今年も残りわずかとなりました。年末は、税金対策であるタックスプランニングを検討する時期です。ご自身の過去と今年の損益状況を踏まえ、効果的な節税方法を解説します。
過年度の譲渡損失の繰り越しがあるかどうかをまずは確認
2025年分の確定申告期限は、2026年3月16日です。しかし、年明け後に2025年分の利益・損失を計算し、必要に応じて申告・納税する段階では、具体的な税金対策を講じることはできません。
従って、年内に必要な対策を講じ、できるだけ無駄な税金を支払わないよう準備しておくことが重要です。
まず、過年度(2022年、2023年、2024年)に発生した上場株式などの譲渡損失を繰り越しているか、過年度の確定申告書などで確認しましょう。
そもそも損失繰り越しの確定申告を行っていない場合は?
【1】過年度の譲渡損失があるが、確定申告で繰り越しを行っていない
過去の譲渡損失は、確定申告を行うことで3年間にわたり繰り越して利益と相殺できますが、確定申告をしていなければ繰り越すことはできません。
もし、過去の譲渡損失の繰り越しを失念していた場合は、速やかに確定申告を行って繰り越し手続きをしましょう。
ただし、源泉徴収ありの特定口座で生じた損失があり、かつ過年度に確定申告自体を行っている(確定申告はしたが、損失の繰り越しを失念していた)場合は、過年度の損失を繰り越すことはできません。
なお、損失を3年間繰り越すためには、毎年確定申告を行う必要があります。例えば、2022年分の損失を3年間繰り越すためには、2022年分だけでなく、2023年分、2024年分と順に確定申告を行い、繰り越していく必要があります。
損失の繰り越しがある場合はどうすればよい?
【2】過年度の譲渡損失があり、確定申告で繰り越しを行っている
過年度の譲渡損失があり、確定申告で繰り越しを行っている場合は、この損失を期限内に使い切ることを検討しましょう。
特に、2022年分から繰り越している損失は、2025年の利益と相殺しなければ、3年間が経過した際に切り捨てられてしまいます。
従って、現在の保有株に含み益があり、売却することで利益が実現するのであれば、その利益を2022年の繰り越し損失と相殺させることで、節税効果が得られます。
利益と損失の相殺はまず当年度分からおこなう必要がある
ただし、この点には注意が必要です。具体的には、2025年中に売却して利益を実現させても、2025年に生じた損失も存在する場合です。
今年の損失と過年度の損失がある場合、利益と相殺するのはまず「今年の損失」からです。
例えば
- 保有株の含み益:300万円
- 2025年の損失:50万円
- 2022年からの繰り越し損失:200万円
という状況であれば、含み益のある株を売却することで、2025年の損失と2022年からの繰り越し損失の両方と相殺でき、節税効果を享受できるでしょう。
しかし
- 保有株の含み益:300万円
- 2025年の損失:300万円
- 2022年からの繰り越し損失:200万円
という状況の場合、含み益のある株を売却しても、300万円の利益は2025年の損失と相殺され、2022年からの繰り越し損失と相殺することはできません。
状況によっては、今さら含み益のある株を売却しても、2025年の損失が大きく、2022年の繰り越し損失と相殺できない、という方もいらっしゃるでしょう。そのような場合は、無理に含み益のある株を売却しても節税メリットが得られないため、含み益があるまま保有を続けても問題ありません。
なお、2023年、2024年から繰り越してきた損失がある場合も考え方は上記と同様ですが、2026年にも損失は繰り越せるため、今年の年末に慌てて動く必要はないと筆者は考えます。
過年度から繰り越している損失がない場合は?
【3】過年度の譲渡損失がない
過年度の譲渡損失がない場合は、さらに以下の二つのパターンに分けられます。
1:現時点で2025年が損失の場合
もし含み益のある株があり、売却を検討しているのであれば、売却して現時点で生じている損失と相殺するとよいでしょう。
なお、2025年の損失は2028年まで繰り越しできるため、含み益のある株を無理に売却する必要はありません。
2:現時点で2025年が利益の場合
もし含み益のある株があり、売却を検討しているのであれば、売却益の計上を翌年に繰り越した方が有利という考え方もできます。
損失は3年間しか繰り越しできないため、将来の利益と相殺して損失を使い切れるかどうかは不確実です。そうであれば、利益はできるだけ先延ばしにしておいた方が有利といえます。
仮に、2026年に多額の損失が発生し、繰り越しても3年間で相殺しきれないほどの場合を想定します。含み益のある株を2025年に売却すると、2026年の損失とは相殺できませんが、2026年に売却すれば2026年の損失と相殺して節税効果が得られるためです。
売却益の計上を翌年に繰り越すには、信用取引の「つなぎ売り」という方法を利用します。売却したい現物株をそのまま保有し、信用取引で同じ株を空売りするのです。そうすることで、「買い」と「売り」が同数量となり、売却したのと同じ効果が得られます。また、実際には現物株を売却していないため、決済するまで利益の実現を繰り延べることができます。
例えば、2025年12月につなぎ売りを行い、2026年1月に現物株売却とつなぎ売りの決済を行えば、利益の実現を2026年に繰り延べることが可能です。
少々専門的な内容だったかもしれませんが、税金の世界では知識が有利に働き、知らないことが不利になる場合があります。無駄な税金を回避するためにも、ぜひ本記事の内容をご理解ください。
年末チェック!税金で損したくない個人投資家のタックスプランニング
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