今週は米国利下げ後の材料出尽くし売りに押される展開に注意が必要です。ただ11日に決算発表予定の米国AI半導体株ブロードコムが強気の業績見通しを示せば、AI株が引き続き相場のけん引役になりそう。日本では10年国債金利の2.0%台乗せが目前で銀行株独歩高、内需株低迷の株価二極化がさらに進むかもしれません。
今週のトピック:米FOMC開催、半導体株のブロードコム(AVGO)が決算発表
| 日付 | イベント |
|---|---|
| 12月8日(月) | ・中国の11月貿易収支 ・実質賃金の伸び率など10月の毎月勤労統計調査 |
| 12月9日(火) | ・米国FOMC1日目 |
| 12月10日(水) | ・米国FOMC2日目、連続利下げが確実視 ・FOMC後にパウエルFRB議長が記者会見 ・米国でオラクル(ORCL)が2025年9-11月期決算発表 |
| 12月11日(木) | ・米国でブロードコム(AVGO)が決算発表 |
| 12月12日(金) | ・先物取引とオプション取引の決済が重なるメジャーSQ算出日 |
- 12月10日(水)終了の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想90%近い確率で0.25ポイントの連続利下げが行われそう。市場の関心は2026年も米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを継続するかどうかに移るため、材料出尽くしで株価反落も!?
- 日本時間12日(金)早朝にグーグルと人工知能(AI)向け半導体「TPU」を共同開発するブロードコム(AVGO)が2025年9-11月決算発表。好決算ならAI株急騰も!?
- 日本では来週19日(金)終了の日本銀行の金融政策決定会合で追加利上げの観測がさらに高まりそう。ただ利上げの継続には慎重との見方から株高・円安トレンドが続く!?
- 不安要素は高市政権下の財政赤字拡大懸念で10年国債の利回りが1998年以来、27年ぶりに2.0%の大台を突破すること。債券安、円安に株安が加わる「日本売り」が意識される?
12月8日(月)の日経平均
前営業日比151円高の5万0,643円で反発スタート。その後小幅続落を続け、後場では5万0,400円台前後で一進一退の動きとなっています。終値は前営業日比90円高の5万0,581円で取引を終えました。
今週:2026年利下げに対する悲観論で下げ加速?AI株の新主役・ブロードコム好決算に期待!
今週は何といっても10日(水)深夜に終了する米国FOMCで追加利下げが行われた後の市場の反応が注目されます。
米国の雇用市場の悪化もあり10月29日のFOMCに続いて今回も0.25%の連続利下げが確実視されています。
米国の政策金利変更の金利先物市場への織り込み具合を算出したシカゴ・マーカンタイル取引所の「FedWatch」では0.25%利下げの確率が週末6日(土)時点で86.2%に達しています。
米国の12月利下げに期待して上昇してきた日米の株式市場ですが、実際に利下げが行われた後は材料出尽くし売りに見舞われる可能性が高いので注意が必要です。
市場の関心はすでに2026年も追加利下げが継続されるかどうかに移っています。
ただ、先週5日(金)発表の9月の米国個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)では、FRBが最重要視する変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアPCEデフレーターが前年同月比2.8%の伸びと高止まりしています。
そのため、FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が「利上げは12月で打ち止め。2026年は様子見」という見通しを示唆すると、米国株が急落する恐れもあります。
幸い、FOMC終了の翌日に当たる日本時間12日(金)早朝にはAI半導体でエヌビディア(NVDA)の強力なライバルであるブロードコム(AVGO)が2025年9-11月期の決算を発表。
ブロードコムはアルファベット(GOOG)傘下のグーグルとAI半導体「TPU」を共同開発しています。
グーグルのAIモデル「Gemini 3」向け半導体の販売好調で、ブロードコムが市場予想をはるかに上回る好決算を発表すればAI株主導の株価上昇が続く可能性もあります。
先週はアルファベット(GOOG)が前週末比0.6%高(11月は前月末比13.6%高)、ブロードコム(AVGO)が3.2%安(11月は同9.0%高)と上昇が小休止。
逆にエヌビディア(NVDA)が3.1%高(11月は同13.0%安)と、アルファベット・ブロードコム連合にAI半導体シェアを奪われる懸念から売られてきたエヌビディアの方に見直し買いが入っています。
今週は先週の利食い売りで力を蓄えたブロードコムの巻き返しに期待がかかります。
また先週、産業用ロボットのファナック(6954)が18.0%高、安川電機(6506)が18.7%高となるなど、今週もAIを搭載した工作機械の製造メーカーなど「フィジカルAI」関連株が盛り上がりそうです。
米国では2日(火)、トランプ大統領が国家経済会議のケビン・ハセット委員長を「将来のFRB議長」と紹介し、トランプ大統領が「利下げをしない無能な議長」と目の敵(かたき)にしているパウエルFRB議長の言動をけん制しました。
次期FRB議長候補のハセット氏は「自分がFRB議長なら今すぐに利下げする」と述べています。
金融緩和に超積極的なハセット氏の次期FRB議長指名が今後、12月利下げに替わる相場の下支え要因になる可能性も高いでしょう。
10年国債の利回り2.0%乗せで銀行株続伸?内需株は低迷?金利動向から目が離せない!
日本では先週5日(金)、長期金利の指標となる10年国債の利回りが18年ぶりに高値1.94%台まで上昇(債券価格は下落)し、今週は2.0%の大台突破がほぼ確実視されます。
長期金利上昇の理由の一つは先週1日(月)に日銀の植田和男総裁が「利上げの是非を適切に検討したい」と発言。来週19日(金)の金融政策決定会合で0.25%の利上げ再開観測が急速に高まっているからです。
さらに、高市政権のおこめ券配布などバラマキ色の強い政策による財政悪化懸念で、債券安、円安の「日本売り」を意図した仕掛け売り的な動きは今週も広がりそうです。
長期金利の上昇で金利負担が増す不動産・建設セクター、国債価格の急落で保有国債に大きな含み損が発生する地方銀行、保険セクター、物価高で個人消費の落ち込みが心配な小売、サービス業など、内需株が幅広く売られる展開には注意が必要でしょう。
ただ1日(月)、日銀の植田総裁は「遅すぎず早すぎず緩和の度合いを調整していく」とも発言しており、日銀が矢継ぎ早に利上げを続ける可能性は低く、12月利上げ観測がそれほど市場に大きな影響を及ぼすことはなさそうです。
それは先週、多少円高に振れたものの、為替レートが1ドル=155円30銭台と小動きに終始したことでも明らか。
世界的な信用格付け機関による日本国債の格下げなどネガティブ・サプライズがない限り、10年国債の利回りが2.0%を突破して青天井で上昇し続ける「日本売り」の加速はないと思われます。
ちなみに、先週は三井住友フィナンシャルグループ(8316)が前週比末5.3%続騰するなど、金利上昇を好感してメガバンク3社がいずれも上場来高値を更新。
絶好調な銀行株の影響力が強い東証株価指数(TOPIX)は4日(木)に史上最高値の終値3,398ポイントをつけています。
今週8日(月)にすでに発表された10月毎月勤労統計では物価上昇率を差し引いた実質賃金の伸び率が3カ月連続でマイナスになりました。
「給料は上がっているけど生活は苦しい」というのが庶民の実感かもしれません。
物価上昇や金利上昇に負けずTOPIXが今週も史上最高値を更新できるかどうかが12月の日本株の強さを占う鍵になるでしょう。
今週のマーケット:米国12月利下げ後の材料出尽くし売りに警戒!日本は金利上昇に注意
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