2026年のハイテク株投資のテーマは、中国半導体産業、メモリ不足とメモリ価格上昇、生成AI向け設備投資の行方、日米の長短金利の動きの4つと思われる。いずれも投資機会と投資リスクが表裏となっている。今回は中国半導体産業とメモリ不足とメモリ価格上昇について考える。
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著者の今中 能夫が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「2026年のハイテク株投資-中国半導体産業、メモリ不足とメモリ価格上昇、2026年の注目点とリスクを探る-」
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:テンセント・ホールディングス(00700、香港)、アリババ・グループ・ホールディング(09988(香港)、BABA(NYSE))、バイドゥ(09888(香港)、BIDU(NASDAQ))、SMIC(00981、香港)、マイクロン・テクノロジー(MU、NASDAQ)、東京エレクトロン(8035、東証プライム)、アドバンテスト(6857、東証プライム)、ディスコ(6146、東証プライム)、レーザーテック(6920、東証プライム)、ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)
1.投資機会、投資妙味と投資リスクが表裏となる2026年のハイテク株投資。
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
2026年最初の楽天証券投資WEEKLYでは、2026年のハイテク株投資(半導体株投資とIT株投資)を展望したいと思います。
2026年のハイテク株投資は、投資妙味、投資チャンスと投資リスクが表と裏の関係にあるものになりそうです。
今年の注目テーマは次の4つです。
(1)中国半導体産業
(2)メモリ不足とメモリ価格上昇
(3)生成AI向け設備投資の行方
(4)日米の政策金利と長期金利の動き
この各々のテーマに、投資妙味とリスクの両方が含まれていると考えられます。今回は(1)中国半導体産業と、(2)メモリ不足とメモリ価格上昇について取り上げます。(3)、(4)は次回論じます。
2.何故、中国半導体産業に注目するのか。
2026年の第1の注目点は、中国の半導体産業です。今後少なくとも2~3年、世界各国の半導体産業の中で中国半導体産業の成長率が最も大きいものになると予想されます。
中国に注目する理由が表1です。米国が関税政策を導入する前は、自由世界は米国中心に一つの経済圏として認識してよかったと思われます。米国、欧州連合(EU)、日本、アセアンの人口の合計はほぼ中国並であり、名目国内総生産(GDP)の規模と一人当たり名目GDPの水準は中国を圧倒していました。
ところが、米国が関税政策を導入して世界を分断した結果、一つ一つの国に投資価値が生じることになりましたが、この中で中国の存在感が際立つようになりました。約14億人の人口、一定水準の一人当たりGDPと、米国、台湾、韓国にはかなわないものの、一定水準の先端半導体開発能力と生産能力を持っていることから、今後中国の各産業の中でも半導体(特にAI半導体)とITには大きな成長が期待されます。
表1 世界の主要経済圏
注:名目GDP、1人当たり名目GDPは2024年、IMF。人口は2024年。インドのみ2023年。
3.各国の半導体サプライチェーン
次に表2は米国、日本、中国、台湾、韓国の半導体産業のサプライチェーンを見たものです。この表を見ると、これら国々の半導体産業のどこに優位性があるかわかります。
表2 各国半導体産業サプライチェーンの主要企業
注1:特に注釈がない場合は上場企業。
注2:主要な企業のみを掲載。
1)大手ITとAI開発会社
米国はアマゾン・ドット・コム(以下アマゾン)、マイクロソフト、アルファベットのクラウドサービス大手3社、メタ・プラットフォームズ(以下メタ)、アップル、オラクルなどの大手IT企業が、AI半導体や高性能CPUなどの先端ロジックとDRAM、NAND型フラッシュメモリの大口ユーザーとなっています。
中国でもテンセント・ホールディングス、アリババ・グループ・ホールディング、バイドゥなどの大手IT、大手ネット通販会社、大手SNS会社、大手検索会社、大手ゲーム会社が半導体の大口ユーザーです。また、大手IT企業だけでなく、約14億人の人口と様々な業界で大手から中堅中小まで数多くの企業があり、AI開発会社も多いことを背景に、AI等のシステム需要とAI半導体を含む半導体需要が大きいです。
2)半導体デバイス
米国には、最先端ロジックの開発、設計、販売を行うファブレス半導体メーカー(エヌビディア、AMD、ブロードコムなど)、IDM(生産設備を持つ半導体メーカー、インテルなど)、メモリメーカー(マイクロン・テクノロジー)があります。
一方で、中国ではAI半導体の株式の新規公開(IPO)ラッシュが起きています。もともと中国のAI半導体市場は、米国の対中国半導体輸出規制が施行される前はエヌビディア製「H100」が多くのシェアを占め、次いでファーウェイ製、「H100」の密輸品などで構成された市場だった模様ですが、米国の対中国半導体輸出規制が施行された後は、質、量ともに米国に対して大きく劣る水準のAI半導体でAIシステムを組まざるを得ない状況になっています。この中で、ファーウェイ製に続き、2020年7月に上海科創板に上場したカンブリコン・テクノロジーズが急成長しました。さらに2025年12月には、ムーア・スレッズ・テクノロジー(上海科創板)、MetaX(上海科創板)、ビレン・テクノロジー(香港)が新規上場し、初値が公開価格を大幅に上回る人気になりました。今年はバイドゥのAI半導体子会社である崑崙芯が香港市場に上場する予定です。
