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宇宙産業がおもしろい!日本企業はどこまで活躍できる?(窪田真之)

2025/12/13 8:00

 土曜日の「3分でわかる」は、12月13日(土)と12月16日(火)の2回にわたり、宇宙産業銘柄について解説します。1回目は宇宙産業の基礎知識を解説し、2回目は宇宙産業で活躍が期待される日本企業について解説します。それでは、まず宇宙産業の基礎講座から始めます。

目次
  1. 宇宙開発は国家主導で始まり民間企業に広がってきた
  2. ロケット事業・衛星事業で民間企業が大きな役割を果たし始めた
  3. 宇宙ステーションにも期待
  4. 私たちの生活を支える宇宙産業

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
宇宙産業がおもしろい!日本企業はどこまで活躍できる?

宇宙開発は国家主導で始まり民間企業に広がってきた

 20世紀には、宇宙開発は国家主導で行われました。米ソ冷戦のさなかに、国威発揚をかけて米国やソ連(現ロシア)が宇宙空間の有人飛行や月面探査を競い、達成しました。

 今は民間企業が多数参入して宇宙産業が構成されています。それでも中心的役割を果たしているのが国家であることに変わりありません。

 特に、軍需(防衛)目的での利用が大きなウエートを占めています。従って、防衛予算・宇宙開発予算の大きい国が、宇宙産業で主導権を握っています。

 米国が最大の予算を持っているため、米国企業が宇宙産業で最も先進的な技術を保有し、宇宙ビジネスをリードしています。次いで予算の大きい欧州も、宇宙産業で先進的な地位を築いています。

 日本は予算規模が小さいので、残念ながら宇宙開発では米国や欧州と比べて出遅れています。ただし、ロケットの製造や打ち上げ、人工衛星の製造や運営でこれまでに大きな成果を上げています。

ロケット事業・衛星事業で民間企業が大きな役割を果たし始めた

 民間企業が重要な役割を果たし始めているのが、ロケットおよび衛星事業です。主な役割は以下の通りです。

[1]ロケット事業:人工衛星を衛星軌道(地上400キロメートル以上)まで運ぶ。
[2]衛星事業:人工衛星を運営。観測・画像撮影、通信・放送、測位など行う。

 衛星事業は、さらに細かく分けると、以下三つに分類されます。

[A]静止軌道*(上空3万6,000キロメートル辺り)の大型衛星、あるいはさらに高軌道の大型衛星
[B]中軌道(上空2,000~3万6,000キロメートル)の大型衛星
[C]低軌道(上空2,000キロメートルまで)の小型衛星

*静止軌道とは:静止衛星が通る軌道。静止衛星は、地球の自転と同じ周期で公転するので、地上から見ると常に同じ位置に静止しているように見える。

 ビジネスは高軌道・中軌道から始まり、近年は低軌道が中心となってきています。

 以下、さらに詳しく説明します。

[A]静止軌道、さらに高軌道の大型衛星

 1機で地球上の広範囲を観測できるメリットがあります。日本は気象衛星「ひまわり」(静止軌道を通る)、測位・通信などに使われる衛星「みちびき」(準天頂軌道を通る)を運営しています(注:「ひまわり」「みちびき」とも複数ある衛星の総称)。

 ただし、地球からの距離が遠いことによる欠点もあります。通信の遅延が大きい、観測の解像度が低い、測位の精度が低いなどの課題があります。例えば観測分野では、高軌道の大型衛星で解像度数百メートル級に対し、低軌道では解像度30cm級まで向上します。

[B]中軌道の大型衛星

 米国政府が運営するGPS用の衛星があります。世界全体をカバーするため、中軌道に24機以上(バックアップまで含めると30機以上)が配置されています。日本でもスマホでGPSが使えます。GPSを使えるおかげで、スマホやカーナビで、位置情報が得られます。

 日本は「みちびき」を使って、GPSによる位置情報の精度をさらに向上させる取り組みを行っています。

[C]低軌道の小型衛星

 これからの宇宙ビジネスの中核を担うと期待されるのが、低軌道の小型衛星です。米国のスペースX(テスラ創業者のイーロン・マスク氏が創業)が再利用型ロケットを実現させ、ロケット打ち上げコストを大幅に低下させたことにより、低軌道に多数の小型衛星を打ち上げることが可能になりました。低軌道の小型衛星ならば、通信遅延がなく、観測・測位の精度が大幅に向上します。

 スペースXは、低軌道に多数の小型衛星を打ち上げて「衛星コンステレーション」(複数の衛星を連携して一体運用する仕組み)を構築し、世界全体で高速のインターネットサービスを提供する計画「スターリンク」を有しています。8,000~9,000の小型衛星があれば、世界全体をカバーできます。

 既にサービスを開始している地域もあります。日本でも通信インフラが整備されていない山間部や離島、あるいは災害時のバックアップ回線として注目されています。

 IHI(旧:石川島播磨重工業:7013)は、低軌道の衛星コンステレーションを運用する事業で、欧州エアバス社子会社など英国企業2社と提携します。2030年にも、地表の観測データを集めるネットワークをつくり、日英間の安全保障協力に役立てます。IHIは、防衛相へのデータ販売を想定しています。

 これから、低軌道を生かした宇宙ビジネスが、日本でも広がっていくと考えられます。小型衛星の分野では、既に複数のスタートアップが急成長していることに加え、IHIなどの大手企業も参入しつつあります。

 日本政府も、世界の潮流を踏まえわが国が進めるべき技術開発のロードマップを示した「宇宙技術戦略」を策定しました。スタートアップなどの民間企業の宇宙技術開発を支援する「宇宙戦略基金」を立ち上げるなど、わが国として宇宙開発を支援する枠組みが整ってきました。

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