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ゴールドは国債(紙切れ)よりも強力なヘッジ手段

2025/9/25 15:16

「hardness(硬度・耐性)」こそ、良質な通貨の最も重要な特性だ。もし誰かが簡単に発行できるのであれば、他の特性は全て無意味となる。だからこそ、歴史を通して、最も耐性の高い資産が選ばれてきた。そして、歴史を通じてゴールドはその地位を占めてきた。危機の時にはゴールドが輝く。ゴールドは貨幣で、それ以外は全て信用だ。

目次
  1. レイ・ダリオ:米政府の債務累積が金融秩序を脅かしつつある
  2. 「hardness(硬度・耐性)」なき法定通貨はアルミニウムの二の舞いとなる!?
  3. 9月24日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」

レイ・ダリオ:米政府の債務累積が金融秩序を脅かしつつある

 世界最大規模のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオは19日、シンガポールで開かれた「フューチャーチャイナ・グローバル・フォーラム」のパネル討論会に登壇し、米国政府は30%の過剰支出を行っており、12兆ドル規模の国債発行が必要で、米政府の債務累積が金融秩序を脅かしつつあると指摘した。

 9月19日のブルームバーグの記事「ダリオ氏、米国債務の危機を警告-「金融秩序への脅威」高まる」によると、ダリオは「その他の要因も重なれば、米国の覇権そのものが終焉(しゅうえん)を迎えるか決定づけることになる」と語った。

 また、「世界市場にはそうした国債に匹敵する需要がなく、それが需給の不均衡を生む」とし、歯止めのきかない信用拡大は「人間の本性」に起因すると述べた。

 ダリオは以前から米国の債務について警鐘を鳴らしている。17日にはSNSのLinkedInに「It All Has Happened Before for the Same Reasons(これまでにも同じようなことが同じ理由で起こっていた)」というタイトルの投稿を行った。

 その中でダリオは、指導者のタイプ、技術、物語は必ずしも同じではないが、展開されている基本的なストーリーと、それを推進する因果関係は、歴史の中で何度も繰り返されてきた(最近では1930年代と同じ)と指摘、具体的に以下の九つの事象を取り上げた。

1.多額の負債を抱える世界有数の準備通貨国の中央政府が、多額の国債売却と債務返済額の大幅な増加を必要とする大きな赤字を生み出す予算案を可決したことは、中央銀行が実質金利を押し下げ、財政ファイナンスすることで対処する可能性が高く、不換紙幣とそれをベースにした債務のリスクが増大することにつながる。

2.国の競争力を高め、税収を増やし、貿易を敵国に対する武器として利用するために、経済的および地政学的理由から比較的大きな関税を課すこと。

3.国の指導者が中央銀行に対する統制を強めようとする動き。

4.国の指導者が、国を破滅させていると考える政治体制と政敵の両方を支配しようとする動き。極右派と極左派の間の対立を引き起こしている。民主主義国家において右派(共和党)と左派(民主党)の両陣営が、代表民主主義ではなく、選挙区の再編(テキサス州の共和党とカリフォルニア州の民主党による)を通じて、選挙が自分たちに有利になるように影響を及ぼそうとする動き。

5.社会的混乱が生じ、指導者の政策に対して政治的反対がある都市に国家警備隊を配備すること。

6.銃による暴力や政治的暴力が多発している国で、政治活動家(チャーリー・カーク)が射殺され、殉教し、追悼される。

7.ライバル関係にある大国(中国、ロシア、インド、北朝鮮、イラン)の指導者たちが会議や軍事パレードに集まり、世界の主要な大国とその世界秩序に挑戦する自国の力について語り、誇示する。

8.他の主要国(NATO諸国)と同盟を結んでいる国々(ポーランド、その後ルーマニア)への(ロシアの無人機による)侵攻。攻撃を受けた加盟国が行動を起こした場合、NATO諸国は戦争に突入する必要がある。

9.戦争中の国(イスラエル)による、イスラエルとハマスとの交渉を支援しようとしていた中立主権国に収容されていた敵に対する攻撃。

 ダリオは、歴史は正確に繰り返されるのではなく、韻を踏むという考え方に賛成だと述べている。多くの状況は似ているものの、全く同じものは一つもないからだ。今起きている大きな出来事、そしてそれらの出来事がどこへ向かうのかを理解するには、細部に目を細めたり、正確さを求めたりするよりも、大きな力の相互作用に焦点を当てることが最も重要だと述べている。

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