先週は「高市トレード」で株高・円安が沸騰。しかし、10日(金)の取引時間後に公明党が連立政権離脱を表明。米中貿易戦争の再燃もあり、日経平均先物は暴落しました。今週は高市トレードの巻き戻し、米中貿易戦争、米国政府機関閉鎖の「三重苦」を乗り越えられるかが焦点です。
今週のトピック
| 日付 | イベント |
|---|---|
| 10月10日(金) | ・公明党の連立離脱で政局混沌(こんとん)。高市トレード逆回転 |
| 10月14日(火) | ・高島屋(8233)、イオン(8267)などが2026年2月期の中間期(2025年2~8月)決算発表 ・パウエル米FRB議長が全米企業エコノミスト協会で講演 ・米国企業の2025年7-9月期決算発表スタート。JPモルガン・チェース(JPM)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)など |
| 10月15日(水) | ・サイゼリヤ(7581)、東宝(9602)などが決算発表 ・米国9月消費者物価指数(CPI、24日に発表延期) ・バンク・オブ・アメリカ(BAC)、蘭ASMLホールディング(ASML)などが決算発表 |
| 10月15~16日 | ・G20(主要20の国・地域で構成される国際フォーラム)財務相・中央銀行総裁会議 |
| 10月16日(木) | ・米国9月卸売物価指数(PPI) ・米国9月小売売上高 (いずれも発表延期が濃厚) ・台湾積体電路製造(TSMC:TSM)決算発表 |
| 11月1日(土) | ・中国のレアアース輸出規制に対抗して、トランプ大統領が11月1日から対中関税100%上乗せを表明中 |
- 公明党が連立政権離脱で政局混沌、高市トレードの巻き戻しで日本株急落に警戒! 週後半に次期首相が誰になるか明らかになれば再上昇モードに?
- 米国政府機関の閉鎖で9月消費者物価指数(CPI)発表が延期、PPIも延期が濃厚のため、14日(火)の米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の利下げに関する発言や14日からスタートする米国企業決算がより材料視される
- 15日(水)のオランダのASMLホールディング(ASML)や16日(木)の台湾積体電路製造(TSMC)が人工知能(AI)ブームで好決算を発表すれば、ハイテク株中心に米国株も反発を?
10月14日(火)の日経平均
先週末の連立政権離脱、米国の対中関税などの懸念が続く中、4万7,446円の続落でスタート。一時は700円安まで下がりました。前場は4万7520円で続落、下げ幅は縮小しましたが、急落への警戒は続いています(10月14日12時時点)。
今週:米国株は14日のパウエルFRB議長講演が最大の山場!日本株は政治混乱が収束すれば上昇モードも?
今週は高市トレードの急激な巻き戻しと米中貿易戦争の激化で、日本株、米国株ともに週初は急落が続く恐れがあります。
先週10日(金)、公明党が連立政権離脱を表明して今、日本の政治は大混乱しています。
自民党新総裁に就任した高市早苗氏の積極財政、金融緩和を好感した「高市トレード」による株価の上げ幅が帳消しになってもおかしくない状況です。
さらにはトランプ大統領が中国のレアアース輸出規制に対抗して、中国への関税100%上乗せを表明し、米国株は急落。
ただ12日(日)には「中国を助けたいのであって傷つけたくない」と発言をトーンダウンさせており、日本が祝日の13日(月)の米国株は10日の下落幅の半分前後を取り戻しています。
米国のトランプ大統領は10月31日(金)から韓国で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、中国の習近平国家主席と首脳会談を行う予定です。
今週もトランプ大統領が米中首脳会談前の駆け引きのつもりで中国に対する強硬で不規則な発言を繰り返すと、相場が乱高下する要因になりそうです。
さらに、米国では議会の共和党・民主党の深刻な対立でつなぎ予算が成立せず、今週も米国政府機関の閉鎖が続きそうです。
米国の中央銀行に当たるFRBの利下げ決定に多大な影響を与える15日(水)発表予定だった9月のCPIも発表元の労働省労働統計局閉鎖に伴い24日(金)まで発表が延期されました。
