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持ち直しを見せる米国株市場、背後に忍び寄る「三つの影」には注意(土信田雅之)

2025/11/14 8:00

 米政府機関の閉鎖解除期待などを受け、今週の米国株市場は持ち直しを見せています。しかし、その裏にはリスクが潜んでいます。いまだにくすぶるAI相場への懐疑論、AIセクターの穴を埋め続けるローテーションの持続性、そして、「プライベート・クレジット」という水面下に隠れた信用リスクについて、探ります。

目次
  1. 持ち直しの動きを見せている今週の米国株市場
  2. AI相場の揺らぎはまだ終わらない
  3. 「ローテーション」はどこまで相場を支えるか?
  4. 水面下の隠れたリスクへの警戒

持ち直しの動きを見せている今週の米国株市場

 今週の米国株市場は、これまでのところ持ち直す動きを見せています。12日(水)の取引では、ダウ工業株30種平均が最高値を更新するなど、波乱含みだった先週の値動きが落ち着きを見せつつあります。

<図1>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2024年末を100)(2025年11月12日時点)

<図1>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2024年末を100)(2025年11月12日時点)
出所:MARKETSPEED IIおよびBloombergデータを基に作成

 こうした米国株市場の持ち直しの背景には、先週の波乱相場の原因となったAI・半導体関連銘柄の売りがひとまず落ち着きを見せていることや、米国議会で「つなぎ予算」が成立する見込みとなり、最長期間となっていた政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)が解除される期待が高まったこと、そして、AI・半導体関連銘柄以外の銘柄が物色されたことの三つが挙げられます。

 ただ、足元の米国株市場を支えているこの三つの材料は、相場の影を落としかねない要因もはらんでいます。

AI相場の揺らぎはまだ終わらない

 まず、一つめの影は「AI相場」そのものへの懐疑論です。

 前回のレポートでも指摘した通り、先週のAI相場に揺らぎをもたらしたのは、好決算にもかかわらず、株価下落で反応したパランティア・テクノロジーズ(PLTR)など、AI・半導体関連銘柄の割高感の意識が高まったことや、米大手金融機関(モルガン・スタンレー(MS)ゴールドマン・サックス・グループ(GS))の幹部がAI相場に対する懸念について発言したこと、そして、空売りで有名な米著名投資家(マイケル・バリー氏)が、エヌビディア(NVDA)およびパランティア・テクノロジーズ株を大規模に空売りしていることが判明し、売りにつながったことなどが挙げられます。

2025年11月7日:AI相場は「まだ終わらない」?芽生え始めた視点の変化に注意(土信田雅之)

 今週も、クラウドサービス企業の米コアウィーブ(CRWV)が発表した決算では、好調な売上に反して供給網の遅延懸念や多額の借り入れによるキャッシュ減少の方を嫌気して、株価が急落する動きを見せています。

 こうした動きは、仮にAIへの投資や需要が「本物」であったとしても、市場が期待先行の段階から、業績としてしっかり結果を出すことを求め始めている段階に移行しつつあるためと思われます。

<図2>米コア・ウィーブ(日足)とMACDの動き(2025年11月12日時点)

出所:MARKETSPEED II

 また、マイケル・バリー氏の影響もAI相場に冷や水を浴びせています。

 空売りポジションが判明しただけでなく、バリー氏は大手テック企業がAIサーバーの「減価償却(耐用年数)」を不自然に長く設定し、会計上の利益を「合法的」に水増ししている可能性を強く指摘しており、11月25日(火)にその詳細を公開すると予告しています。

 そのため、来週19日(水)に予定されているエヌビディア決算と同様に、バリー氏による25日(火)の続報の内容によっては、AI・半導体関連銘柄が再び荒れる展開を迎えるかもしれません。

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