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日銀1月会合、政策金利「据え置き」へ~ETF売却と悪化する収益の捉え方~(愛宕伸康)

2026/1/21 8:00

 日銀は1月金融政策決定会合で政策金利の据え置きを決める公算です。次回利上げはいつになるのか。市場では4月利上げの見方も強まりつつありますが、長期金利の上昇ペースが速く、円安だから利上げ前倒しという単純な話ではないように思います。また、日銀はETF売却を始めました。その評価を含め、日銀の収益状況を確認します。

目次
  1. 日銀は1月の金融政策決定会合で政策金利据え置き~19日にETF売却開始~
  2. 次回利上げの前倒しはあるのか~難しいかじ取りを迫られる日銀~
  3. ETFの含み益60兆円、引き続きETFの分配金が日銀の収益を下支え
  4. 日銀の収益構造~保有国債からの「国債利息」が収益の柱~
  5. 保有国債から得られる国債利息と当座預金に対する利払いはすでに逆転
  6. 日銀の収益悪化をどう捉えるか

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
日銀月会合、政策金利「据え置き」へ~ETF売却と悪化する日銀収益の捉え方~

日銀は1月の金融政策決定会合で政策金利据え置き~19日にETF売却開始~

 日本銀行は1月22~23日に開催する金融政策決定会合(MPM)で、政策金利を据え置く見通しです。前回のMPMで0.75%への利上げを実施したばかりであることや、昨年9月に決定した上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(REIT)の売却を19日から開始したことから、それらの市場や経済に与える影響をしばらく見極める必要があるからです。

 ETFとREITの売却に関しては、市場に大きな影響を及ぼさないよう年間3,300億円程度、月平均275億円という緩やかなペースを想定しているわけですが(図表1)、市場がどういった反応を示すかは、実際に売却をスタートしてみなければ分かりません。そんなタイミングで利上げなどしないのが普通です。

<図表1 日本銀行が2025年9月に決定したETFなどの処分方針>

図表1 日本銀行が2025年9月に決定したETFなどの処分方針
出所:日本銀行

次回利上げの前倒しはあるのか~難しいかじ取りを迫られる日銀~

 ただし、次回利上げのタイミングについては、市場の見方が少し前倒しとなりつつあります。金利スワップ市場では、4月MPMまでに利上げする確率が約60%まで上昇しています。

 確かに、1ドル=159円台まで進んだ円安を考えれば(1月13日1ドル=159.14円)、早いタイミングでの利上げを市場が想定するのも理解できます。しかし、その一方で長期金利もかなり急ピッチで上昇しています(図表2)。

<図表2 日米10年金利の推移>

図表2 日米10年金利の推移
出所:ブルームバーグ、楽天証券経済研究所作成

 高市早苗首相は1月19日に記者会見を行い、23日に衆議院を解散することを表明しました。27日公示、2月8日投開票のスケジュールで総選挙が行われる予定です。記者会見では、食品に対する消費税を2年間ゼロにすることも明らかにしました。

 20日の市場では財政リスクに対する懸念が膨らみ、10年金利は図表2に示した19日の2.265%よりさらに高い2.3%台となっています。市場では今後も金利上昇が続くとの見方が多く、筆者の推計では年内3%到達も見えてきた状況です。財政リスクをより反映しやすい超長期金利も上昇しており、新発40年債の利回りは初めて4%台をつけました。

 速すぎる長期金利の上昇は金融機関が保有する国債の含み損を拡大させ、金融市場ひいては金融システムの脆弱(ぜいじゃく)化につながりかねないため、日銀は為替よりはむしろ長期金利に配慮する必要があります。日銀は難しいかじ取りを迫られており、円安だから利上げ前倒しと単純に捉えることができない状況です。筆者の次回利上げに対する見方は6月(もしくは7月)で変えていません。

ETFの含み益60兆円、引き続きETFの分配金が日銀の収益を下支え

 さて、19日に日銀がETFの売却を始めたこともありますので、久方ぶりとなりますが、日銀の収益状況やそれに対するETFの位置づけなどを簡単に見ることにしましょう。

 日銀は2025年度の中間決算で、2025年9月末時点の保有ETFが簿価で37.2兆円、時価で83.2兆円(含み益46兆円)であることを公表しています。筆者の計算によると、現在、時価が約98兆円程度まで膨らみ、含み益は60兆円程度に拡大しています。

 この簿価を前提にすると、上述した緩やかなペースでETFを売却した場合、全て売り切るまでに112年、時価を前提にすると297年かかる計算となります。そのくらいゆっくりとした売却ですので、しばらくはETFから得られる分配金が、日銀の収益を支える構図は変わらないとみています。

 図表3は、日銀が保有している国債から得られる「国債利息」と、ETFから得られる「金銭の信託(信託財産指数連動型上場投資信託)運用損益」(簡単に言うと分配金です)の推移を示したグラフです(2025年度は筆者による推計)。

<図表3 日本銀行の収益二本柱(国債利息とETFの運用益)>

図表3 日本銀行の収益二本柱(国債利息とETFの運用益)
注:2025年度は中間決算から筆者推計。
出所:日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 図に示したとおり、ETFの運用益は1兆円を上回っており、国債から得られる2兆円超の国債利息とともに、日銀の経常利益を支える二本柱となっています。ちなみに、2024年度の経常利益は2.56兆円ですので、国債利息とETFの運用益の貢献がいかに大きいか、分かると思います。

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