2026年注目のテーマを五つ選び、それぞれ注目の銘柄をご紹介します。「国策」である「AI・半導体」や「防衛」は引き続き注目されると考えますが、2026年は「内需」への関心も高まるでしょう。
2026年マーケット展望:「国策」と「内需」がけん引する投資テーマ5選
2026年が間近に迫ってきました。年末恒例ではありますが、私が考える2026年の展望をお話したいと思います。
海外では、11月に米国中間選挙を控えていますので、支持率低下中のトランプ政権の動向が最大の注目点になるでしょう。そのほか、ロシア・ウクライナ戦争の行方、中国・台湾の緊張化、スペースX、オープンAIなど超弩級の新規公開株(IPO)、欧州政治リスクなどさまざまなテーマが挙げられますが、今回は国内に絞ったテーマを五つピックアップしました。
2025年も「AI・半導体」や「防衛」に引き続き関心が向かいましたが、2026年は、「AI・半導体」「防衛」のほか、建設や銀行など「内需」も注目したいと思います。
1.脱デフレ宣言
「脱デフレ宣言」は、最も重要かつ構造的なテーマの一つとなります。長年続いた物価下落と賃金停滞の時代から、日本経済は緩やかながらも物価上昇と賃上げが同時に進む局面へと移行しつつあります。脱デフレは単なる景気回復ではなく、企業行動や投資家の評価軸そのものを変える転換点で、世界に向けての大きなアピールとなるでしょう。
これまで日本企業は、コスト上昇を価格に転嫁できず、利益率を犠牲にしてきましたが、原材料費や人件費の上昇を前提とした取引慣行が定着すれば、適正なマクロ価格形成が進み、売上高成長と利益率改善が同時に実現しやすくなります。
既にこの動きは見られますが、2026年は、単なる売上拡大よりも、値上げを受け入れさせるブランド力や競争優位性を持つ企業が高く評価されると考えます。
持続的な企業の賃上げが進めば、個人消費は量から質へとシフトし、価格よりも付加価値を重視する傾向が強まります。こうした環境下、外食、小売、サービス、観光などの内需関連銘柄が再評価される可能性があります。
低価格競争を前提としたビジネスモデルの企業は引き続き一定の支持は得られると思いますが、量から質のシフトが進み付加価値を求める消費行動が活発化することで、内需企業の多くにスポットが当たるでしょう。
また、脱デフレは企業統治と資本効率への意識改革を後押しします。インフレ環境では、現金を保有し続けることの機会損失が顕在化し、企業は投資、賃上げ、株主還元のいずれかを選択せざるを得なくなります。2026年の市場では、自己資本利益率(ROE)向上や株主還元策を明確に打ち出す企業が、国内外の投資家から評価されやすくなると考えます。
金融面では、脱デフレは金利ある世界への移行を意味します。日本銀行による金融政策の正常化がより進めば、銀行や保険といった金融セクターは利ざや改善の恩恵を受けやすくなります。
とりわけ内需企業が元気になることによって地方を地盤に事業展開している地方銀行は追い風と考えます。地銀は業界再編が最も活発化している業種でもありますので、2026年もさまざまな再編の話題が市場を飛び交うことでしょう。
2.AIと周辺インフラ
生成AIの普及が一巡しつつある中で、投資家の関心は「何がAIを実際に動かしているのか」という基盤部分へと移行しています。この流れが、AI周辺インフラ関連企業の評価を中長期で押し上げる要因となると考えます。
まず注目されるのは、データセンター投資の構造的拡大です。AIモデルの高度化に伴い、計算量、電力消費、通信容量はいずれも急増しており、従来型クラウドでは対応しきれない局面に入っています。
2026年に向けては、ハイパースケーラーだけでなく、企業自身がAI用途に特化したデータセンターを構築する動きが広がり、建設、空調、電源、冷却装置といった周辺産業まで含めた広範な需要が発生すると考えます。
次に、半導体・電子部品分野の質的変化が重要です。 画像処理装置(GPU)やAIアクセラレータそのものに加え、高帯域メモリ、先端パッケージ、光通信部品など、AI性能を左右する要素技術の価値が高まっています。2026年の市場では、単純な半導体市況回復ではなく、「AI対応能力の有無」が企業評価を分ける決定的な要因となるとみています。
さらに電力・エネルギーインフラとの結合も注目します。AIは電力集約型産業であり、安定供給とコスト管理が事業継続の前提条件となります。2026年にかけて、送配電網、蓄電池、再生可能エネルギー、さらには原子力やガスといったベースロード電源への投資が再評価される可能性が高いと考えます。
3.半導体関連
