価格競争激化も売上成長見通しが明確、飲料業界の長期的な勝者か

現地コード 銘柄名
09633

農夫山泉

(ノンフー・スプリング)

株価 情報種類

53.90HKD
(10/2現在)

株価
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 中国のRTD(Ready to Drink)飲料需要は過去数四半期にわたって堅調だったが、それにもかかわらず価格競争が激化。大手メーカー間の事業見通しや株価パフォーマンスの格差がより鮮明となった。

 2025年7-9月期にはボトルウオーター最大手、農夫山泉の株価が34.4%の大幅高となる半面、康師傅控股(00322)と統一企業中国(00220)はそれぞれ9.4%、13.5%下落している。

 BOCIは厳しい競争環境下で、農夫山泉の売上成長見通しと市場シェアの拡大見通しが明確である点を前向きに評価。同社を食品飲料業界の長期的な勝者と捉え、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国では最近、カフェやティードリンクチェーンの人気が高く、飲料メーカーとの競争が激化しているが、BOCIは専門家らとの会議や販路リサーチの結果、農夫山泉の7-9月期の売上高が前年同期比20%余り増加する見通しを示した。

 また、2025年通期のボトルウオーター、茶、機能性飲料、ジュースの売上高については前年比16%、22%、14%、25%の増加を予想。競合メーカーの大半を上回るとみている。

 同社の市場シェアは1-9月に緩やかに上昇し、売上高関連の通期の重要業績評価指標(KPI)を100%達成した。販路展開や製品・パッケージ構成の改善、天然水源の重要性の啓発といった戦略が奏功した。天然水に注力した結果、「緑ボトル」(純水)の販売量が10%落ち込む半面、「赤ボトル」(ミネラル入り天然水)が20%超の伸びを示した。

 一方、RTD茶飲料部門では、「東方樹葉(Oriental Leaf)」シリーズの1-9月期の市場シェアが26%に上昇し、「Tea π」は11%でほぼ横ばいに推移した。「東方樹葉」の工場出荷価格、卸売価格、小売価格や販路の利益は安定的。7-9月期に全販路に投入した1.5Lパックが好評で、これがさらなる市場シェアの拡大を後押しする見通しとなった。

 コスト面では7-9月期も追い風が続き、BOCIは通期の単位当たりコストが前年比1桁台半ばの幅で縮小するとみている。また経営資源の有効活用で、販管費率が大きく改善した効果もあり、営業利益率については3.7ポイントの改善を見込む。

 BOCIは2025-27年の予想売上高を2%、5%、5%上方修正。予想粗利益率を0.4ポイント、0.5ポイント、0.5ポイント引き上げ、予想純利益を5%、8%、9%増額修正した。強力なブランド力や多様な製品構成、イノベーション力、流通網と社内の組織管理における優れた実行力に起因する同社の競争優位を高く評価。

 食品飲料セクターの長期の勝者となる見通しから、同社株は同業他社に対してプレミアム水準に値するとし、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き上げた。新たな目標値は2026年予想株価収益率(PER)で35倍に当たる。

 レーティング面での潜在リスク要因としては、RTD茶飲料市場の減速、競争激化、投入コストの高騰の可能性や、評判・評価面でのリスクを挙げている。