「新消費」分野では名創優品集団が有望か、人気のポップトイ事業には先行き懸念も

 BOCIは複数店舗を運営する中国のフランチャイジー(加盟店)専門家と会談し、ブランド店舗の運営に関する情報を更新。日用雑貨販売チェーンの名創優品集団(09896)について、収益性や商品ラインアップなどの点からポジティブな見通しを共有した。

 この専門家は中国小売市場の一面については慎重であり、知的財産(IP)戦略の有効性や特定のポップトイ事業の持続性を疑問視。さらに2025年10-12月期には弱小飲食ブランドの淘汰(とうた)が進む可能性を示したという。

 BOCIはこうした懸念は自社の見解とも一致すると指摘。強力かつ差別化したサプライチェーンが、選択的消費分野で同業他社を上回るためのカギになるとしている。

 この専門家が名創優品集団を高く評価する理由は、コスパ重視のラインアップで人気を集める日用消費財(FMCG)トップブランドの一つであること。ビジネスモデル視点では、フランチャイジー側の予測可能な投資回収期間は約6カ月-2年であり、損失リスクが限定的とされている。

 半面、フランチャイジーとしてのリスクは、名創優品集団による積極的な大型店の展開が小規模加盟店に不利となる可能性があること。人気のポップトイは大型店のみの扱いに限られるという。

 中国ではポップトイの人気が高く、名創優品集団のこの分野のサブブランド「TOP TOY」も同様だが、景気の影響を受けやすいことが懸念材料。景気が低迷すれば買い控えが起き、逆に景気回復に転じればカテゴリー自体が魅力を失う恐れがある。またビジネスモデルが未成熟であるため、大型店やフランチャイジー以外の市場で課題を抱えるという。

 一方、煮込み系スナックなど、一部の飲食フランチャイズは業界全体がピークを過ぎたとの見方。人気のティードリンクチェーンに関しても、10月上旬の国慶節8連休明けには弱小ブランドの店舗閉鎖の可能性があるとした。

 中国国内の過当競争を受け、海外進出も選択肢となるが、この専門家によれば、先進国市場は飽和状態にあり、出店先には適さない。半面、東南アジアは現地の中国人コミュニティーの存在もあり、参入が容易。タンザニアなどのアフリカ諸国でも中国ブランドが好意的に受け止められる傾向が強く、現実的な出店先の選択肢になり得るという。

 一方、美団(03690)やJDドットコム(09618)、アリババ集団(09988)などの大手ECプラットフォームが展開する「閃購」(超即配サービス)は、実店舗にとっての脅威。これに対処するためには、より迅速な新商品の投入や企業向けの製品提供の拡大、店舗内ライブ配信などを通じた顧客との関係強化が求められるとしている。

 BOCIは個別では、名創優品集団の株価の先行きに対して強気。「新消費」セクターのその他カバー銘柄、布魯可集団(00325)、ポップマート(09992)の株価の先行きに対しても強気見通しを付与している。