純資産総額が伸び悩む中、足元では2%を超え上昇している日本の10年国債利回りについて、今後の展望を考えます。
1. 2年前に急増した国内債券ETFの純資産総額は、その後、横ばいで推移
2024年3月、「国内債券への注目が急速に集まっている理由」という投稿で国内債券上場投資信託(ETF)を取り上げました。今回はその後のフォローと今後の見通しを考えてみました。
図表1は、NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信(NF・国内債ETF)の基準価額(100口当たり)と純資産総額の推移です。2024年3月当時も触れましたが、当ETFは2017年12月に設定、上場となりましたが、2020年ごろまではなかなか純資産総額が伸びませんでした。上場後の基準価額も2019年秋をピークに下落基調が続きました。
10年国債利回りに明確に上昇が見られ始めた2023年秋~2024年初め(図表2参照)にかけて、純資産総額が断層的に増え(図表1赤点線枠部分)、「いよいよ国内債券が注目され始めたか?」と考え、記事に取り上げましたが、その後も基準価額は下がり続け、純資産総額は伸びませんでした。足元では10年国債利回りが2%を超えてきましたが、今度こそ注目が集まるのでしょうか?
[図表1] NF・国内債ETFの基準価額と純資産総額の推移
(出所)Nomura Fundmarkのデータを基に野村アセットマネジメント作成
2. 日本の10年国債利回りは2%台前半へ上昇し、CPIの前年同月比とほぼ同水準に
図表2は、消費者物価指数(CPI)(除く生鮮食品、前年同月比)(以下、単に「CPI」と表記します)と日本の10年国債利回り、およびそれらの差の推移です。
消費増税の影響を受けた期間を外して分析すると、(1)1990年代後半から2013年ごろにかけては、CPIがゼロ%前後で往来する中で10年国債利回りは1~2%で推移し、その差は平均で+1.5%程度でした。その後、アベノミクスによる大規模金融緩和が始まると、(2)2015年以降はその差がほぼなくなりました。
そして、(3)2022年以降の大幅な物価上昇時には、当初は利回りがCPI上昇について行けずにその差が大幅なマイナスになりましたが、直近にかけては利回りの急上昇もあり再び差がほぼなくなりました。
利回りとCPIの差は、期間(1)平均で+1.5%、期間(2)平均ではおおむねゼロ%、そして、期間(3)では直近はほぼゼロ%ですが、いまだ不安定と考えます。この差が今後どの程度プラスとなれば、国債の魅力が高まるのでしょうか?
[図表2] 日本の10年国債利回りとCPI(消費者物価指数)の推移
・図中の青色点線は「10年国債利回り-CPI」の各期間別の平均値
(出所)Bloombergのデータを基に野村アセットマネジメント作成
3. 10年国債利回りが2.5~3.0%程度であれば魅力が高まるかもしれない
CPIに対する10年国債利回り水準が、期間(1)の+1.5%程度から期間(2)のゼロ%程度に縮小した要因は、2013年以降に日本銀行が国債を大量に買い入れて保有するようになったことが影響しているようです(「ストック効果」と呼ばれている)。
日本銀行の試算によれば、この「ストック効果」によって国債利回りが最大マイナス1%程度押し下げられた*としています。一方、日本銀行による国債買い入れ政策が変わっていくことで「ストック効果」は減衰していくという分析がエコノミストの間で議論されています。
*日本銀行「経済・物価情勢の展望 2024年4月」より
図表3は、日本銀行が2026年1月の金融政策決定会合時に公表した「政策委員による経済・物価見通し」ですが、人手不足などに伴う人件費増などが価格に転嫁されることなどを通じて、2026~2027年度のCPIをおおむね+2%程度と予想されています。
「ストック効果」が今後も減衰することを考慮すると、利回りとCPIの差は、期間(1)の+1.5%程度ほど大きい必要はないものの、期間(2)のゼロ%程度では小さすぎると思われます。
従って、利回りとCPIの差が+0.5~+1.0%程度必要とすれば、+2%程度のCPIに対する妥当な利回り水準は2.5~3.0%程度ではないかと思われ、もう少し利回りが上昇すれば魅力が高まってくる可能性があるでしょう。
[図表3] 2025~2027年度の日本銀行の政策委員による経済・物価見通し
<関連銘柄>
NEXT FUNDS 国内債券・NOMURA-BPI総合連動型上場投信(証券コード:2510)
<当資料で使用した指数と著作権等について>
■NOMURA-BPI総合の知的財産権およびその他一切の権利は野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社に帰属します。なお、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング株式会社は、NOMURA-BPI総合の正確性、完全性、信頼性、有用性、市場性、商品性および適合性を保証するものではなく、NOMURA-BPI総合を用いて運用される当ETFの運用成果等に関して一切責任を負いません。
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