レンゴーは国内板紙・紙製包装資材最大手で世界でもトップ10の水準です。国内市場成熟の中、2017年の香港の包装企業買収を皮切りにM&Aを主軸とした海外展開を本格化。当期純利益は10年で5倍になりました。株価も上昇したものの依然としてPBR1倍を下回ることに加え、同業他社比でも割安感があるため、投資判断を「買い推奨」といたします。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「 PBR1倍割れのレンゴーは10年で利益5倍!段ボール国内最大手がM&Aと海外展開で事業拡大」
1990年代以降海外事業を拡大し板紙市場で世界トップ10の水準に
先週の記事では紙製包装資材大手のグラフィック・パッケージングを取り上げましたが、今回は段ボールや紙製包装資材の日本企業、レンゴーを取り上げたいと思います。
2025年12月4日:米グラフィック・パッケージングに割安感:10年で利益7倍も株価大幅下落(西 勇太郎)
レンゴー(3941 東京)(株価1,127円、時価総額2,795億円:12月8日終値)は、1909年設立の日本初の板紙・紙製包装資材企業「三盛舎」を含む業界関連5社が1920年に合併し、「聯合紙器株式会社」として設立されました。
当初は段ボール原紙を海外から調達し、その原紙を成形・印刷して箱を製造する紙器加工中心の業態でしたが、1936年に大阪に段ボール原紙製造設備を備えた淀川工場を開設して原紙から段ボール箱までの一貫生産体制を確立しました。1930年代後半には海外に事業を拡げ、朝鮮、台湾、中国に工場・子会社を設立しました。
敗戦によってこれら海外拠点は全て失いましたが、戦災を免れた国内工場で操業を再開。国内板紙・紙製包装資材体制を拡充するとともに、1950年代からは段ボール箱の印刷技術を応用し、菓子箱・化粧品パッケージといった紙器の製造を開始。
1980年代には包装機械の開発・販売、1990年代にはフィルム・ラミネート袋のような軟包装事業、2000年代には重量物包装資材事業と、事業領域を拡大していきました。
国内の段ボール需要はバブル期にピークをつけて以降、需要減少からEC市場拡大によって横ばいへと転じる展開です。一時期より状況は改善しているものの、大きな成長は見込めません。
そのような中、レンゴーは1990年にマレーシアで段ボール合弁事業に資本参加して本格的な海外進出を再開し、2000年以降はベトナム、タイ、中国など東南アジアに進出して海外事業を拡大。さらに2017年に香港の「トライウォール社」を完全子会社化して重量物包装分野での世界展開を開始しました。
その後もドイツ、英国、イタリア、中東などで買収や合併(M&A)を加速。包装資材のグローバル供給体制を構築し続けている状況で、板紙市場では世界のトップ10水準に到達している状況です。
当期純利益は5年間で10倍に
レンゴーの2015年3月期の当期純利益は57億円でしたが、2025年3月期には290億円と10年間では5倍の水準に達しました。2026年3月期の当期純利益計画値は240億円と、高水準の利益が継続する見通しです。
<レンゴーの当期純利益推移(2015年3月期以降)>
出所:レンゴー資料などより楽天証券経済研究所が作成
株価については2018年3月期までは利益増加とともに上昇し、2024年1月に過去最高値の1,208.5円をつけました。その後いったんは下落したものの、現在は再び過去最高値に迫る水準まで上昇しています。
<レンゴーの株価推移(2015年3月期以降)>
出所:レンゴー資料などより楽天証券経済研究所が作成
PBRが1.0倍に達すれば株価は1,900円
過去10年間の変化で見ると、売上高が1.9倍に増加したのに対して売上総利益は2.4倍、営業利益は6.7倍、当期純利益は5.1倍と増加ペースが売上高を上回っており、利益率上昇を伴いながらの事業拡大が実現できたことが分かります。
これは、設備投資を抑制しつつ、買収による規模拡大とコスト効率化を進めたことによるものです。株主資本蓄積も順調に進んで2.1倍に達している中、時価総額も同水準のペースで増加し、2.2倍となっています。
しかし依然として株価純資産倍率(PBR)は0.6倍と1.0倍を割り込む割安な状況であり、この割安感が解消されてPBRが1.0倍にまで上昇した場合には、株価は1,900円となります。
<レンゴーの業績推移(2014年度と2024年度)>
| (億円) | 2015年3月期 | 2025年3月期 | 変化(倍) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,227 | 9,933 | 1.9 |
