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ガソリン価格を左右する「OPECプラス」はどう動く?

2025/12/2 7:30

暫定税率の廃止が決定し、ガソリンの小売価格が大きく下がり始めました。しかし、ガソリンの原材料である原油の国際相場は長期視点で高止まりしています。11月30日に、今後の原油相場を占う上で参考になるOPECプラスの会合が行われました。本稿ではその内容を解説します。

目次
  1. さらなる高値を望む主要産油国
  2. 重要な会合で各減産の方針を維持した
  3. 減産をしながら増産をするOPECプラス
  4. サウジの「ダブルフェイス」は限界か?
  5. 協調減産継続で原油の長期高止まり続く
  6. [参考]エネルギー関連の投資商品(例)

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の吉田 哲が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
ガソリン価格を左右する「OPECプラス」はどう動く?

さらなる高値を望む主要産油国

 以下のグラフは原油の国際指標の一つであるドバイ原油の推移です。足元65ドル近辺で推移しています。この65ドルという水準は1990年代のおよそ3倍、リーマンショックや新型コロナショックの直後につけた安値のおよそ1.5倍です。

図:ドバイ原油(名目・実質)価格(年足) 単位:ドル/バレル

ドバイ原油(名目・実質)価格(年足) 単位:ドル/バレル
出所:世界銀行のデータより筆者作成

 確かにリーマンショックの直前やウクライナ戦争勃発直後の高値に比べれば安いかもしれません。ですが、1970年代後半のオイルショックの時の名目および実質価格よりも高いこともあり、長期視点ではやはり高いと判断せざるを得ません。

 また2010年ごろ以降底上げが起きていることにも注目が必要です。以前のレポートで述べた通り、自由民主主義指数の世界平均が低下し始めたタイミングです。自由で民主的な状態がよいと考える西側諸国とそう考えない非西側諸国の間での分断が深まり始めたタイミングでもあります。

 こうした世界規模の分断が発生したことにより、資源を持っている非西側諸国は「資源の武器利用」を行うようになりました。世界規模の分断が発生しているときに行う資源の武器利用には大きく三つのメリットがあります。

 一つ目は自国の資源の安定供給です。二つ目は分断発生時の相手方である西側諸国に対する影響力を大きくすることです。三つ目は需給バランスを引き締めることによって資源価格の高騰が期待できることです。

 まさに今、原油相場において、産油国という非西側の資源国による資源の武器利用の影響が生じていると考えられます。2016年に協議が本格化し、2017年に始まった石油輸出国機構(OPEC)プラス(詳細を後で述べています)の原油の減産もまた、資源の武器利用の意味を伴っているといえるでしょう。

 さらに2010年ごろは、2008年に勃発したリーマンショックからの経済の立て直しを急ぐために西側諸国が提唱し、強力に進めた脱炭素の政策によるマイナス面の影響が大きくなったタイミングです。

 当時、「石油は悪だ」「石油は使うな」「石油を生産する国が地球をダメにしている」などと、地球温暖化の原因の多くが石油にあるという論調が世界に急速に拡大しました。これにより非西側の産油国たちの政治的な立ち位置が危うくなり始めました。同時に、原油の輸出量減少という経済的な危機にひんし始めました。

図:サウジアラビアの財政収支が均衡する時の原油価格 単位:ドル/バレル

サウジアラビアの財政収支が均衡する時の原油価格 単位:ドル/バレル
出所:国際通貨基金(IMF)のデータを基に筆者作成

 このことが一因で、非西側の代表的な産油国の一つであるサウジアラビアの財政収支が均衡する原油価格の水準が大きく上昇しました。世界の石油の需要が急減する中で収益を維持するためには、単価である原油価格が高くならなければならないためです。

 このように、世界分断深化そして脱炭素推進は、原油を生産する非西側の産油国において、原油価格が今よりも高くなることを強く望む動機になりました。

重要な会合で各減産の方針を維持した

 11月30日、足元の原油相場を分析したり今後の原油相場の動向を占ったりする上で大変に重要な会合がありました。OPECプラスの会合です。OPECプラスは以下の図の通り、合計23の主要な産油国で構成されています。

 石油輸出国機構(OPEC)に加盟する12カ国、そしてロシアやカザフスタンなどの非加盟の11カ国です。原油の生産シェアはおよそ59%です(2025年10月時点)。

図:OPECプラスについて(2025年12月時点、原油生産シェアは2025年10月時点)

OPECプラスについて(2025年12月時点、原油生産シェアは2025年10月時点)
出所:OPECの資料およびライスタッド・エナジーのデータより筆者作成

 このOPECプラスは、以下の会合を定期的に開催しています(臨時に開催する場合もある)。11月30日は半年に一度行われるOPEC・非OPEC閣僚会議、そして二カ月に一度行われる共同閣僚監視委員会(JMMC)、また毎月行われる自主減産を行っている八カ国の会合も行われました。

 OPEC・非OPEC閣僚会議のタイミングは、OPECが単体で開催しているOPEC総会のタイミングと同様です(5月下旬or6月上旬、11月下旬or12月上旬の2回)。協調減産の実施期間や規模を決定するなど、OPECプラスの最高意思決定機関です。

 JMMCは、OPECプラスの中の主要国が参加し、協調減産・自主減産といった各減産について、監視・分析をする委員会です。OPEC・非OPEC閣僚会議に、臨時会合の開催、減産の延長、減産の規模拡大(縮小)など、さまざまな勧告を行います。

 自主減産を実施している八カ国の会合については、翌月に自主減産をどの程度縮小するのかを決定します。自主減産は2023年の5月に始まりました。自主減産の縮小が2025年の4月に始まり、それ以降毎月、翌月の方針を決める会合が行われています。

図:OPECプラスの各種会合について(2025年12月時点)

OPECプラスの各種会合について(2025年12月時点)
出所:OPECの資料などを基に筆者作成

 11月30日に行われたOPEC・非OPEC閣僚会議では、協調減産を2026年の年末まで継続することの再確認(2024年12月に決定)、2027年の協調減産の基準量設定に向けた仕組みを導入することの再確認(2024年12月に決定)、協力憲章(CoC)の枠組みとその目的を再確認(2019年7月に署名済)しました。

 同日の自主減産実施八カ国の会合においては11月2日の会合で決定した2026年1月から3月の自主減産縮小(≒増産)を停止することを再確認しました。これら三つの会合において真新しい決定事項はなかったといえます。この点が各種メディアにて「減産維持」と報じられているゆえんです。

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