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「カルテット運用」に注目!リスク分散を仕組み化する資産形成法

2026/1/5 16:00

 2026年も米国株には二桁台の上昇率が期待できる一方、政治、経済、金利、地政学的リスクなど不確実性の顕在化による株価波乱要因も払拭できません。株価上昇による中期的果実を期待しながら株価下落に備えるには、世界の株式、債券、REIT、金を組み合わせてリスク分散を仕組化する「カルテット運用」という長期資産形成法があります。

目次
  1. 2026年も米国株は有望だが、乱高下に向けた心構えも必要
  2. 「カルテット運用法」はリスクを分散した資産形成モデル
  3. 新年を迎えて「順張りも逆張りも欲張らない」を意識してみる

2026年も米国株は有望だが、乱高下に向けた心構えも必要

 2025年の米国市場ではナスダック100指数が20.2%上昇。大型テック株主導でS&P500種指数も16.4%高となり、年を通じて過去最高値を41回更新する強気相場となりました。

 4月のトランプ関税ショックによる急落を乗り越え、底堅い景気、AIブームの進展、利下げ再開期待を背景に年後半は復調を鮮明にしました。米国株式の時価総額ウエートが6割を超えるオールカントリー(世界株価指数)も堅調トレンドとなりました(図表1)。

 米国市場では2026年のS&P500ベースの予想平均1株当たり利益(EPS)増益率は14.5%、2027年も14.4%増益と連続的な最高益更新が見込まれています(Refinitiv調査)。底堅い景気やAI分野を中核とする設備投資需要が追い風となり、「株価は業績」との格言に倣えば米国株式には今年も二桁台の上昇率が期待できると予想しています。

図表1:米国株式が世界株式の堅調トレンドをけん引してきた

米国株式が世界株式の堅調トレンドをけん引してきた
出所:市場実績を基に著者作成(2020年初~2026年1月2日)

 ただ、株式市場にはリスク(ドローダウン=直近最高値からの下落率)も想定せざるを得ません(図表2)。

 市場が直面する潜在的な株価変動要因としては、中間選挙(11月3日)を控えたトランプ大統領の言動、景気鈍化懸念や信用不安、高圧経済政策を受けたインフレ再燃と金利上昇、中国発のデフレ圧力、地政学的リスク(中東地域や台湾海峡での偶発的な軍事緊張)、AI投資の過剰評価懸念などが挙げられます。

 今年も、中長期の時間軸でリターン(ワクワク感)を期待したいなら、短期的なリスク(ドキドキ感)に耐えるか積立投資(定時定額投資)を活用し積み増し買いの好機にする心構えを維持したいと思います。

図表2:株式市場にドローダウン(直近最高値からの下落)は避けられない

株式市場にドローダウン(直近最高値からの下落)は避けられない
出所:市場実績を基に著者作成(2015年初~2026年1月2日)

「カルテット運用法」はリスクを分散した資産形成モデル

 世界の株式、債券、不動産投資信託(REIT)、金という特徴や性格の異なる4資産に等金額で分散投資し、定期的なリバランス(配分を均等に戻す)を行いながら長期視点で資産形成を目指す手法を、筆者は「カルテット運用法」と呼びご紹介してきました。

 カルテットとは音楽における「四重奏」を意味します。四重奏では、四つの楽器が常に同じ音量で演奏し続けるわけではありません。ある場面ではバイオリンが旋律を担い、別の場面ではチェロが低音で全体を支えます。時には一部の楽器が沈黙することもあります。その緩急と間合いがあるからこそ、音楽には調和が生まれます。

 資産運用も同様です。株式、債券、REIT、金の4資産が同時に好調となる局面はまれで、それぞれが異なる経済環境で異なる役割を果たします。

 重要なのは、常に主役となる資産は存在せず、予測困難な環境変化が生じても「誰かが全体を下支えする」仕組みを事前に組み込んでおくことです。株式一本足の運用とは異なる、急激に資産を減らしたくない「ミドルリスク・ミドルリターン型の資産形成」と位置づけられます。

 この考え方の有効性を端的に示したのが、2008年の世界金融危機、いわゆるリーマンショックでした。図表3が示す通り、同年の世界株式は約4割下落する歴史的急落に見舞われました。一方、各国金融当局による大規模緩和で金利は急低下し、安全資産とされた債券が買われ、世界債券の総収益は約2割上昇しました。

 米金利低下に伴うドル安と通貨不安を背景に金が買われ同年は約4%上昇。2008年のREITはマイナスでしたが、下落率は12%にとどまりました。結果として4資産を均等保有する「カルテット運用」を実践していれば、債券と金が下支えし、2008年のドル建て資産全体の下落は7%程度に抑えられたことが検証できます。

 なお、2000年のITバブル崩壊を契機に3年連続で世界株式が下落した局面では、世界債券と世界REITの総収益が同期間に(3年連続で)プラスリターンであったことも分かります。ちなみに、図表3が示す通り、1995年以降で4資産全てがマイナスとなった年は一度もありませんでした。

図表3:過去30年の資産クラス別総収益率を検証する

過去30年の資産クラス別総収益率を検証する
*上記は長期的リスク・リターン実績であり将来の投資成果を保証するものではありません。
出所:市場実績と各種情報より著者作成(1995年から2025年の暦年総収益率:%)

 これまでの市場実績が示しているのは、資産クラス(種類)ごとに値動きの背景やメカニズムが異なり、同時に同じ方向へ動かないことでリスク分散効果が実際に機能してきたという事実です。

 株式は企業利益の成長を原動力に長期的な高リターンが期待できる一方、景気後退、利上げ局面、金融不安時には大きな価格調整に見舞われやすくなります。

 債券はクーポン(確定利息)という安定収入を持ち、景気悪化や金利低下局面で資産価値を守る役割を果たします。

 REITは商業用不動産投資からの収益(利益の9割が法人非課税)を源泉とし、比較的高い分配利回りやインフレ耐性が魅力ですが、金利上昇や信用不安に弱い側面も併せ持ちます。金は実物資産で有価証券ではないものの、インフレ、ドル安、金融危機、地政学的リスクといった非常時に力を発揮する存在です。

「いざという時の金」との格言は有名です。近年は中国などが外貨準備におけるドル依存を減らし、金保有を増やしています。地上に存在する金の総量は「オリンピック用プール約3杯分の体積」とされ、採掘余地は限られてきました。新興国の所得向上を背景に宝飾需要も拡大しており、需給の引き締まりが「安全資産」とも呼ばれる金の相場を支える構図が続いています。

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