中国では人口が約14億人と多く会社の数も多く、国土が広大なので、国や企業の運営にはAIが欠かせないものになっています。そのため、AI半導体が恒常的に不足している状態にあると思われます。ファーウェイ、カンブリコン、ムーア・スレッズ、MetaXとAI半導体会社の数が増えているため、今後はユーザーからの選別もあると思われますが、市場全体では高成長が予想されます。
ちなみに表3は、ビレン・テクノロジーのIPO目論見書に掲載されていた中国AI半導体市場の中期予測です。
また、参考までにカンブリコン・テクノロジーズの業績表を挙げておきます。2025年12月期2Qから3Qにかけて売上高が横ばいになっていますが、これは競合が増えたためと思われます。研究開発費や各種経費が増えているため、営業利益の伸びも抑えられていますが、これは将来のためです。カンブリコンはすでに実績を積み重ねているため、今後も高成長が期待できると思われます。株価は割安ではないと思われますが、成長セクターにあるためさらに上昇する可能性があると思われます。
表3 中国AI半導体の市場規模予測
出所:ビレン・テクノロジーIPO目論見書より楽天証券作成
注:GPGPUは、画像処理以外のAI等の計算処理に使うGPU。
表4 カンブリコン・テクノロジーズの業績
時価総額 567,132百万元(2025年12月31日)
発行済株数 418.378百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。
3)半導体製造装置
半導体製造装置メーカーも、米国には前工程メーカー(アプライドマテリアルズ、ラム・リサーチ)とテスターメーカー(テラダイン)があります。日本も製造装置では前工程、後工程とも重要メーカーがあり、市場シェアも高いメーカーが複数あります。ヨーロッパには世界最大の露光装置メーカーであるASMLホールディングがあります。
中国は米国の対中国半導体製造装置輸出規制によって10ナノ台から先の先端半導体向けの前工程製造装置を輸入することができません。そのため、ナウラ・テクノロジー・グループ、AMECなどの前工程メーカーが一桁ナノ台を目指して開発を進めており、かなりな成果が出ていると思われます。問題は一桁ナノ台へ適用可能な露光装置の自国生産ができておらず、一世代前のArF液浸露光装置によるマルチパターニングで一桁ナノ台の性能を出している模様です。
中国でもArF液浸露光装置とEUV露光装置の開発も進めている模様ですが、まだ時間がかかると思われます。ただし、2025年12月の報道によれば、中国はEUV露光装置の試作機を完成させた模様です。そして、2028~2030年までにEUV露光装置を使った先端半導体の量産の可能性があるとしています。これが実現すると中国半導体産業にとって大きな障壁が突破されることになります。
表5は半導体製造装置の世界シェアです。主要なカテゴリーでナウラ、AMECなど中国企業の名前が出てきていることがわかります。
また、参考までに、ナウラ・テクノロジー・グループの業績表を挙げておきます。年率30~40%の売上成長率ですが、これが中国の半導体製造装置の市場成長率と考えてよいと思われます。研究開発費の増加によって営業利益率が抑えられていますが、これは将来のためです。特にナウラは一桁ナノ台の製造装置開発で重要な役割を担っています。ナウラの株価も割安感はありませんが、中長期で期待できると思われます。
表5 半導体製造装置の主要製品市場シェア(2024年)
表6 ナウラ・テクノロジー・グループの業績
時価総額 332,508百万元(2025年12月31日)
発行済株数 724.3百万株(完全希薄化前、Basic)
単位:百万ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSと時価総額は完全希薄化前発行済株数(Basic)で計算。
4)半導体設計システム(EDA)
半導体設計システム(EDA)で世界的に有名なのが、3大メーカー、シノプシス、ケイデンス・デザイン・システムズ、シーメンスEDA(未上場)です。この3社のいずれかを使わなければまともな半導体、特に先端半導体は設計できないと言われていますが、この3社とも米国籍の会社です。
中国でもエンピリアン・テクノロジーがファーウェイの支援を受けてEDAのレベルアップに注力中と言われています。
5)半導体素材
半導体素材について見ると、高品質の先端半導体向けシリコンウェハを始めとした半導体素材では日本の存在感が大きくなっています。中国にも半導体素材メーカーはありますが、品質的には下から中クラスの水準と思われます。また米国とヨーロッパはこの分野では存在感は大きくありません。
6)レアアース
レアアースでは埋蔵量、生産量ともに中国が圧倒しています。米国は最大手のMPマテリアルズに米国政府が出資しており、国策としてレアアースの探鉱と生産に注力しています。日本では南鳥島沖での海洋試掘が2026年1月から始まります。いずれの動きも中国製レアアースを完全に代替することは難しいと思われますが、補完すること、例えば中国製レアアースの需要の一部を置き換えること、あるいは備蓄として使うことは可能と思われます。
その場合、中国に対しては一定の交渉力を持つことになると思われますが、中国の優位性は変わらないと思われます。また、中国がレアアースについて心配する必要がないことは、中国の大きな優位性であると思われます。
表7 レアアースの埋蔵量と産出量
出所:U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries, January 2025より楽天証券作成。
2026年のハイテク株投資-中国半導体産業、メモリ不足とメモリ価格上昇、2026年の注目点とリスクを探る-
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