かつての日本企業は、バブル崩壊後の景気低迷を受けて、利益を内部に蓄え、株主還元を後回しにしていました。ところが近年は、企業統治改革や市場制度の見直しを受けて、配当や自社株買いが過去最高水準に達しています。本レポートでは、還元余力の高い注目銘柄、財務指標で見極める投資ポイント、さらに還元重視のETFの特徴を解説します。
なぜ、今「株主還元」が株式市場で注目されているのか?
近年、投資家と市場参加者が日本企業による株主還元(配当や自社株買い)に大きく注目しています。
背景には、2014年ごろに政府と企業統治関係者が主導して行ったコーポレートガバナンス改革、2022年以降に東京証券取引所が実施した市場改革、そして2023年に金融庁が企業に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を要請するなど、政策当局や取引所が企業に資本効率の改善を促す働きかけを行ったことがあります。
これにより、企業側も株主還元を重視する姿勢を強め、配当や自社株買いの総額は年々増加しました。2024年には東証株価指数(TOPIX)構成企業の配当+自社株買いの総額が10年前と比較して3倍以上になり過去最高を記録し、今後もさらに増える見通しです。
ただし、欧米と比べるとまだ水準は低く、例えば総還元性向は日本が約50〜55%なのに対し、米国は約80%と差が残ります。総還元性向は、企業が当期純利益に対して株主にどれだけ還元しているかを示す指標で、配当金と自社株買いを合計した額を用いて計算されます。
つまり日本企業には今後も還元を拡充する余地が大きく、株主還元に積極的な企業を的確に選べれば投資機会が広がるということです。
一方で、高い配当や大規模な自社株買いがあっても、それが一時的な利益や借り入れに依存している場合、将来的に維持されないリスクがあります。従って投資判断では、還元の「量」に加えてその「質」を慎重に見極めることが不可欠です。
具体的には、フリーキャッシュフローや財務健全性といった持続性の裏付けを点検するといいでしょう。企業が営業活動で安定的にキャッシュを創出していれば、配当や自社株買いを継続する可能性が高くなり、投資家によって長期にわたる安定的な配当収入やキャピタルゲインの期待につながります。
注目の個別銘柄 — 豊富なキャッシュフローと持続性のある還元を中心に
ここでは、株主還元の「量」と「質」の両面で注目される代表的な日本株を紹介します。いずれも豊富なキャッシュフローを持ち、持続的な株主還元を期待しやすい銘柄です。
大手総合商社。株価上昇で単純な予想配当利回りは約3%前後ですが、今期予定の1兆円の自社株買いを利回り換算すると実効利回りは大きく上昇します。商社は資源や貿易のキャッシュフローが強く、成長投資と還元のバランスが取りやすい点が魅力です。
大手化学メーカー。ここ最近は外部要因(関税や市場の不透明感)から期初に業績予想・配当予想を見送るケースが発生しましたが、一方で5,000億円の自社株買い枠を設定するなど還元姿勢は強くなっています。短期的な業績見通しの難しさがある一方で、自己資本やフリーキャッシュフローの余力がある企業は、安定的に還元を続ける可能性が高いです。
大手タイヤメーカー。3,000億円の自社株買いと配当性向方針の引き上げ、2025年12月期には増配するなど株主還元を拡大しています。
ポイント — 財務の健全性を重視すること
個別株を選ぶ際は、配当や自社株買いの額だけで飛びつかないことが重要です。借り入れで還元を賄っている企業や、事業収益が落ち込んでいるのに還元を無理に続けている企業は、いずれ還元縮小や減配で株価が急落するリスクがあります。
従って、投資判断ではフリーキャッシュフロー、純有利子負債、利益トレンドなどを確認し、「持続性のある還元」かどうかを見極めることが必要です。
株主還元を積極的に行っている日本企業に投資
個別銘柄の選定が難しい、あるいは銘柄分析に時間を割くのが大変という方には株主還元(配当・自社株買い)を積極的に行う日本企業へ投資をするグローバルX 日経平均株主還元40-日本株式 ETF【465A】があります。
対象指数で用いる「株主還元利回り」は、配当総額と自社株買い総額だけでなく、債務返済総額(負債の増減額)を加味して算出します。債務返済総額をチェックすることで、企業が債務を増やしながら配当を出すなど株主還元に無理をしていないか確認します。
構成銘柄には上記でご紹介した三菱商事(8058)や信越化学工業(4063)、ブリヂストン(5108)の他に、成長投資と株主還元の両輪での成長を掲げる総合商社や、安定配当と機動的な自社株買いを行うデンソー(6902)などが含まれており、豊富なキャッシュフローを元に持続的な株主還元が期待される日本の大型株が含まれています。
(出所)日本経済新聞社、BloombergよりGlobal X Japan作成、2025年10月21日時点
過去のパフォーマンスでは、日経平均株価やTOPIXを上回る上昇と、相場急変時の下落幅が小さい(対象指数の最大下落率は日経平均に比べて小さい)という特徴が示されています。財務健全性に配慮した銘柄選定がリスク低減に寄与しています。
(注)日経平均株主還元株40指数の算出開始日は2025年11月4日。算出開始日以前の指数に関する情報は全て指数算出会社がバックテストしたデータ。期間は当指数バックテスト開始日の2011年1月13日から2025年10月21日の日次、起点を100として指数化。配当利回りは2025年10月21日時点
(出所)日本経済新聞社、BloombergよりGlobal X Japan作成
動画ではさらに詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
<投資リスク>
当ファンドは、値動きのある有価証券等に投資しますので、基準価額は変動します。従って、投資元本が保証されているものではなく、これを割込むことがあります。信託財産に生じた利益および損失は、すべて投資者に帰属します。投資信託は預貯金とは異なります。基準価額の主な変動要因は、以下のとおりです。「株価の変動(価格変動リスク・信用リスク)」、「その他」※基準価額の動きが指数と完全に一致するものではありません。※基準価額の変動要因は、上記に限定されるものではありません。※くわしくは「投資信託説明書(交付目論見書)」の「投資リスク」をご覧ください。
<ファンドの費用>
ETFの市場での売買には、証券会社が独自に定める売買委託手数料がかかり、約定金額とは別にご負担いただきます。(取扱会社証券会社ごとに手数料率が異なりますので、その上限額を表示することができません。)保有期間中に間接的にご負担いただく費用として運用管理費用(信託報酬)がかかります。グローバルX 日経平均株主還元40-日本株式 ETFの運用管理費用は税込0.3025%。また、その他の費用・手数料としては、組入有価証券売買時の売買委託手数料、先物取引・オプション取引等に要する費用、監査報酬等を信託財産でご負担いただきます。※手数料等の合計額については、保有期間等に応じて異なりますので、表示することができません。※詳しくは、金融商品取引所で取引をされる際にご利用になる証券会社にお訊ねください。※設定・交換のお申込みにあたっては投資信託説明書(交付目論見書)の「ファンドの費用・税金」をご覧ください。
Global X Japan株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第3174号 一般社団法人日本投資顧問業協会会員 一般社団法人投資信託協会会員
いま注目の株主還元:高配当だけでない「質の還元」へ
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