米国株がここまで上昇してきたのは、2025年内に残された10月29日(水)、12月10日(水)終了の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2度の利下げが見込まれているからです。
主だった経済指標の発表がない14日(火)夜に予定されているパウエルFRB議長の民間講演がより大きな注目を集めそうです。
ただ、8日(水)に公開された9月17日終了のFOMCの議事録では参加理事の約半数が年内2度追加利下げを支持していることが判明しています。
パウエルFRB議長が利下げを容認する発言を行えば、米中貿易戦争の再燃で急落した米国株の下支え役になりそうです。
混沌とする日本の政局に関しても、来週20日(月)招集予定の臨時国会での首相指名選挙に向け、事態はより安定化していくでしょう。
現状は、高市自民党が日本維新の会もしくは国民民主党と連立政権か政策協定を結んで順当に高市氏が首相に選出される可能性もあり、その場合は再び「高市トレード」が盛り上がるかもしれません。
野党連合が結成されて政権交代になった場合、日本株がさらに暴落する恐れもないわけではありません。
しかし、その場合、首相に就任する可能性の高い国民民主党の玉木雄一郎代表は所得減税を唱え、現役世代の手取りを増やすことを主要政策に掲げています。
積極財政と成長投資の高市氏、減税と手取り増による個人消費底上げの玉木氏、実はどちらが首相になっても日本株には上昇要因。政治の混乱が収まれば、日本株は再び上昇モードに入りそうです。
台湾積体電路製造の好決算でAI株再浮上!?それとも米中貿易戦争最大の犠牲者に?
今週、株価再浮上のきっかけになりそうなのが、世界の二大半導体関連企業の決算発表です。
15日(水)夜にはオランダの最先端半導体装置メーカー、ASMLホールディングス(ASML)が2025年7-9月期の決算を発表。
前回7月16日の決算発表では、トランプ関税の影響で2026年業績の「不確実性のレベルが高まっている」と警告を発したことで株価が急落しました。
しかし、その後は活況を呈するAIデータセンター向け設備投資ブームを受けて、同社の株価は10月初旬に年初来高値を更新しています。
16日(木)には世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC)も決算発表します。
同社に関しては、AI向け高性能半導体で世界最強のエヌビディア(NVDA)だけでなく、生成AIソフト「ChatGPT」が世界中で利用される米国オープンAI向け半導体の受託製造を行うなど、業績は絶好調。
今後の業績見通しの大幅上方修正が期待されており、実際に好決算を発表すれば、米国のハイテク株や日本の半導体、AIデータセンター関連株の続伸につながりそうです。
ただし、先週は米中貿易戦争再燃で中国関連事業の落ち込みを懸念して、AI関連の主力株エヌビディア(NVDA)が10日(金)に前日比4.89%も急落。
機関投資家が運用指針にする米国のS&P500種指数も前週末比2.43%安と大きく下げて終わりました。
AI分野でも米国と中国のデカップリング(市場が切り離された状態)懸念が広がると、バブル気味に上昇してきたAI関連株の株価調整が長引く恐れもありそうです。
日本では流通、小売、百貨店などに多い2月期決算企業の中間期(2025年2~8月)決算発表がピークを迎えます。
14日(火)にはスーパーなど流通最大手のイオン(8267)やインバウンド(訪日外国人)需要で堅調な月次売上高が続く百貨店の高島屋(8233)、J.フロント リテイリング(3086)。
15日(水)には映画『鬼滅の刃』や『国宝』がこの夏、大ヒットした東宝(9602)、8月既存店売上高が46カ月連続で前年を上回るイタリアンレストランのサイゼリヤ(7581)など、業績、株価ともに絶好調の内需株が決算を発表します。
好業績発表で日本株再浮上の下支え役になってほしいところです。
今週のマーケット:政局混乱、米中貿易戦争、米政府閉鎖の「三重苦」。日本株と米国株は乗り越えられるか
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