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高市ラリーで日経平均は史上最高値を更新!外国人投資家は日本の政局をどう見る?(窪田真之)

2025/10/7 8:00

 新総裁高市早苗氏の当選を受けて始まった高市ラリー。日経平均も過去最高値を更新しました。外国人投資家は「アベノミクス再来」を期待しているかもしれませんが、少数与党の現実、外交、財政、金融の難題を前に、期待通りの強いリーダーシップを発揮できるかどうかは未知数です。この株高に我々はどう対処すべきか、私の考えをお伝えします。

目次
  1. 高市ラリー、日経平均急騰
  2. 高市ラリーいつまで?
  3. 相場反落「四つのリスク」を警戒
  4. 日本株の投資方針

高市ラリー、日経平均急騰

 10月6日の日経平均株価は前週末比2,175円(4.8%)高と大幅に上昇して4万7,944円となりました。史上最高値を大幅に更新しました。

<日経平均週足:2024年1月4日~2025年10月6日>

日経平均週足:2024年1月4日~2025年10月6日
出所:楽天証券マーケットスピード IIより作成

 10月4日(土曜日)の自民党総裁選で高市早苗氏が勝利したことが好感されました。高市氏が経済成長を重視し、財政拡張を伴う景気刺激策に積極的であることを評価して、外国人投資家の買いが一段と増加したと考えられます。

 高市氏が、10月15日(水)の臨時国会で首相に指名されることがほぼ確実【注】です。

【注】首相指名がほぼ確実
 自民・公明は少数与党で、衆院・参院の議席数が過半数を割り込んでいます。そのため、オール野党が統一候補を立てて全員が投票すれば、その統一候補が首相に指名され、野党の連立政権ができることになります。ただし、政策が著しく異なる野党各党に統一候補を立てる構想はありません。従って、15日の臨時国会で自民党新総裁の高市氏が首相に指名されることがほぼ確実とされています。

 高市氏の政策方針がアベノミクスと共通の部分が多いことから、外国人投資家の中には「アベノミクス再来」のイメージで日本株を買ってきた向きもあると考えられます。

 外国人投資家は、「強いリーダーシップを発揮して資本主義の成長戦略を進める首相」を好みます。

<歴代首相と日経平均株価の動き:2001年4月~2025年10月(6日)>

歴代首相と日経平均株価の動き:2001年4月~2025年10月(6日)
出所:QUICKおよび首相官邸HPより楽天証券経済研究所が作成

 外国人投資家の買いで日経平均が大きく上昇したのが、2005年後半(小泉政権)と2013年(第2次安倍政権)です(上のグラフで赤い丸で示した箇所)。どちらも、首相が強いリーダーシップをもって資本主義政策を進めるイメージを与えたことが、外国人投資家による大量買いにつながりました。

 一方、内閣支持率が低く、首相が強いリーダーシップを発揮できないときは、外国人の買いは入りにくくなります。2006年(9月)から2012年まで、首相が1年程度で次々と交代する短命政権時代には、外国人の買いは入りにくく、日経平均の低迷が続く傾向があります。

<歴代内閣の在任期間:2001年4月~2025年10月>

歴代内閣の在任期間:2001年4月~2025年10月
出所:首相官邸ウェブサイトより楽天証券経済研究所が作成

高市ラリーいつまで?

 高市ラリーがいつまで続くか、言い換えると、日本株の動きを支配している外国人投資家がいつまで日本株を買うかは、15日にスタートする見込みの高市政権が、期待通りの強いリーダーシップを発揮できるかどうかにかかっています。

 財政、金融、外交に難題が積み上がる中、少数与党の党首として高市氏がどこまで期待通りの強いリーダーシップを発揮できるか、現時点で未知数です。その試金石として、以下六つが注目されます。

【1】野党との連立についてどう判断するか?
【2】閣僚メンバーをどうするか?
【3】内閣支持率は高まるか?
【4】米国・中国との外交交渉で成果を出せるか?
【5】公約している政策をどれだけ実現できるか?
【6】衆院の解散総選挙をいつやるか? 選挙で勝てるか?

 上記六つに注目していきます。【6】だけはかなり先になりそうですが、【1】~【5】は政権発足後、早い時期に方向性が見えてくることです。日本株を動かしている外国人投資家から見て、期待通りの強いリーダーシップが発揮されるかどうかにより、高市ラリーがいつまで続くかが決まると考えます。

相場反落「四つのリスク」を警戒

 日経平均の上昇が加速していますが、テクニカルに過熱感が高まっており、悪材料が出ると調整しやすくなっていることに注意が必要です。

 これまで日経平均を上昇させてきた四つの材料が、そのまま裏を返せばリスク材料にもなっています。以下の四つに注目しています。

【1】日米関税合意:自動車関税・相互関税が15%に下がったことが強材料に
 日本が約束した対米5500億ドル(約82兆円)の実行条件が米国に極めて有利な内容で、先行きトラブルになるリスクがある

【2】米景気はソフトランディングへ、さらなる米利下げが見込まれることが強材料に
 米インフレ再燃の懸念がある。また、米景気が冷え込むリスクにも注意

【3】高市ラリーへの期待
 高市総裁が強いリーダーシップを発揮できるかどうかが正念場

【4】日米でAI株ブーム継続
 日米ともAI関連株にやや過熱感がある

日本株の投資方針

 日米の株価にやや過熱感があります。株価の上昇分を少し利益確定売りするのも一案です。ただし、株価は、上がるときは上げ過ぎ、下げるときは下げ過ぎるのが普通です。やや過熱したところから、さらに上昇が加速することもよくあります。

 売る場合は、一度に多く売り過ぎず、時間分散しながら少しずつ売るのが望ましく、値上がりによって増えた分を利益確定するイメージで良いでしょう。

 日本株の長期的な見方は変わりません。日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。これからも、急落・急騰を繰り返しながら、上昇していくと思います。

 日本株の保有がほとんどない方は、少しずつ、時間分散しながら割安な日本株に投資していくことが長期の資産形成に寄与するでしょう。

 日本株を多く保有している方は、値上がりした部分を、少し利益確定するのも良いと思います。

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