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「金は上昇、原油は反発」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は上昇、原油は反発」

2017/5/29
米国の政治面の不透明感を背景に、投資家はリスク回避の買いを続けている。
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金相場は上昇。4週間ぶり高値を付けた。

米国の政治面の不透明感を背景に、投資家はリスク回避の買いを続けている。今週中にもトランプ大統領の疑惑に関する公聴会が開催されるとの見方もあり、不透明感が強まる可能性がある。

29日は米国がメモリアルデー、英国はバンクホリデーによる休日となる。市場は6月利上げを予想しており、6月2日の5月の雇用統計の内容を確認した上でドル高に向かうとの見方がある。しかし、多くの不透明感があり、金売りは手控えられる可能性がある。

1~3月期の米GDP改定値は速報値の0.7%増から1.2%増に上方修正されたが、金市場ではあまり材料視されていない。それだけ、投資家は警戒感を持っているといえる。株高と金高が共存する状況は今後も続きそうである。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、19日の850.71トンから26日には847.45トンへわずかに減少した。小幅な減少傾向が続いているが、大きく減少しているわけではなく、金投資を極端に減らしている様子は見られない。

COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、5月23日時点で15万9,767枚の買い越しとなり、前週から3万2,043枚増加した。買いポジションが2万0,220枚の大幅増となった一方、売りポジションが1万2,823枚の大幅減となった。金相場の底打ち機運を背景に、投機筋による新規の買いポジションが積み増された一方、売りポジションが買い戻されており、目先の底値を確認するようなポジション状況にあるといえる。

金相場はこれまで上値となっていた1,265ドルを小幅ながら上抜き、高値を付けている。市場におけるトランプ政権への懸念が根強いことがうかがえる。トランプ大統領に関する新たな材料や証言が今週後半以降に出てくる見通しだが、現在の政治的な混乱が拡大し、トランプ大統領への弾劾要求が強まるようなことになれば、減税やインフラ支出計画を実行することが困難になるものと思われる。その場合には、米長期金利が上がりづらくなり、ドルは下落すると考えられ、これが金相場の一段の上昇を後押しすることになるだろう。

また、トランプ政権の混乱が続くようだと、FRBも積極的な利上げに踏み切ることはできなくなるものと思われ、これも金相場にはポジティブに作用することになる。

6月のFOMCでの0.25%の利上げはほぼ確実視されているが、その後の年末まで1回の上げについてはそれほど高くなく、年内の利上げの可能性は高まっていない。FRBは保有する資産圧縮を優先させる方針であり、その場合には利上げはいったん棚上げされる可能性が高いと考えられ、これもドルの上値を抑えやすい。これは金市場にはポジティブに作用するだろう。

このように、金市場を取り巻く環境は依然としてポジティブであり、下げづらい状況にある。1,270ドルを明確に上抜くようだと、節目の1,300ドルが視野に入るだろう。下値は1,250ドル前後が堅いサポートになると考えられる。

非鉄相場はまちまちの動き。

これまで堅調に推移していたアルミと銅が反落し、ニッケルと鉛・亜鉛が堅調に推移した。銅相場はインドネシア銅山での労働者のストや解雇に伴う生産活動の落ち込みを受けて、供給逼迫観測から上昇していたが、米国・英国の3連休を控え、利益確定売りが出たといえる。一方で、下げていた銘柄に買い戻しが入り、全体が崩れているわけではない。

今週は31日に中国の製造業PMI、6月2日に米雇用統計が発表される。注目材料になるだろう。29日は米国がメモリアルデー、英国がバンクホリデー、中国が端午節のため休場となる。中国は30日も端午節のため休場。

世界2位の産銅大手であるチリ・コデルコは、17年第1四半期の銅生産量が前年同期比11%減少したとしている。これは、老朽化鉱山の鉱石グレード低下が理由である。一方、中国の景気動向については、公共事業に支えられて景気は一定の堅調さは維持されているといえる。

4月は鉱工業生産が前年同月比6.5%増(3月は7.6%増)、小売売上高は10.7%増(同10.9%増)、1~4月の都市部固定資産投資は前年同期比8.9%増(1~3月は9.2%増)といずれも減速した。しかし、トレンドは維持されていると評価できる。ただし、現在の景気下支えは財政や国有企業頼みとなっており、公的債務の拡大に警戒感が強まりつつあるという。また、ムーディーズが中国の長期国債格付けを引き下げている。さらに、上海株は下げ基調にあり、これが世界的な景気減速懸念を想起させるようだと、市場全体に警戒感が広がる可能性もある。まずはPMIの数値を確認することとしたい。

原油は反発。29日の祝日を前に買い戻しが入った。

前日にOPEC加盟国と非加盟産油国が6月末で期限切れとなる現行の協調減産の9カ月延長で合意した。ただし、市場が期待していた一歩踏み込んだ措置に至らなかったことから、原油相場は約5%下落していた。

この動きはあくまで積み上がたロングの解消が背景であり、一時的なものであると考えられる。今回の減産延長で、産油国は原油在庫が5年平均の27億バレルまで削減されると期待している。一方で、米国のシェールオイルの産油量は増加が続いており、余剰在庫の解消は難しいとみている向きが依然として多いことが、原油価格の低迷につながっている。

米国内の石油掘削リグ稼働数は19週連続で増加。ただし、前週は前週比2基増にとどまり、月間の増加幅も昨年10月以来の低水準だった。現在の原油価格の水準で積極的にリグ稼働数を増やしづらくなっている可能性がある。

また、米国では29日から夏のドライブシーズンが始まる。これにより、ガソリン需要の増加期待が高まりことから、例年のように原油価格は上昇に向かいやすい。一方、NYMEX・WTI原油先物市場での投機筋のポジションは、5月23日時点で37万2,989枚の買い越しとなり、前週から4万4,037枚増加した。買いポジションが5万0,545枚減少したが、売りポジションも9万4,579枚減少した。売り方も買い方もポジションを縮小させている点は非常に興味深い。ただし、安値で売った投機筋が慌てて買い戻したことが、先週の原油価格の急伸につながったことが示されており、きわめてわかりやすい動きにある。

売りポジションは、まだ22万枚以上も残っており、まだまだ買戻し余地はあるだろう。今回の下げも買いポジションの調整が中心となっている可能性があり、そうであれば、再び買い余地が生まれることになるだろう。

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