金相場は小幅高。ただし、4月の米雇用統計で非農業部門就業者数の伸びが加速したことなどを受けて、上げ幅を削った模様。6月の米利上げ観測の高まりやユーロ圏の政治リスクの後退を背景に、先週は半年ぶりの大幅安となった。

ユーロドルは約半年ぶりの高値を付けたが、これはフランス大統領選の決選投票でのマクロン氏の勝利を織り込む動きであり、リスクオンと解釈されており、ドル安・ユーロ高は金相場の上昇要因にはなっていないようである。

7日に実施されたフランス大統領選では、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相が極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首に勝利したことから、週明けの金相場はさらに下落する可能性もある。

ただし、この結果は先週中に織り込まれている面もあり、金相場の調整は限定的になる可能性もある。

また、トランプ米大統領が、北朝鮮情勢の打開に向けて、対話での解決を目論んでいるとの見方が強まったことから、地政学的リスクも後退しているようである。これらの動きを受けて、これまで金相場を押し上げてきた材料に変化が見られており、安全資産である金への関心は低下しやすい地合いにあるとみられる。

また、トランプ米政権が減税策を発表し、今後の議会との話し合いを進めるとしたことで、金融市場に安心感が広がったことも金の下落につながっている模様。2・3日に開催されたFOMCでは、これまでの政策に変更はなく、また第1四半期の米GDP成長率が低迷したことに関しても、一時的な動きとの見方を示したことも金の上値を抑えているようである。

一方、5日に発表された4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者が前月比21万1,000人増と、市場予想の18万人増を上回り、失業率も4.4%と07年5月以来の低水準まで低下した。これらから、米国の雇用情勢の改善傾向が依然として続いていることが確認されたことで、金相場は1,260ドル台での推移から1,220ドル台半ばまで値を落とす結果となっている。

一方、世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、28日の853.36トンから853.08トンへわずかに減少した。投資家の金購入意欲は低下傾向とはいえ、大幅に減少しているわけではなく、金を保有しておきたいと考えている投資家が少なくないことがうかがえる。

COMEX金先物市場の投機筋のポジションは、5月2日時点で18万9,634枚の買い越しとなり、前週から1万1,043枚減少した。買いポジションが1万1,436枚減少する一方、売りポジションも393枚減少した。金相場が下落基調に入ったとみられていることから、投機筋による買いポジションの縮小の動きが強まっているとみられる。

これまで金相場を支えてきた政治的・地政学的リスクの後退に加え、ピークを付けたとみられた米国の雇用情勢が依然として堅調であることが確認されたことで、市場センチメントが好転しつつあるようである。また、金融政策面でもFRBは拙速な利上げは回避すると考えられるものの、保有する資産縮小に向けた議論が進むものとみられており、米長期金利は大きく下がりづらい状況にあるとみられる。

また、6月の利上げ確率も8割に達しており、過去の事例からする6月のFOMCでの利上げの可能性が高まっているといえよう。これらから、金相場は短期的に上値の重い展開になる可能性が高いと考えるのが妥当であろう。

一方で、今後も北朝鮮情勢などの地政学的リスクは完全に払しょくされる可能性は低いことや、トランプ政権の政策への不安感などもあり、米国株高の傾向が続く中でも金相場は大崩れせず、中長期的な上昇基調を維持すると考えている。1,220ドル台にはきわめて重要な長期トレンドラインが位置しているが、これを維持できれば、基調は維持されていると判断することになるだろう。

ただし、割り込んだ場合には、節目の1,200ドル程度までの下落が想定される。しかし、それ以上の下げは想定していない。

非鉄相場はまちまちの動き。米雇用統計は堅調となり、株価も高値圏を維持しているが、非鉄市場の反応はきわめて鈍い。銅は在庫増加が嫌気されて3日続落し、4カ月ぶりの安値を付けた。5,600ドルは重要なポイントであり、これを早期に回復できるかが重要であるとみられる。

アルミは続落し、1,900ドルの節目まで下げてきた。これも下げ止まることができるか、重要なポイントにある。ニッケルはフィリピン産の供給が増えるとの思惑から下落基調が続いていたが、ようやく9,000ドル手前で下げ止まりの動きになりつつあるとみられる。鉛・亜鉛も安値圏ながら、底値確認の動きになりつつあるようである。

原油相場が下げていることで、コモディティ市場全般に売りが出ているものの、長期的には割安圏であるとみられる。非鉄相場も同様であり、将来の需給を考慮すれば、これ以上の安値を売る必要はないだろう。今週は8日発表の中国の貿易統計や10日の消費者物価、卸売物価などに市場関係者の関心が集まろう。7日のフランス大統領選では中道系マクロン候補が勝利宣言したが、市場には織り込まれており、大きな影響はないだろう。

