しました。株主資本蓄積も順調に進んで1.6倍に達しており、それに合わせて時価総額も1.6倍となっています。

 ただし過去8年間の平均株価純資産倍率(PBR)は1.2倍なのに対し現在のPBRは1.1倍と小幅ながら低下しています。この割安感が解消され、PBRが1.2倍にまで上昇した場合には、株価は5,700円となります。

<三菱総合研究所の業績推移(2017年9月期以降)>

(億円) 2017年9月期 2025年9月期 変化(倍)
売上高 895 1,215 1.4
売上総利益 200 287 1.4
営業利益 57 80 1.4
経常利益 63 97 1.6
当期純利益 38 64 1.7
株主資本等合計 437 719 1.6
時価総額 539 778 1.6
PBR(倍) 1.2 1.1 -
PER(倍) 14 12 -
※時価総額は期末時点値、2025年9月期だけは直近値
出所:三菱総合研究所の資料などより楽天証券経済研究所が作成

 ちなみにセグメント別では、コンサルティング事業の増益が全体の増益に直結しています。

<三菱総合研究所のセグメント別業績推移(2017年9月期と2025年9月期)>

(億円) 2017年9月期 2025年9月期 変化(倍)
売上高 895 1,215 1.4
  シンクタンク・
コンサルティングサービス
327 471 1.4
  ITサービス 567 744 1.3
経常利益 63 97 1.6
  シンクタンク・
コンサルティングサービス
20 57 2.8
  ITサービス 41 40 1.0
経常利益率 7% 8% -
  シンクタンク・
コンサルティングサービス
6% 12% -
  ITサービス 7% 5% -
出所:三菱総合研究所の資料などより楽天証券経済研究所が作成

 2026年9月期、2027年9月期はともに高水準の売上高と利益を維持する見通しです。株価水準がこのまま変わらなければ、2027年9月期にはPBRが0.9倍まで低下する計算となります。

<三菱総合研究所の業績予想>

(億円) 2025年9月期
実績
2026年9月期
予想
2027年9月期
予想
売上高 1,215 1,220 1,291
営業利益 80 75 -
経常利益 97 90 -
当期純利益 64 58 58
株主資本等合計 719 793 872
時価総額 778 778 778
PBR(倍) 1.1 1.0 0.9
PER(倍) 13 14 14
出所:三菱総合研究所、FactSetの資料などより楽天証券経済研究所が作成

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