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「金は堅調さを維持、原油は50ドルの大台超え」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は堅調さを維持、原油は50ドルの大台超え」

2017/5/22
金相場は上昇。米国での政治の混乱を背景にドルが軟調に推移していることから、安全資産としての金の魅力が増している。
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金相場は上昇。米国での政治の混乱を背景にドルが軟調に推移していることから、安全資産としての金の魅力が増している。株価はやや落ち着きを取り戻しているが、金市場でのトランプ大統領に関する材料はいまだに重要なポイントになっているといえる。

トランプ大統領はコミー前連邦捜査局(FBI)長官を解任したが、これが政治的論争を招き、米司法省は17日に昨年の大統領選におけるロシア政府とトランプ陣営の関係を捜査するための特別検察官を任命している。米上院情報委員会は、トランプ大統領に解任されたコミー前連邦捜査局(FBI)長官が、同委員会で証言すると発表。コミー氏はロシアによる米大統領選への介入疑惑について捜査している。

上院情報委員会の声明によると、公聴会は5月29日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)後に開催される見通し。一方、ロシアのラブロフ外相は、コミーFBI長官の解任について「トランプ大統領と一切話はしていない」としている。

報道では、トランプ大統領がホワイトハウスでラブロフ外相とロシアのキスリャク駐米大使に対し、コミー氏の解任によってロシアによる米大統領選関与疑惑を巡る捜査に絡む「大きな圧力」が軽減されたと語っていたとされていた。ラブロフ外相はそれを否定した格好である。

いずれにしても、この材料が金相場を心理面でも支えていることは確かであり、今後も金市場ではトランプリスクを意識した動きが続きそうである。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、12日の851.89トンから19日には850.71トンにわずかに減少した。減少したとはいえ、減少量は小幅であり、投資家の金購入意欲が衰えているとは判断できないといえる。

COMEX金先物市場での大口投機筋のポジションは、5月16日時点で12万6,724枚の買い越しとなり、前週から2万3,282枚減少した。買いポジションが1万4,583枚の大幅減となった一方、売りポジションが8,699枚増加した。

金相場の下落により、投機筋による買いポジションの大幅な縮小の動きが続いている。昨年末から年初にかけての金価格が1,130ドル台にまで下落した局面では、買い越し量が10万枚を下回るところまで減少した。ただし、この水準で価格の下落と買い越し量の減少が止まっており、一つの目安と考えられる。

非鉄相場はおおむね堅調。トランプ政権の先行きに対する懸念はくすぶるものの、売り一服感から買い戻しが優勢になった。ドルが引き続き弱含みで推移しており、これが非鉄相場の割安感につながった面がある。アルミは1,940ドル台を回復し、銅は5,600ドルを明確に回復した。ニッケルは底打ちから反発し、9,300ドル台を回復し、亜鉛も2,630ドル台にまで急反発した。軟調に推移していた鉛も2,000ドル割れの底割れリスクを回避して反発した。目先の下値を確認したといえそうである。

目先は中国経済の先行き不透明感やトランプ政権をめぐる疑惑が懸念材料ではあるが、底打ちから反発の動きが続こう。また25日のOPEC加盟国と非加盟国の閣僚会合で協調減産の延長が決まり、これを受けて原油高が鮮明になれば、非鉄相場にも好影響が出るだろう。

原油は続伸。WTI原油は50ドルを超えて引けた。週間ベースでも2週連続で陽線となり、強い動きにある。市場では、OPEC加盟国と他の産油国が25日の会合において、協調減産で合意するとの期待が高まっている。会合では、現在の日量180万バレルの減産措置を18年3月まで延長することで合意すると見込まれている。

協調減産に参加しているOPEC加盟国は、世界的な原油の供給過剰の緩和を目指しているが、低調な需要と米国を中心とする生産拡大の影響で需給均衡が進んでいないのが実態である。OPECの委員会は、このような状況を打破するために、原油相場の押し上げを目指して減産幅の拡大も検討していると報じられている。

OPECの経済委員理事会での協議は24~25日に行われるが、結論は26日夜に出される見通しであり、関係筋によると「最終的なシナリオでは合意していない」という。また「OPEC非加盟国の原油生産と米国のシェールオイル生産の増加予想によっては、減産量の拡大も選択肢に入る」としている。

いずれにしても、減産期間の延長は既定路線であり、市場の関心は減産幅の拡大に向かうことになろう。

現時点で石油需給の調整が進まない背景には、米国内の石油掘削リグ稼働数が増え続けていることがある。前週は8基増の720基となり、15年4月以来の高水準となっている。これで増加は18週連続となり、連続記録としては過去2番目の長さとなった。また、水準は前年同週の318基の2倍超となっている。

一方、現在の米国内の産油量は、日量930万バレル水準で伸び悩んでいる。これは原油価格が低迷していることが背景にあると思われる。したがって、米国のシェールオイル企業にとっても、現在の価格水準での生産拡大は厳しい状況にあるといえる。一方、来週からはいよいよ米国のガソリン需要に入る。

米国内のガソリン需要は、今年に入ってから予想以上に低迷したが、経済成長が堅調であることや、ガソリン店頭価格が安いことから、今年夏のドライブシーズンには需要は再び過去最高水準に達するとみられている。米エネルギー情報局(EIA)によると、17年1~2月のガソリン需要は前年同期比2.1%減少した。

米国のガソリン市場は世界の石油消費の約10%を占めており、米国のドライバーは世界の石油供給に大きな影響力を持っているだけに、今後の需要動向は世界の石油市場の最大の関心事になる。ちなみに、昨年の米国内のガソリン需要は日量933万バレルと、過去最高を更新した。今年に入ってから需要は低下しているものの、車の走行距離は伸びており、燃費が向上しているとみられている。

今年のガソリン需要の低下は、米国内で車の利用が多いカリフォルニア州やテキサス州での悪天候が背景にあるとみられており、これが今後は回復していくというのが、全米自動車協会(AAA)の見立てである。AAAは、今月末の連休期間に3,460万人が50マイル(約80キロ)以上運転すると予測している。予測通りになれば、05年以来の高水準になるという。景気が底堅く、失業率が低いこともあり、ガソリン需要は今後数カ月増加する見通しである。

AAAは、「ガソリン価格はこの数カ月は上昇しているが、まだ割安な状況にある」としている。5月末のメモリアルデーを境に、米国内のガソリン需要は自然体で増加し、結果的に在庫も減少するだろう。もちろん、これを受けて、原油価格も上昇していくのが通常の動きである。したがって、よほどのことがない限り、夏場の原油価格が現行水準を下回って推移することはないとみてよいだろう。

一方、NYMEX・WTI原油先物市場での投機筋のポジションは、5月16日時点で32万8,952枚の買い越しとなり、前週から201枚の増加となった。前週の買い越し幅の減少が4万4,393枚だったことを考えると、投げは大方出切ったといってよいだろう。また、買いポジションが9,155枚減少し、売りポジションも9,356枚減少している。売り方も買い方もポジションを縮小させている点は非常に興味深い。

このように、ここまでポジションが調整されており、これで上昇しやすくなったといってよいだろう。25日のOPEC総会がトリガーとなり、さらに米ガソリン需要期入りがそれを後押しする形で、新たな水準に切り上げていく動きを想定しておきたい。

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