金相場は上昇。ドルが対ユーロで下落したことや、米国の政治をめぐる混乱で安全資産としての需要が高まっている。また、米利上げ観測の後退も追い風となっている。米国株は上昇しているが、金相場の上昇が投資家の懸念を示しているといえる。

トランプ大統領のロシアとのつながりや、米連邦捜査局(FBI)のコミー前長官の辞任に関する疑惑で、財政刺激策の実行力に疑念が生じていることが金需要の高まりの背景にある。さらに、米利上げの後ずれリスクや安全資産である米国債への需要が長期金利の低迷につながっており、これがドル安を誘発している。

一方で、メルケル独首相が、「ユーロ相場はドイツにとって弱過ぎる」と発言したことで、ユーロが対ドルで上昇したことも、ドル建て金相場の割安感につながっている。

このように、金市場を取り巻く環境は依然としてポジティブであり、これが下げづらい状況を作りだしているといえる。トランプ大統領に関する新たな材料は来週以降に出てくる見通しだが、現在の政治的な混乱が拡大し、トランプ大統領への弾劾要求が強まるようなことになれば、減税やインフラ支出計画を実行することが困難になるだろう。そうなれば、ドルは下落しやすくなり、金相場の一段の上昇を後押しすることになろう。そうなれば、FRBも積極的な利上げに踏み切ることはできなくなる。これも金相場にはポジティブに作用することになる。

原油高などでインフレが加速すれば、FRBによる利上げの可能性が高まるが、株安リスクと天秤にかけると、利上げを実行して株安を招くようなことはできない。結果的に、ドル安基調が続き、ドル建て金相場の堅調さは維持されることになりそうである。

一方、銀が17ドルを回復し、プラチナも堅調である。これらの貴金属の動きにも注目しておくとよいだろう。

非鉄相場はまちまち。

トランプ政権の先行きに対する懸念はくすぶるが、積極的に売る動きは沈静化している。アルミは1,940ドルが重くなっており、これを抜けることが一段高の最低条件である。銅は5,700ドルを回復した。ニッケルも小幅続伸し、9,400ドルを付けている。亜鉛も上昇し2,700ドルを目指す動きにある。鉛はやや弱い動きだが、心配はいらないだろう。

中国経済の先行き不透明感やトランプ政権をめぐる疑惑は引き続き懸念材料ではあるが、底打ちから反発の動きが続くと考えている。

25日のOPEC加盟国と非加盟国の閣僚会合で協調減産の延長が決まり、これを受けて原油高がより鮮明になれば、コスト高から非鉄相場にも上昇圧力が強まると考えている。

原油は続伸。OPEC加盟国と他の産油国が協調減産の延長で合意するとの期待が高まっている。減産幅の拡大の観測も浮上しており、これが原油相場を約1カ月ぶり高値に押し上げている。

市場では、減産延長はほぼ織り込まれており、減産幅の拡大があるかに注目が集まりそうである。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は、減産の9カ月延長に同意を求めるためイラクを訪問し、ルアイビ石油相と会談。その結果、減産延長で合意に達したと報じられている。

サウジのエネルギー関連高官がイラクを訪問するのは約30年ぶりであり、今回の案件が両国にとっていかに重要であるかがわかる。OPECのバルキンド事務局長は、「加盟国間で減産延長期間についての合意形成が進んでおり、非加盟産油国も同じだ」としている。

OPEC加盟国と非加盟産油国の会合は、25日にウィーンで行われる。OPEC関係者は、この会合に先立ち、減産幅を現行の日量180万バレル規模から拡大する案が検討されているとしている。OPEC加盟・非加盟国の原油相場の引き上げについての強い意志が示される格好となっており、これで原油を売り込むのはきわめてリスクがあるだろう。

投機筋は下落トレンドを理由に安値を売り込んだが、ファンダメンタルズを理解していなければ、原油などのコモディティ取引で成功することはできないだろう。投機筋の安値でのネイキッドショートの買い戻しが今後の原油高を演出する可能性があるだろう。また、29日の米メモリアルデーから始まるドライブシーズン=ガソリン需要期入りも原油相場を例年のように押し上げる可能性がある。