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キッコーマンを買い推奨!海外事業拡大で最高益計上も株価は頭打ちで割安感あり(西 勇太郎)

2025/11/13 8:00

 キッコーマンはしょうゆ製造の世界最大手でケチャップ、ソース、ドレッシング、加工食品、飲料、酒類なども扱っています。1957年の米国進出を皮切りに世界展開を進め、現在は売上高の8割以上が海外です。直近10年間で売上高倍増、利益4倍増も、株価は頭打ちで過去実績比および同業他社比で割安感があり買い推奨といたします。

目次
  1. 1950年代から醤油を取り入れた調理法の普及に努め、グローバルな地位を確立
  2. 10年間で利益倍増も株価は下落
  3. PBRが過去平均水準に回復すれば株価は1,700円
  4. 調味料同業他社比でPBRに割安感があり、解消されれば株価は2,000円
  5. ROEのさらなる上昇可能性:財務レバレッジが他社に比べて低い
  6. キッコーマンは約4,000億円の使用可能資金を潜在的に有する

※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
キッコーマンを買い推奨!海外事業拡大で最高益計上も株価は頭打ちで割安感あり

1950年代から醤油を取り入れた調理法の普及に努め、グローバルな地位を確立

 先週の記事では調味料企業を取り上げましたが、今回は同じく調味料大手であり、しょうゆ製造世界最大手のキッコーマンを取り上げたいと思います。

2025年11月6日:スパイス大手マコーミックを買い推奨!36年連続増配、過去10年で利益倍増も株価は頭打ちで割安感(西勇太郎)

 キッコーマン(2801 東京)(株価1,387.5円、時価総額1兆2,962億円:11月10日終値)は、1917年に野田市(千葉県)のしょうゆ醸造家一族が醸造技術の共有と改良や国内外への販路拡大を目的として合同し、「野田醤油株式会社」として設立されました。

 1940年までに商品ブランドを、縁起の良い言葉「亀甲(きっこう)」と「萬(まん)」を組み合わせた「亀甲萬(きっこうまん)」に由来する「キッコーマン」とすることで統一しました。

 1957年には米国サンフランシスコに販売会社を設立、輸出拡大に加え、現地消費者に「しょうゆ=万能調味料」として浸透させるため、現地の家庭料理にしょうゆを取り入れた調理例を、デモンストレーション販売を通じて浸透させるなどのマーケティング活動を展開しました。

    1973年にはウィスコンシン州に現地工場を設立し米国での一貫生産を開始。これを皮切りに、世界各国に進出してグローバルブランドとしての地位を確立しました。

 しょうゆ以外の製品では、1930年代にしょうゆ業界における価格競争激化の打開策として始めたソースや酒類、デルモンテブランドと提携し1960年代の食の洋風化に応えて始めたケチャップ、同じく1960年代に米国市場でしょうゆを広めるために「肉料理に合う調味料」として開発されたテリヤキソースに代表されるたれ類、2000年代以降に健康志向の高まりを受けて本格展開した豆乳やサプリメントなどがあります。

10年間で利益倍増も株価は下落

 キッコーマンの2015年3月期の売上高は3,713億円でしたが、2025年3月期には7,090億円と1.9倍に増加しました。他方、当期純利益については売上高の増加率を上回る増加を示しており、2015年3月期の154億円から2025年3月期には617億円へと4.0倍になりました。

    これは、プレミアム価格で販売できる北米・欧州市場においてしょうゆ需要が堅調に拡大していること、現地生産・販売体制を強化し物流コストを抑制したこと、健康志向の高まりを背景に豆乳の需要が高まったこと、などによるものです。

 なお2026年3月期は小幅ながら減収見通しとなっていますが、これは為替変動や原料高を織り込んだためです。売上高は増加する見通しとなっており、事業自体の堅調トレンドに変わりはありません。

