ダイセキは液状産業廃棄物処理国内トップクラスの企業です。環境規制強化の流れを追い風に全国シェアの25%を占めており、2030年度までに30%に高める計画です。2期連続過去最高更新のEBITDAは今期、来期とさらに増加する見通し。業績成長が見込まれる中で、株価は割安感があるため、投資判断を「買い推奨」とします。
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著者の西 勇太郎が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「廃棄物処理大手ダイセキを買い推奨!2期連続でEBITDAが過去最高を更新中」
EBITDAは今年度も過去最高を更新する見通しも株価は軟調
ダイセキ(9793:東京・名古屋)(株価3,665円:9月8日終値)は、液状産業廃棄物処理で国内トップクラスの産業廃棄物処理企業です。今期のEV/EBITDAは8.4倍となっています。
【注】EV/EBITDAは企業買収で買収価格を評価する際に使われる指標。買収にかかる総コストが、買収によって得られるキャッシュフローの何倍であるか示す。倍率が低いほど割安と判断される。
<ダイセキの株価関連指標および配当利回り>
※配当利回りは1株当たりの配当金72円で計算
出所: ダイセキ、FactSetの資料などより楽天証券経済研究所が作成
ダイセキのEBITDAは、環境規制強化の流れを追い風に取引工場数が増加し続けた結果、2017年以降、100億円台の前半から後半へと全体としては水準を切り上げていく展開となっています。2期連続で過去最高を更新中で、2025年度、2026年度も過去最高を更新する見通しとなっております。
他方で株価は、ダイセキが急成長を期待しにくい古い業界の成熟企業と見られがちなことなどもあり、2021年以降軟調に推移しています。
<ダイセキの株価およびEBITDA(2017年以降)>
出所:ダイセキ資料などより楽天証券経済研究所が作成
複数の液状産業廃棄物を混ぜ合わせて無毒化効果を得るノウハウを蓄積
ダイセキは1945年創業の油脂精製業が源流で、創業初期の資金不足の中、廃液から燃料を再生して使用する方法を模索したことをきっかけに液状廃棄物処理のパイオニア的存在として事業拡大をしてきました。
一般に、液状の産業廃棄物のほうが固体の廃棄物よりも性質が異なるさまざまなものが混在していて処理が困難かつ、爆発性、引火性、毒性、腐食性を持つものが多いため、取り扱いにリスクを伴うものが多いです。そのような困難な問題に早くから取り組んできたダイセキは、国内でほぼ唯一の液状産業廃棄物取扱を主軸とした企業として、技術・知見を積み重ねてきました。
特に、通常は液状産業廃棄物の処理に専用の添加物を加えて無毒化するところ、異なる液状産業廃棄物同士を混ぜ合わせることで無毒化効果を得られるノウハウを蓄積し対応可能範囲を拡大してきた点が、他社には模倣困難な強みとなっています。
ダイセキは受け入れた廃液から銅やニッケルなどの金属を回収、アンモニアなどの化学物質を分離、一部の廃液を再生油として販売、など資源の再利用体制を構築しており、他の産業廃棄物処理企業とは異なり、焼却炉も埋め立て処分場も保有していません。
原料を仕入れることで収入を得るとともに、リサイクルして販売することでも収入を得るという独自のビジネスモデルを構築しており、高い収益性を実現しています。
<ダイセキの業績(2018年2月期と2025年2月期実績の比較)>
ダイセキの2018年2月期と2025年2月期の業績を比較すると、EBITDAは1.6倍となりました。しかしEV/EBITDAは10倍台から9倍台へと低下しています。今後も売上高、利益ともに成長が見込まれる中で、現在の株価は割安感が強い状態にあると考え、投資判断を「買い」とします。以下、3点に分けて詳細をご説明します。
「買い」と判断する三つの理由
ダイセキを「買い」と判断する理由は、以下の三つです。
【1】収益拡大の実態が企業価値に反映されておらず、株価が割安
【2】EBITDAは今期、来期と過去最高を更新する見込みで、現在の株価の割安感はさらに高まる
【3】産業廃棄物処理同業他社比でEV/EBITDAに割安感がある
それぞれの理由について詳しく説明します。
【1】収益拡大の実態が企業価値に反映されておらず、株価が割安
環境規制強化の流れの中でダイセキと取引する工場数は順調に増加し、連動して売上高は2018年2月期からの7年間で1.4倍に増加しました。2025年2月期時点での取引工場数は6,201と、従業員100名以上の日本全国の製造工場2万4,252の25.6%にまで達しています。
この順調な事業拡大により、EBITDAは7年間で1.6倍となりました。企業価値も増加しましたが1.4倍にとどまっており、EV/EBITDAは10倍から9倍に低下。株価純資産倍率(PBR)も2.2倍から2.1倍へと小幅に低下した状況です。
【2】EBITDAは今期、来期と過去最高を更新する見込みで、現在の株価の割安感はさらに高まる
2026年2月期は新たに270の工場との取引を開始して取引工場は6,471となる見込みで、その後も年間200~300のペースで取引工場を増やし、2031年2月期には国内製造工場の30%にまで取引工場数を増加させる長期目標を掲げています。
この着実な取引工場数増加の実態は業績予想にも反映されており、EBITDAは2026年2月期、2027年2月期と連続して過去最高を更新する見通しとなっています。現在の株価が維持された場合には、収益拡大に成功したにもかかわらず、EV/EBITDAが8倍台前半にまで落ち込んでしまうこととなってしまいます。
<ダイセキの業績予想>
【3】産業廃棄物処理同業他社比でEV/EBITDAに割安感がある
ダイセキの比較対象に適する産業廃棄物処理の上場同業他社には米ウェイスト・マネジメント(WM:NYSE)、米リパブリック・サービシズ(RSG:NYSE)、米ウエイスト・コネクションズ(WCN:NYSE)、米クリーンハーバーズ(CLH:NYSE)、AREホールディングス(5857:東京)、大栄環境(9336:東京)などがあります。
これらの企業含め、主要産業廃棄物処理企業について2025年度のEV/EBITDAを比較すると、ダイセキの8.2は平均値の14.1を大きく下回っており、割安感がある状態と言えます。
<主な産業廃棄物処理企業10社のEV/EBITDA>
また、自己資本利益率(ROE)を横軸、PBRを縦軸とした散布図を作成すると、おおむね比例関係にあることが分かります。その中で、ダイセキについては大きく割安方向にずれており、この点から、株価に割安感があると言えます。この割安感が解消された場合のダイセキのPBRは3.4であり、相当する株価は6,000円です。
<主な産業廃棄物処理企業のROEとPBRの関係>
<主な産業廃棄物処理企業10社のROEとPBR>
また、これらの企業の予想配当利回りを比較すると、ダイセキは2.0%の利回りとなっており、おおむね平均水準です。1株当たりの配当金額は2002年2月期以降23年にわたって減額がない状態で、この23年間で10円から72円へと大きく増加しました。また、2025年2月期については自社株買いも行っており、総還元率は同業他社比で相対的に高いものでした。
<主な産業廃棄物処理企業10社の配当および総還元利回り>
廃棄物処理大手ダイセキを買い推奨!2期連続でEBITDAが過去最高を更新中(西勇太郎)
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