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エヌビディア好決算でAI相場「第2幕」は来るか?(土信田雅之)

2025/11/21 8:00

 エヌビディアの四半期決算は、売上・利益ともに市場予想を上回りました。株価は時間外取引で上昇し、市場にはひとまず安心感が広がりました。AI相場は「第2幕」へと突入する期待も高まりそうですが、その一方で「関連株なら何でも上がる」全面高フェーズから、確かな業績と実益を重視する「選別」フェーズへと移行しつつある可能性があります。

目次
  1. エヌビディア決算、売上高・利益とも市場予想上回る
  2. 市場の初期反応と「選別」の始まり
  3. AI相場はこのまま上昇?「第2幕」の構造

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
エヌビディア好決算でAI相場「第2幕」は来るか?

エヌビディア決算、売上高・利益とも市場予想上回る

 今週の19日(水)の米国株市場の取引終了後に、世界中の投資家が注目する米半導体エヌビディア(NVIDIA)の決算(2025年8-10月期)が発表されました。

 売上高・利益ともに市場予想を上回り、米国株市場の時間外取引(アフターマーケット)では、エヌビディアの株価が約5%上昇。これを受けた20日(木)の日本株市場でも、ソフトバンクグループの株価は前日比で1.89%高、アドバンテストは同8.80%高、ディスコは同6.87%高、レーザーテックは同6.17%でした。エヌビディア決算の通過によって、株式市場は一定の安堵(あんど)感でポジティブに反応した格好です。

 では、エヌビディア決算によって、このままAI相場は上昇し、「第2幕」を迎えることになるのでしょうか?

 そこで、まずは今回のエヌビディア決算の概況を簡単に整理してみます。

<図1>米エヌビディアの売上高、純利益、売上高および純利益成長率の推移

米エヌビディアの売上高、純利益、売上高および純利益成長率の推移
出所:Bloombergデータを基に作成

 上の図1は、エヌビディアの四半期ごとの売上高や純利益を棒グラフで表し、前年同期比の成長率を折れ線グラフで示したものです。

 折れ線(成長率)グラフの推移に注目すると、売上高成長率はかつての200%超えの増加から、今回は62%増、来期見通しでは約50%増へと徐々に低下傾向にあり、一見すると成長が鈍化しているようにも見えます。ただし、棒グラフ(売上高・純利益の実額)は着実に過去最高を更新し続ける見通しとなっています。

 当然ながら、売上規模が巨大になれば、成長率が下がるのは「大数の法則」的に不可避ですし、「売上600億ドルで50%成長」が生み出す利益額は、過去の「売上100億ドルで200%成長」よりもはるかに大きくなるため、エヌビディアに対する市場の評価軸が「成長速度」から「実際に稼ぐ利益の実額」に変化していくと思われます。

 また、最大の懸念だった次世代チップ(Blackwell)について、「生産はフル稼働しており、次の四半期(第4四半期)だけで数十億ドル(数千億円)売り上げる」との強力な見通しが示されたことも安心材料となりました。

 これにより、AIを背景とした半導体需要の強さが確認され、しばらくは業績の成長が続いていく見方が強まったと言えます。

市場の初期反応と「選別」の始まり

 では、決算発表直後の株式市場はどう反応したのでしょうか?

<図2>2025年11月19日(水)の米時間外取引(アフターマーケット)の状況

2025年11月19日(水)の米時間外取引(アフターマーケット)の状況
出所:Bloombergデータを基に作成

 上の図2は、2025年11月19日(水)の米時間外取引(アフターマーケット)でAI・半導体関連銘柄がどう反応したのかについてまとめたものです。

 冒頭でも述べた通り、決算を発表した当事者のエヌビディアは5.08%上昇し、株式市場の初期反応としては良好でしたが、関連銘柄の反応はおおむね上昇しているものの、一様ではないことが分かります。

 例えば、「ハイパースケーラー」と呼ばれる大手テック企業を見ると、マイクロソフトが19日(水)の通常取引の終値比で1.35%高、アルファベットが同じく2.39%高、アマゾンが1.88%高、メタ・プラットフォームズは1.64%高となっており、エヌビディア決算の波及効果としては、上値の伸びはイマイチと言えます。

 また、パランティア・テクノロジーズは4%を超える上昇となりましたが、直近の高値からは20%以上も下落していたこともあって、買い戻しが入りやすい状況だったと考えられます。

<図3>米主要AI・半導体関連銘柄のPEGレシオの状況(2025年11月19日時点)

米主要AI・半導体関連銘柄のPEGレシオの状況(2025年11月19日時点)
出所:Bloombergデータを基に作成

 上の図3は、11月17日のレポートでも紹介した、米主要AI・半導体関連銘柄のPEGレシオの状況です。

 PEGレシオとは、株価収益倍率(PER)を利益成長率で割ったもので、「PERに見合った利益を生み出しているか?」という視点で株価の割高感を探る指標になります。

 19日(水)時点のパランティア・テクノロジーズのPEGレシオは4.69倍となっていて、他の銘柄と比べてもかなり割高と言えます。

 パランティア・テクノロジーズの決算は11月3日に発表され、今回のエヌビディアと同様に業績・見通しともに良好な内容だったのですが、株価が下落で反応したのは、こうした割高感が影響したと思われます。

 図3にもあるように、現在もパランティア・テクノロジーズの割高感が解消されたとは言い切れず、株価を戻すことはできても、再び高値を更新できるかどうかは微妙かもしれません。

 従って、エヌビディア決算を通過した株式市場はひとまず上昇で反応していくことになりそうですが、AI・半導体関連銘柄に対する評価軸が、これまでの「AI関連ならば何でも上がる」全面高の状況から、利益の絶対額や割安度へとシフトしつつあることや、買い戻しから再び買い上がれるかを見極めていく必要があることを踏まえると、仮にAI相場の「第2幕」入りとなった場合、銘柄を選別しながら進んでいく展開を想定していく必要がありそうです。

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