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「金は1,250ドルを目指す展開、原油は48.20ドルが重い」
江守 哲
コモディティ デイリーコメント
貴金属、原油を中心とした商品(コモディティ)マーケットの要点をまとめたデイリーコメント。コモディティマーケットに精通した江守氏の鋭い着眼点に注目。

「金は1,250ドルを目指す展開、原油は48.20ドルが重い」

2017/5/17
金相場は続伸。米国の政治的な混乱や予想より弱い内容の米住宅着工統計がドルを押し下げたことが材料視された。
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金相場は続伸。米国の政治的な混乱や予想より弱い内容の米住宅着工統計がドルを押し下げたことが材料視された。さらに欧州の経済見通しがより明るくなったとの見方がユーロを押し上げたことも金相場を押し上げている。

4月の米住宅着工件数は年換算で117万2,000戸と、前月比2.6%減少。先行指標の住宅着工許可件数は122万9,000戸と、2.5%の減少だった。前年同月比では住宅着工件数が0.7%増、許可件数が5.7%増だった。これを受けて長期金利が低下し、ドルが売られている。

一方、4月の鉱工業生産指数は前月比1.0%上昇。上昇は3カ月連続で、伸び幅は14年2月以来の大きさだったが材料視されなかった。また、トランプ大統領が過激派組織「イスラム国」(IS)の作戦計画に関する機密情報をロシアのラブロフ外相に明らかにしたとの報道を受けて、ドル指数は6カ月超ぶりの安値を付けている。

一方でドイツのメルケル首相とフランスのマクロン新大統領が会談で、EU統合の深化で合意したことは、欧州の見通しに関して安心感を与えており、これがユーロ高につながっている。

金相場は着実に下値を切り上げており、1,245ドルを目指す展開にある。これを超えるかが目先の重要なポイントになりそうである。

一方、4月のEU域内の新車(乗用車)販売台数は前年同月比6.6%減の119万1,034台となり、6カ月ぶりにマイナスとなった。各国で4月のイースター休暇中の需要が振るわなかったことが影響した。英国が19.8%減と大きく落ち込み、ドイツは8.0%減、フランスも6.0%減だった。1~4月の累計販売台数は前年同期比4.7%増の533万2,854台。欧州の自動車販売台数の落ち込みはプラチナ相場に影響を与えやすいだけに、この動向にも注意が必要であろう。ただし、いまはこれまでの売られすぎの反動で戻りを試す展開にある。960ドル程度までの戻りは十分にあり得るだろう。

非鉄相場はさえない展開。中国の金融規制強化に対する懸念から景気の先行きに不安が広がったことが上値を抑えている。アルミは続伸し、1,929ドルまで上昇。基調は回復している。中国の生産抑制で需給が締まるとの観測から買われているもよう。銅も続伸しているが、チャートポイントである5,620ドルで止まっている。これを超えると5,780ドルまでの上昇が見込まれるだろう。一方、ニッケルが軟調である。9,300ドルを明確に超えられなかったことで、売りが出ている。しかし、現状よりも低い水準は安すぎることから、9,000ドル割れは想定しづらい。亜鉛は辛うじて下げ渋ったが、鉛が直近安値を下回っており、懸念される動きとなっている。最大で2,020ドル程度まで下げる可能性が出始めている。

原油はほぼ横ばいでの推移。OPEC加盟国の一部が協調減産の9カ月延長に賛同を表明したことが買い材料視された。ただし、米石油協会(API)の石油在庫統計で原油やディスティレート在庫が市場予想に反して増加したことが材料視されて、時間外取引では下落している。米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計で在庫の方向性を確認したい。

OPEC加盟国のクウェートとイラク、ベネズエラは、今年上半期に実施している協調減産を18年3月まで延長することに支持を表明。減産延長の可否は25日にウィーンで開かれるOPECと非加盟国の会合で決定される。世界の石油在庫減少ペースが緩慢なことから、OPEC加盟・非加盟国は減産延長により在庫調整を優先させたい意向である。協調減産の9カ月延長については、イランも前向きな姿勢を示している。

米石油協会(API)によると、12日までの週の原油在庫は前週比88万2,000バレル増、オクラホマ州クッシングの原油在庫は53万9,000バレル減だった。ガソリン在庫は同180万バレル減だった。

一方、国際エネルギー機関(IEA)は5月の月報で、OPEC加盟国と非加盟国が年初から実施している協調減産について、「需給均衡に向けて一定の効果を上げているものの、今年下半期に在庫を過去5年平均の水準まで引き下げるには一層の取り組みが必要」との見解を示した。また、「合意前に積み上がっていた在庫が今も価格を押し下げる要因となっており、在庫調整になお時間を要する」としながらも、「世界の原油市場はリバランスしつつあり、需給の均衡に向かうペースは加速している」とした。

さらに、原油価格の上昇を受けて、米国のシェールオイル事業者が増産を続けていることから、他の産油国も増産に向かう可能性を指摘した。

一方、17年の世界石油需要見通しは日量130万バレル増に据え置いた。米国、ドイツ、トルコといった主要消費国の需要鈍化が背景。3月の先進国の商業用原油在庫は3,290万バレル減の30億2,500万バレルで、2カ月連続で減少した。ただし、第1四半期全体では2,410万バレル増加した。IEAによると、暫定データでは4月も在庫が再び増加した可能性が示されている。IEAは「第1四半期は減少に転じなかったようだが、基本的にリバランスが見られており、そのペースは少なくとも短期的に加速しているというわれわれの見解を確認する」としている。

4月の世界原油供給は日量14万バレル減の9,617万バレルだった。カナダなどOPEC非加盟国が大幅減となった。ただし、米国、ブラジル、カザフスタンでの大幅な生産拡大を受けて、OPEC非加盟国の17年の産油量が日量60万バレル増加するとしている。一方、ロシアのノバク・エネルギー相は、「18年3月までの減産合意延長の主な目的は、世界的な原油在庫を5年平均の水準に戻し、市場を安定化させることだ」と強調。そのうえで、「我々の目標は価格であると言及したことはない。目的は市場のバランスを取ることで、在庫の余剰を取り除くことである」としている。

6月末に期限を迎える減産合意については、サウジアラビアとロシアが9カ月延長することで合意しており、OPEC加盟・非加盟国が25日にウィーンで開く閣僚会合で減産延長を議論する方針。ノバク・エネルギー相は、「減産合意延長では、規模は当初と同水準の日量180万バレルになる」と指摘し、「年末までに市場は需給均衡できないと考えている」とした。さらに、「国際的な産油国の減産合意に、新たに3~5カ国が参加することを望んでいる」としている。市場筋によると、トルクメニスタンが減産合意に新規参加する可能性があるとしている。

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