| 売上総利益 | 764 | 1,818 | 2.4 |
| 営業利益 | 56 | 374 | 6.7 |
| 当期純利益 | 57 | 290 | 5.1 |
| 株主資本等合計 | 2,164 | 4,640 | 2.1 |
| 時価総額 | 1,261 | 2,795 | 2.2 |
| PBR(倍) | 0.6 | 0.6 | 1.0 |
| PER(倍) | 22 | 10 | 0.5 |
| ※時価総額は、2015年3月期は期末時点値、2025年3月期は直近値 出所:レンゴーの資料などより楽天証券経済研究所が作成 |
|||
ちなみにセグメント別では、国内における板紙、段ボールおよび段ボール箱の製造・販売を行う板紙・紙加工関連セグメントの営業利益が過去10年間で7.3倍になったことが、全体の増益に大きく寄与しました。
これは国内段ボール市場の寡占化が進んだことが要因で、10年前は上位5社で市場の約50%を占める程度だった寡占度は、その後M&Aや工場統合によって上位企業のシェアが拡大したことにより、現在は上位5社で約70%を占める寡占構造になっています。その中でシェア30%と圧倒的な地位を占めるレンゴーは規模拡大とともに製品価格改定による収益改善に成功しました。
また、海外における板紙、段ボール、段ボール箱、軟包装製品、重包装製品および不織布の製造・販売を行う海外関連セグメントは、10年間で売上高が7倍になるとともに安定した収益を稼げるようになりました。
これは段ボール需要が増加し続けている中国や東南アジアにおいて2010年代後半から現地段ボールメーカーを買収して短期間で売上規模を大幅に拡大するとともに、現地生産拠点の増設を通じて製造コストの低減に成功したことによるものです。
<レンゴーのセグメント別業績推移(2015年3月期と2025年3月期)>
| (億円) | 2015年3月期 | 2025年3月期 | 変化(倍) | |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 5,227 | 9,933 | 1.9 | |
| 板紙・紙加工関連 | 3,588 | 5,147 | 1.4 | |
| 軟包装関連 | 616 | 1,816 | 2.9 | |
| 重包装関連 | 406 | 450 | 1.1 | |
| 海外関連 | 280 | 2,131 | 7.6 | |
| 営業利益 | 56 | 374 | 6.7 | |
| 板紙・紙加工関連 | 32 | 234 | 7.3 | |
| 軟包装関連 | 21 | 51 | 2.4 | |
| 重包装関連 | 6 | 17 | 2.8 | |
| 海外関連 | ▲7 | 49 | - | |
| 営業利益率 | 1% | 4% | 3.5 | |
| 板紙・紙加工関連 | 1% | 5% | 5.1 | |
| 軟包装関連 | 3% | 3% | 0.8 | |
| 重包装関連 | 1% | 3% | 2.3 | |
| 海外関連 | ▲2% | 2% | - | |
| 出所:レンゴーの資料などより楽天証券経済研究所が作成。▲はマイナス | ||||
2026年3月期会社計画、2027年3月期の市場予想ともに増収かつ高水準の利益を維持する見通しとなっており、株価水準がこのまま変わらなければ、PBRも1倍割れの状況が継続します。
<レンゴーの業績予想>
| (億円) | 2025年3月期 | 2026年3月期 | 2027年3月期 |
|---|---|---|---|
| 実績 | 予想 | 予想 | |
| 売上高 | 9,933 | 10,050 | 10,499 |
| 営業利益 | 374 | 400 | - |
| 当期純利益 | 290 | 240 | 323 |
| 株主資本等合計 | 4,640 | 4,592 | 4,824 |
| 時価総額 | 2,795 | 2,795 | 2,795 |
| PBR(倍) | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
| PER(倍) | 10 | 12 | 9 |
| ※時価総額は直近値 出所:レンゴー、FactSetの資料などより楽天証券経済研究所が作成 |
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PBR1倍割れのレンゴーは10年で利益5倍!段ボール国内最大手がM&Aと海外展開で事業拡大(西 勇太郎)
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