トランプ大統領が「FRBの利下げは小規模だ。もっと規模を拡大できたはずだ」と発言。現在、米国政府債務の大部分が財務省短期証券だ。0.25%の利下げごとに、年間利息費用が約250億ドル減少する。金利を低位に抑えれば、2年以内に利息費用を半減させることも可能だ。当然心配されるのは「インフレ(スタグフレーション)」という副作用である。
政府の借金と金融政策の財政従属
米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3会合連続となる0.25%の利下げを決定した。FFレートは3.50~3.75%となり、加えて12月12日から米国財務省短期証券の購入を開始し、30日間で400億ドル相当の財務省短期証券を購入すると発表した。
債券王のジェフリー・ガンドラックは、FRBが後追いしている2年国債金利にFFレートが追いついたので、パウエルFRB議長が利下げを終えるだろうとみている。パウエルFRB議長が考えている米国の中立金利は3.5%程度だろう。
米国2年国債金利(週足)
(赤:金利上昇トレンド・黄:金利低下トレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
中央銀行の政策金利とインフレ率
米国市場は以下のような環境にある。
- 株式:過去最高値水準
- 住宅価格:過去最高値水準
- ゴールド:過去最高値水準
- マネーサプライ:過去最高水準
- 国家債務:過去最高水準
- CPIインフレ:2020年1月以来、インフレ率の平均年率は約4%。FRBの「目標」の2倍
こうした中で、金利を引き下げ、債券買い入れを行った場合、当然心配されるのは「インフレ(スタグフレーション)」という副作用である。
市場が予想するフェデラルファンド金利の推移
だが、米国は政府の財政赤字が拡大し、中央銀行が買い手のいない米国債購入を強いられることで、金融政策が財政に従属している。
財政優位性の下では、中央銀行による国債購入が貨幣供給の増大につながり、物価上昇(インフレ)を加速させる可能性がある。また、中央銀行の金融政策が財政状況によって制約され、インフレ抑制や景気安定のための政策手段が失われる可能性がある。
1970年代、ボルカーFRB議長は19%の金利でインフレを抑制した。しかし政府債務は現在10倍に膨れ上がっている。もし今日同じことを試みれば、財政赤字は破綻寸前の領域まで爆発的に膨れ上がるだろう。
一方、少子高齢化の日本の債務はインフレと戦うために金利を上げることが不可能になるレベルに達している。そのため、長期金利の上昇や日本銀行の利上げ観測の中でも、マイナス実質金利の中で円安が進行中だ。
2025年の世界の政府債務
日本10年国債金利(日足)
ドル/円(日足)
ユーロ/円(日足)
トランプ米大統領はFOMCを受けて、「FRBの利下げは小規模だ。もっと規模を拡大できたはずだ」と述べた。
現在、米国政府債務の大部分が財務省短期証券だ。0.25パーセントの利下げごとに、年間利息費用が約250億ドル減少する。金利を低位に抑えれば、2年以内に利息費用を半減させることも可能だ。
米国政府債務の大部分が財務省短期証券
トランプ米大統領は支持率の低下で、このままいけば中間選挙で多くの議席を減らすと予想されている。これを挽回するには、株価と暗号資産を上げるしかない状況だ。中間選挙まではなりふり構わない政策を打ち出してくるだろう。
財務省短期証券の購入については、量的緩和(QE)かどうかの議論になっているが、FRBはこれをQEとは呼ばない。今回の措置は経済刺激のためではないからだ。だが、恐らくプリンティングマネー(紙幣増刷)の始まりとなるだろう。これから徐々に印刷が始まる。
「彼らが何を約束しようとも、唯一の解決策は紙幣を刷ることだ。彼らは借金を返済できない。債務不履行に陥ることもできない。借金の価値を下げるしかないのだ。紙幣印刷のコストは通貨で支払われるのではなく、インフレで我々が支払うのだ。若者がそれを負う」
(ジャック・マラーズ)
インフレ抑制や景気安定のための政策手段が失われる!?
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