半導体は引き続き中核的な投資テーマであり続けると考えます。従来の「景気循環型セクター」から、構造的成長と選別が同時に進む分野へと明確に変化している点に注目します。AI、データセンター、自動車、産業機器といった複数の需要源が重なり合い、半導体はもはや特定分野向け部材ではなく、経済活動全体の基盤インフラとなりつつあります。
まず需要面では、AI関連投資が半導体市場をけん引し続ける構図が2026年も続く見通しです。生成AIや大規模言語モデルの高度化により、GPUやAIアクセラレータに加え、高帯域メモリ(HBM)や先端ロジック半導体の重要性が一段と高まっています。これによって、単なる数量増ではなく、付加価値の高い製品を持つ企業にスポットがより当たると考えます。
供給面では、製造装置、材料、後工程を含めたサプライチェーン全体の重要性が再評価されるでしょう。先端半導体の微細化や高度化には、製造装置、検査装置、化学材料、パッケージ技術といった周辺分野の高度な技術が不可欠です。2026年に向けては、前工程だけでなく後工程や周辺技術を担う企業にも投資マネーが向かいやすい環境が整うと考えます。
4.防衛関連
近年同様、防衛関連は引き続き重要な投資テーマとなるでしょう。その背景には、地政学リスクの常態化と、各国が防衛力整備を「一時的対応」ではなく「構造的投資」と位置付け始めている点があります。ウクライナ情勢は沈静化に向かいそうですが、中国・台湾を巡る緊張関係、中東の不安定化などにより、防衛費は世界的に高水準で固定化されると考えます。
特に注目されるのは防衛予算の持続性です。
2020年以前の防衛関連企業は、有事のたびに短期的に物色される傾向が強かったですが、2022年「防衛費を国内総生産(GDP)比2%程度に引き上げる」という目標を方針として明確に打ち出してから、防衛関連企業の受注残高は中長期での安定性を増し、株式市場における評価軸も「テーマ株」から「防衛インフラ株」へと変化し、この流れは2026年も続くでしょう。
日本市場では、装備品メーカーだけでなく周辺産業の裾野拡大が重要な視点となります。従来の艦艇、航空機、ミサイルといった分野に加え、サイバー防衛、宇宙監視、ドローン、AIを活用した指揮統制システムなどが成長領域として浮上。これらは単なる軍需にとどまらず、民生技術との共通化が進むことで、収益機会が広がりやすい点が特徴です。
2026年にかけての防衛関連投資で注目すべきは、研究開発型企業の評価改善と考えます。防衛分野では契約から量産までの期間が長い一方、いったん採用されれば長期にわたり継続受注が見込めます。
このため、短期業績よりも技術力・国家プロジェクトへの関与度が株価形成に影響を与えやすくなります。市場は、将来キャッシュフローの可視性が高い企業を選別的に評価する局面に入ると考えます。
5.防災庁
2026年11月1日設置予定の防災庁も注目します。日本は地震、豪雨、台風など自然災害の多発国であり、災害対応を自治体任せにしてきた従来の体制から、国主導での司令塔機能強化へと政策の重心が移りつつあります。防災庁の創設・機能拡充は、その象徴的な取り組みといえます。
防災庁関連投資の最大の特徴は、予算の安定性と継続性でしょう。防災・国土強靭(きょうじん)化は単年度施策ではなく、中長期計画として積み上がる性格を持ちます。
2026年に向けては、事前防災、復旧迅速化、データ活用といった分野に継続的な公的支出が見込まれ、関連企業の受注環境は底堅さを増すと考えられます。株式市場では、景気循環に左右されにくいディフェンシブ成長分野として評価されやすいと考えます。
具体的には、建設・インフラ補強、上下水道更新、河川管理、耐震・免震技術を持つ企業が中核となるでしょう。水道管や橋りょう、道路、トンネルなど老朽インフラの更新需要は全国的に顕在化しており、防災庁主導での優先順位付けが進めば、案件の大型化・可視化が進むと考えます。
加えて、2026年に向けて市場が注目するのは、「防災×デジタル分野」の拡大です。災害予測AI、衛星データ、ドローン、センサー、通信インフラなどは、防災庁の司令塔機能と極めて親和性が高いといえます。
これらは従来の公共事業とは異なり、ソフトウエアやデータ活用を伴うため、利益率が比較的高い点も投資テーマとして魅力的です。防災関連は「インフラ株」だけでなく「テクノロジー株」としての側面を強めるとみています。
2026年注目の投資テーマ&企業5選!防衛やAIなど「国策」が投資の中心に
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