エヌビディアやTSMC、ブロードコムといった企業の躍進の裏には、かつて隆盛を誇った企業の没落が見て取れます。その代表格が長らく半導体業界の売上高トップ2が指定席だったインテルとサムスンです。
かつての「2強」はなぜ没落してしまったのでしょうか。今回は2社の栄枯盛衰の歴史と現状を深掘りします。
エヌビディアやTSMC、ブロードコムといった企業の躍進の裏には、かつて隆盛を誇った企業の没落が見て取れます。その代表格が長らく半導体業界の売上高トップ2が指定席だったインテルとサムスンです。
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(執筆:平岡 乾)
まずはインテルについて紹介します。1990年代半ばから2000年代にかけてのコンピューター/IT業界は「ウィンテル」連合の支配下にありました。
マイクロソフトが提供するOS「ウィンドウズ」と、「インテル、入ってる」でおなじみのインテル製CPUが、民生パソコンのデファクトスタンダードとなって独占状況を築き、「ウィンテル」という造語が生まれました。
そのウィンテル体制の終焉(しゅうえん)を告げる象徴的な出来事が2024年に起きました。マイクロソフトのパソコン「Surface(サーフェス)」に搭載されるCPUが「Snapdragon(スナップドラゴン)」、つまり、スマホ向けで有名なクアルコム製に置き換わったのです。
背景として、マイクロソフトが出資しているOpenAIの生成AIを活用する際、AI処理機能(NPU)に長けているのがスナップドラゴンであったことが挙げられます。これには、マイクロソフトによる「インテル切り」という見方もありました。
マイクロソフトも一時はモバイルシフトに遅れるものの、ビジネスモデルを変革して見事に方向修正した一方、インテルは環境変化に対応できず、過去20年近くも「没落のマーチ」を続けてきました。
その道筋を三つのステージに分けて解説します。
第1に2000年代後半、アップルがインテルにスマホ用CPUの供給を依頼するも、そのポテンシャルを理解できない当時のインテルのCEOがアップルの依頼を断るという世紀の判断ミスによって、スマートフォンという巨大な魚を取り損ねてしまいます。
第2に2010年代にAI(人工知能)やモノのインターネット(IoT)のブームが来ると、業界のスポットライトはインテルからGPUを手がけるエヌビディアへと移り変わる。
こうしてモバイル市場やAIという時代の成長機会を逃したインテル。2020年代に入ると、本丸でも火の手が上がるようになりました。絶対に落とせない主力ビジネスでもシェアを失い始めたのです。
第3にインテルの本丸であるパソコン・サーバー用のCPUも不具合や性能不足が続き、AMDにシェアトップの座を奪われる寸前までシェアを失っています。
ちなみにAMDはCPU業界でナンバー2とはいえ、2010年まではインテルがシェア9割、AMDのシェアは一桁台でした。野球に例えるなら、首位インテルと2位のAMDには20ゲームほど離されている状況でした。それがまもなくシェアで逆転しそうな状況です。
ちなみに、日米ともAmazonでCPU販売ランキングを見ると、トップ10のうち9製品がAMDで、インテルが1製品がランクインするにとどまっています。
2022年から慢性的な赤字が止まらず、大規模なリストラと投資延期を繰り返しています。直近では米政府やソフトバンクグループからの出資の動きが見られるなど、もはや単独での再建は厳しい状況です。
興味深い点があります。インテルを追い詰めているAMDを率いるリサ・スー氏は台湾系アメリカ人、インテルに代わって時代の寵児となったエヌビディアのトップ、ジェンスン・ファン氏も同様に台湾系アメリカ人です。
そして、AMDとエヌビディアが半導体の製造を委託しているのはTSMCという台湾企業。台湾系企業または台湾にルーツを持つ人々によってインテルは業界の盟主としての地位を譲る形になったといえます。
インテルとサムスン:半導体業界をけん引した2社はなぜ没落したのか
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