日米の金融当局は、プリンティングマネーによって資産インフレ(バブル)を起こして好景気を演出し、通貨の下落によって借金の価値を下げるというインフレ増税政策を続けている。
ゴールドは貨幣、それ以外の全ては信用だ
米ドルは今世紀、その価値の50%近くを失った。言い換えれば、2000年に入ってからのインフレにより、米国消費者のドルの購買力は半減している。日本のほうは2012年からみて日本円の購買力が半減している。インフレに連動する資産を保有することは、その解決策の一つである。
日米の金融当局はプリンティングマネーによって資産インフレ(バブル)を起こして好景気を演出し、通貨の下落によって借金の価値を下げる政策を続けている。
2000年以降、米国消費者のドルの購買力は半減している
ドル/円は2012年以降50%下落(円の購買力は半分)
昨日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は予想通りの0.25%の利下げで終わった。ドットプロットの中央値予測では、2025年にさらに50ベーシスポイントの利下げを示唆している。問題は、利下げをしても長期・超長期の金利が下がっていないことだ。
「金利は債権者にとって十分なリターンをもたらすほど高く、債務者にとって悪影響を及ぼさない程度に抑える必要がある。米国は最近、長い間続いた無料のお金の環境から抜け出した。この環境では、金利がゼロで、実質金利は-1.7%にまで下がっていた。そしてこの期間を通じて、私たちは債務対GDP(国内総生産)比を増やした——政府は多くのことに使えるよう多額の借金をした。債務がそれを支えるはずの収入に対して増えるにつれて、このバランスを取るのが難しくなる。そして、典型的な債務サイクルでは、必然的に債務を返済するためにさらに借金をする時点に達する。これは債務のスパイラルや経済的心臓発作につながる可能性がある」
(レイ・ダリオ)
50年間、米連邦政府と米連邦準備制度理事会(FRB)は若者に対して不正な操作を行ってきた。現在(その最終結果)は、米国人の上位10%が消費者支出の50%を占める。一方、若い米国人が所有する富は国内のわずか3%で、ベビーブーマー世代の7分の1に減少している。政府はベビーブーマー世代を億万長者にした。そして若者を貧困者に変えている。
ベビーブーマー以降の世代は労働環境で競争しなければならなかった。年金は保証されず、住宅は高く、医療は破壊され、高額だった。
ベビーブーマー以降の世代はベビーブーマーの世代からゴミしかもらっていない。ベビーブーマーの貯蓄と年金は、ベビーブーマー世代の政府によって救われた。彼らを救うことで、将来の世代を破壊した。だから社会主義は発展するのだ。団塊の世代が死んでいく一方で、将来の世代は全てダメになるのだから。年金、住宅、株で…。
「彼らが何を約束しようとも、唯一の解決策は紙幣を刷ることだ。彼らは借金を返済できない。債務不履行に陥ることもできない。借金の価値を下げるしかないのだ。紙幣印刷のコストは通貨で支払われるのではなく、我々が支払うのだ。若者がそれを負う」
(ジャック・マラーズ)
「いずれにせよ、私たちは敗者となる。もし連邦準備制度(FRB)が「すべてのバブル(Everything Bubble)」の膨張を維持し続けるなら、国家の若い世代を壊滅させ、社会の安定を致命的に損なうことになる。そしてもしそのバブルがついに崩壊すれば、消費を支えていた「幻の富」は永遠に「マネー・ヘブン」へと消え去る。私たちは皆、2009年から2025年にかけての、壊滅的に近視眼的かつ自己中心的な政策の代償を、これから何十年にもわたって背負うことになる。見かけ上の統計は簡単に操作できるが、その裏では経済と社会が中身を抜かれ、大多数を犠牲にして少数の利益のために利用されてきた」
(チャールズ・ヒュー・スミス)
このような状況で、筆者は基本的に長期投資では「信用リスク」は取りたくない。印刷できる商品は買いたくないということだ。ゴールドは貨幣である。それ以外の全ては信用だ。
ゴールドCFD(日足)
ゴールドCFD(週足)
残念ながら、世界は100年前の超絶バブルとその後のバブル崩壊、第2次世界大戦へと至った時代によく似てきている。
長期的には持続不可能な相場と世代間格差だが、この相場にはまだ打つ手が残っている。米国はまだ政策金利を下げる余地がある。そして量的緩和(QE5)をやる余地がある。
今後、20%程度の下げはいつでもあるだろうが、「金利が急騰しない限り」まだ相場への対処のノリシロは残っている。金利ゼロと量的緩和をやり尽くして相場が大暴騰すると、2008年からの国家管理相場はフィナーレを迎えるだろう。
「心配するなよ、兄弟! FRBはまだ無限の現金を刷れる。印刷機が来るぜ!」
紙幣増刷によるバブルで好景気を演出し、通貨の下落によって借金の価値を下げる!
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