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サカタのタネ株に「割安感」、ブロッコリー世界1位・M&Aで急拡大もPBR低迷(西 勇太郎)

2025/11/27 8:00

 サカタのタネは種苗国内最大手で世界でもトップ10に入ります。創業100年の2013年以降、海外M&Aを積極化し、海外売上は全体の8割です。過去7年で純利益は1.7倍になったものの株価は下落してPBRは1倍近辺に低下しています。さらに、同業他社比で割安感があるため、本稿では投資判断を「買い推奨」とします。

目次
  1. アンデスメロンを開発し、2013年から海外展開加速
  2. 当期純利益が7年間で2倍に
  3. PBRが過去平均水準の1.4倍に達すれば株価は5,000円
  4. 同業他社比でPBRに割安感
  5. ROEがさらに上昇する可能性も
  6. 2,000億円以上の使用可能資金

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
サカタのタネ株に「割安感」、ブロッコリー世界1位・M&Aで急拡大もPBR低迷

アンデスメロンを開発し、2013年から海外展開加速

 サカタのタネ(1377 東京)(株価4,000円、時価総額1,730億円:11月21日終値)は種苗国内最大手で世界でもトップ10に入る企業です。世界170カ国に花や野菜の種子を販売しており、特にブロッコリーの世界市場シェアは65%、トルコギキョウは70%を占めています。

 欧州のメロンとマクワウリを掛け合わせて開発した「プリンスメロン」(1962年)、安定的に高い甘みの実ができることから「安心です」に名前が由来する「アンデスメロン」(1977年)でも知られます。

 同社は、欧米で園芸技術を学んだ坂田武雄氏が1913年にユリ球根の輸出などを目的として横浜に設立した「坂田農園」を起源とします。1914年に第1次世界大戦が勃発して国際物流が混乱し苗木の輸出が困難になったことから、1916年に種子販売へと事業転換しました。

 1921年に日本の民間企業で初めて発芽の安定性を研究する発芽試験室を設置し、1930年代には品種改良を本格化。第2次世界大戦下で政府主導の企業統合が進められていく1942年に、国際展開の経験と実績を持つ坂田農園が中心となって複数企業が合併し、「坂田種苗」(現在のサカタのタネ)が設立されました。

 戦争中は海外との取引がほぼ停止し、国内向けの品種開発と供給に集中していましたが、終戦後は海外輸出を再開。1977年の米国現地法人を皮切りに海外進出を本格化させ、1980年代以降、欧州、チリ、メキシコ、ブラジル、中国などに相次いで現地法人を設立し、現地での育種、販売、マーケティング、安定供給体制の強化に努めました。

 2007年に3代目社長に就任した坂田宏氏は海外駐在の経験から現地適応型の品種開発と販売が不可欠と認識しており、2013年に創業100年を迎えたことを機に、グローバル展開と事業強化の加速にかじを切りました。

 2017年にはヨルダンのキュウリ育種企業McAVET、2023年にはオランダのキュウリ種苗企業Sana Seeds、ブラジルの家庭園芸・小規模農家向け種苗企業Isla Sementesなど、 買収や合併(M&A)も積極的に実施。2013年以降で売上高は2倍弱、利益は約3倍になり、海外売上高比率は40%から80%へと上昇しました。

当期純利益が7年間で2倍に

 サカタのタネの2018年5月期の当期純利益は58億円でしたが、2025年5月期には97億円と2倍に近い水準になりました。

 前期比では大幅減少となっていますが、これは前期に、保有していた固定資産を売却して特別利益123億円を計上したことによるもので、この要因を除けば、おおむね高水準の利益を維持し続けている状況となります。2026年5月期の当期純利益計画値は90億円と、高水準の利益が継続する見通しです。

<サカタのタネの当期純利益推移(2018年5月期以降)>

サカタのタネの当期純利益推移(2018年5月期以降)
※2026年5月期は会社計画値
出所:サカタのタネの資料などより楽天証券経済研究所が作成

 株価については2022年5月期に予想を上回る決算を受けて一時的に上昇する局面がありましたが、その後反落。現在は4,000円近辺と2018年5月期と同水準となっています。

<サカタのタネの株価推移(2018年5月期以降)>

サカタのタネの株価推移(2018年5月期以降)
※2026年5月期は直近値
出所:サカタのタネの資料などより楽天証券経済研究所が作成

PBRが過去平均水準の1.4倍に達すれば株価は5,000円

 過去7年間の変化で見ると、売上高が1.5倍に増加したのに対して売上総利益は1.7倍、営業利益は1.6倍、当期純利益は1.7倍と増加ペースが売上高を上回っており、利益率上昇を伴いながらの事業拡大が実現しました。

 株主資本の蓄積も順調に進んで1.6倍に達している中、時価総額は0.9倍に低下しています。結果的に株価純資産倍率(PBR)は1.9倍から1.1倍へと大きく低下し、割安感が出た状態になっています。この割安感が解消され、PBRが過去7年平均水準の1.4倍にまで上昇した場合には、株価は5,000円となります。

<サカタのタネの業績推移(2018年5月期と2025年5月期)>

(億円) 2018年5月期 2025年5月期 変化(倍)
売上高 624 929 1.5
売上総利益 343 585 1.7
営業利益 76 123 1.6
当期純利益 58 97 1.7
株主資本等合計 995 1,618 1.6
時価総額 1,840 1,730 0.9
PBR(倍) 1.9 1.1 0.6
PER(倍) 32 15 0.5
※時価総額は、2018年5月期は期末時点値、2025年5月期は直近値
出所:サカタのタネの資料などより楽天証券経済研究所が作成

 ちなみにセグメント別では、海外卸売の増収増益のみが全体の増収増益に寄与しました。この海外卸売の増収増益は前述の通り、2013年以降のグローバル展開と事業強化の加速、そして積極的なM&Aによるものです。

<サカタのタネのセグメント別業績推移(2018年5月期と2025年5月期)>

(億円) 2018年5月期 2025年5月期 変化(倍)
売上高 624 929 1.5
  国内卸売 167 127 0.8
  海外卸売 373 720 1.9
  小売 71 45 0.6
営業利益 76 123 1.6
  国内卸売 52 48 0.9
  海外卸売 112 200 1.8
  小売 1 ▲3 ▲3.0
営業利益率 12% 13% 1.1
  国内卸売 31% 36% 1.2
  海外卸売 28% 27% 1.0
  小売 1% ▲6% ▲7.9
出所:サカタのタネの資料などより楽天証券経済研究所が作成

 2026年5月期、2027年5月期はともに増収かつ高水準の利益を維持する見通しとなっております。株価水準がこのまま変わらなければ、2027年5月期にはPBRが1.0倍まで低下する計算になります。

<サカタのタネの業績予想>

(億円) 2025年5月期 2026年5月期 2027年5月期
実績 予想 予想
売上高 929 955 1,013
営業利益 123 110 -
当期純利益 97 90 96
株主資本等合計 1,618 1,573 1,627
時価総額 1,730 1,730 1,730
PBR(倍) 1.1 1.1 1.0
PER(倍) 15 19 18
出所:サカタのタネ、FactSetの資料などより楽天証券経済研究所が作成

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