金相場は軟調な展開。トランプ米大統領がコミー連邦捜査局(FBI)長官を突然解任し、米国株上値が抑えられたことから前日に付けた8週間ぶりの安値は支えられた。ただし、米利上げ観測を背景にドルが上昇したことから戻りは限定的だった。トランプ政権の不安定さは市場を混乱させる材料ではあり、金融市場でも依然として意識されている。この状況が続く限り、金相場は支えられることになろう。また北朝鮮情勢などの地政学的リスクが消えていないことも、金相場にはポジティブに作用することになる。6月の米利上げ観測を背景としたドル高は金相場の下押し要因ではあるが、利上げ確率が8割を超えていることから、市場ではすでに織り込み済みと判断できる。利上げ観測を背景にドルが上昇する場面ではないだろう。もっとも、その後の利上げ観測が盛り上がるようだと話は別である。また、米国景気への関心が高まる中、やや停滞していた景気指標が改善し、第2四半期のGDP成長率が再加速するとの見方が強まれば、安全資産である金への関心は低下する可能性はある。しかし、一方で目先は売りたい投資家はすでに金を手放している。ここからの下げを主導するとすれば、相場下落をきっかけとしたトレンドフォロー系の投機筋に限られるだろう。そうであれば、相場下落リスクはそれほど高くないといってよさそうである。いずれにしても、目先は長期トレンドが位置する1,220ドル前後を維持できるかを注視することになるだろう。また、下げていた銀やプラチナにも下げ止まりの動きがみられ始めている。

非鉄相場は横ばいでの推移。アルミは1,865ドル前後、銅は5,500ドルの重要なポイントで下げ止まるかを確認する段階にある。ここで下げ止まれば、上昇に向かいやすい。ニッケルは上値が重いが、下げ渋る動きにはある。また鉛・亜鉛も現状の長期トレンドの水準を辛うじてサポートしている。これを維持できれば、反発に転じる可能性が高まろう。現状はなかなか上昇に転じるきっかけがなく、ドル相場の反落など外部要因が必要ともいえるだろう。ただし、市場では不透明感は払しょくされつつある。トランプ銘柄でもある非鉄相場は、トランプ政権の政策運営の方向性が出てくれば、再び脚光を浴びるだろう。

原油は急反発した。米エネルギー情報局(EIA)の石油在庫統計で原油在庫が減少し、週間ベースの減少幅が今年最大となったことが好感された。OPECの減産延長をイラクとアルジェリアが支持したとの報道も材料視された。EIAが発表した5日までの週の原油在庫は前週比520万バレル減と、減少幅は市場予想の180万バレルを大幅に上回った。ガソリン在庫とディスティレート在庫も減少した。一方、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物相は、「非加盟産油国と昨年合意した協調減産が今年末かそれ以降まで延長される」との見通しを示している。アルジェリアのエネルギー相は、「今月開かれるOPEC総会では、同国とイラクが減産延長を支持する」との意向を表明している。市場では、米国の産油量の増加に加え、OPEC加盟国のリビアやナイジェリアの産油量も増えていることから、需給改善の可能性は低いとの見方が根強い。米国の最新の産油量は日量931万バレルと、前週から同2万バレル増加した。最近は毎週約2万バレル増加しており、このペースが定着している。リグ稼働数は毎週着実に増加しており、この増加が半年後の産油量の増加に結び付くとの見方がある。そうであれば、年内に20万バレルから25万バレル程度の増産となる可能性がある。しかし、OPEC減産が継続し、世界の石油需要の伸びが想定通りであれば、この増産は十分に吸収して余りある。市場はこの点を全く織り込んでいない点を理解しておくとよいだろう。