<キッコーマンの当期純利益推移(2015年3月期以降)>

キッコーマンの当期純利益推移(2015年3月期以降)
※2025年は計画値
出所:キッコーマン資料などより楽天証券経済研究所が作成

 他方、株価については2024年3月期までは上昇トレンドが継続していましたが、その後は頭打ち感から徐々に水準を切り下げる展開となっています。

<キッコーマンの株価推移(2015年3月期以降)>

キッコーマンの株価推移(2015年3月期以降)
※2025年は直近値
出所:キッコーマン資料などより楽天証券経済研究所が作成

PBRが過去平均水準に回復すれば株価は1,700円

 過去10年間の変化を見ると、売上高が1.9倍に増加したのに対して営業利益は2.9倍、当期純利益率は4.0倍と増加ペースが売上高を大きく上回っており、利益率上昇を伴う事業拡大が実現できたことが分かります。株主資本蓄積も順調に進んで2.2倍に達している一方、時価総額変化率は1.7倍にとどまっています。

    結果的に株価純資産倍率(PBR)は3.2倍から2.6倍へと低下しており、割安感が出ている状況となっています。この割安感が解消され、PBRが過去10年間の平均水準に近い3.0倍にまで上昇した場合には、株価は1,700円となるでしょう。

<キッコーマンの業績推移(2015年3月期と2025年3月期)>

(億円) 2015年
3月期
2025年
3月期
変化
(倍)
売上高 3,713 7,090 1.9
売上総利益 1,460 2,392 1.6
営業利益 254 737 2.9
当期純利益 154 617 4.0
株主資本等合計 2,365 5,085 2.2
ROE(%) 7 12 1.7
時価総額 7,452 12,962 1.7
PBR(倍) 3.2 2.6 0.8
PER(倍) 48 21 0.4
出所:キッコーマンの資料などより楽天証券経済研究所が作成

 ちなみにセグメント別では、海外食料品卸売が増収増益に大きく貢献しました。同セグメントでは自社製品だけでなく、他社の日本食材(米、調味料、菓子、日本酒など)も扱う「日本食品の専門商社」として事業を行っています。和食がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年以降、海外での日本食人気が急上昇しています。

 海外の日本食レストランは2013年の約5.5万店から2023年には約18.7万店と3倍以上に増加しました。これらレストランや現地の小売店に対してキッコーマンは、安定した供給網と商品提案力を武器に事業を拡大しました。

 また、海外食料品製造・販売セグメントは、上記の通り海外で日本食人気が高まる中、北米、欧州、アジアにおけるしょうゆ製造拠点の増強により、輸送コスト抑制と現地ニーズに合わせた商品開発が可能となり、収益性が向上しました。

<キッコーマンのセグメント別業績推移(2015年3月期と2025年3月期)>

(億円) 2015年
3月期
2025年
3月期
変化
(倍)
売上高 3,713 7,090 1.9
  国内食料品
製造・販売
1,600 1,501 0.9
  国内その他 75 74 1.0
  海外食料品
製造・販売
658 1,440 2.2
  海外食料品
卸売
1,380 4,074 3.0
営業利益 254 737 2.9
  国内食料品
製造・販売
27 85 3.1
  国内その他 10 12 1.2
  海外食料品
製造・販売
142 399 2.8
  海外食料品
卸売
65 304 4.7
営業利益率 7% 10% 1.5
  国内食料品
製造・販売
2% 6% 3.4
  国内その他 13% 16% 1.2
  海外食料品
製造・販売
22% 28% 1.3
  海外食料品
卸売
5% 7% 1.6
出所:キッコーマンの資料などより楽天証券経済研究所が作成

 2026年3月期、2027年3月期の市場予想はともに増収かつ高水準の利益を維持する見通しとなっており、株主資本の蓄積は着実に進むことが見込まれています。株価水準がこのまま変わらなければ、2027年3月期にはPBRが2.4倍まで低下する計算になります。

<キッコーマンの業績予想>

(億円) 2025年
3月期
2026年
3月期
2027年
3月期
実績 予想 予想
売上高 7,090 7,445 7,611
当期純利益 617 596 603
株主資本等合計 5,085 5,267 5,456
時価総額 12,962 12,962 12,962
PBR(倍) 2.6 2.5 2.4
PER(倍) 21 22 21
出所:キッコーマン、FactSetの資料等より楽天証券経済研究所が作成

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