原油は反発。良好な内容の米雇用統計に加え、ロシアがOPECとの協調減産を延長する用意があるとのサウジアラビア当局の発言が材料視された模様。サウジのOPEC代表は、OPEC加盟国の大半とロシアなどの非加盟国が協調減産の延長で合意に近づいていると発言したことが相場を押し上げたようである。

また、この日発表された米雇用統計は米国経済にとってきわめて明るい内容であり、需要の押し上げにつながる可能性がある。米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比6期増の703基となり、15年4月以来の高水準となった。前年同週の328基の2倍超となっており、増加は16週連続となった。リグ稼働数の回復局面は12カ月目に入った。

ただし、原油価格が50ドルを下回る水準で推移していることから、増加ペースは過去4週間で減速している。下げ基調に入ってからの下落幅はきわめて大きいが、これは投機筋が下げているから売っていることが背景にあるとみられる。

これに加えて、米国の石油掘削リグ稼働数が増加しているため、将来の米国内の産油量が増えると見込んでいる向きも売っているといえるだろう。しかし、この売りは、50ドル割れでは産油量を積極的に増やせなくなるという部分が理解できていないといえよう。

一部には50ドル割れでも採算がとれるリグはあるようだが、それ以外のリグは50ドル割れでは厳しい状況に追い込まれることになろう。トータルで見れば、生産者にとって産油量の増加による原油安は何も良いことがないだろう。

一方、OPECと非OPEC加盟産油国は25日にウィーンで開かれる会合で、6月末で期限を迎える協調減産合意を延長する見通しだが、削減幅を拡大する可能性は低いとみられている。主要産油国は全体で1~6月の半年間に日量180万バレルの削減を行うことで合意しており、これはしっかりと順守されている。

OPEC関係筋は、「協調減産が市場の需給均衡に寄与すると確信しており、7~12月期も削減水準を維持し、延長すべき」との見解を示している。ロイターによると、OPEC加盟国の4月の産油量は4カ月連続で減少した。最大産油国サウジアラビアは引き続き減産目標を達成し、減産が免除されているナイジェリアとリビアでも、油田のメンテナンスや抗議行動の影響などで生産が減少した。一方、アンゴラは増産となり、OPEC枠内の4月の減産順守率は90%と、3月の92%から低下した。それでも、過去の順守率に比べると、高いことに変わりない。

サウジアラビアは3月に比べてやや生産が増えたが、削減量は日量57万4,000バレルと、目標値の同48万6,000バレルを大きく上回っている。減産順守率も最も高い水準である。クウェートの産油量もやや増加したが、減産順守率は2番目に高い水準だった。4月に最も生産を増やしたアンゴラは輸出を拡大する計画で、2月からイースト・ポール油田で生産を開始した。同国の減産順守率は91%と、前年同月の100%超から低下した。

一方、OPEC合意の下、小幅な増産が認められているイランの産油量もやや増えた。アラブ首長国連邦(UAE)の生産はやや減少したが、3月の産油量は当初発表よりも多かったといえる。一方、英BPのギルバリー最高財務責任者(CFO)は、「OPEC主導の減産が17年下半期まで延長されれば、世界の原油在庫は年内に5年平均まで下がり、原油価格は約55ドルとなる可能性がある」との見通しを示している。

ギルバリーCFOは、「BPは50~55ドルを前提として事業を行っており、今年の残りもこの範囲になるとみている」と予測し、減産が延長されれば、55ドル付近まで上昇する可能性があるとしている。このことからも、石油会社は最低でも50ドル、できれば55ドルの原油価格がほしいと考えていることがうかがえる。

米国のシェールオイル企業も本音は同じであろう。米国では毎週のように日量2万バレル程度の増産が行われている。これがいつまで続くのかを確認することになろう。

一方、NYMEX・WTI原油先物では、投機筋のポジションが非常に興味深い内容になっている。5月2日時点の投機筋の買い越しポジションは37万3,144枚となり、前週から3万8,678枚も減少した。しかし、買いポジションが1万1,936枚増えており、安いとみた買いが入っていることがうかがえる。

一方、売りポジションは5万0,614枚増えており、下げ基調の中、売りポジションを積み増していることがうかがえる。しかし、この売りが最終的には踏み上げられて、上昇につながると考えられる。投機筋はすでに投げ切っているといえるだろう。

むしろ、買い増しをしているわけであり、戻りも早いだろう。さらに、米国ではこれから需要が増えるガソリン需要期に入る。さらにOPECが減産を延長すれば、世界の石油需給バランスは改善するだろう。再度ファンダメンタルズにしっかりと目を向け、正しい判断をしたいところである。