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テスラ・バッシングいつまで?トヨタに巻き返しの好機(窪田真之)

2025/8/16 8:00

 完全自動運転ロボタクシー実現に向け、世界最先端と思われていたテスラに、フロリダ地裁で巨額賠償判決が出ました。米国でテスラ・バッシングとも言うべき社会現象が起き、業績も株価も低迷しています。トヨタは、この機会にEV・自動運転で巻き返せるのか。テスラの現状を分析、トヨタの未来「ウーブン・シティ」への期待について解説します。

目次
  1. テスラ・バッシング強まる
  2. 乱高下を繰り返すテスラ株
  3. テスラ車への評価に変化
  4. トヨタに巻き返しの好機

テスラ・バッシング強まる

 米国の電気自動車(EV)大手、テスラ(TSLA)に逆風が吹き続けています。創業者のイーロン・マスク氏がトランプ政権下で政府効率化省(DOGE)を率いてリストラや補助金カットを主導したことが恨みを買った面もあります。それだけではありません。

 行き過ぎたEVブームの反動という面もあります。2024年ごろから世界中でEVを礼賛する雰囲気が消え、燃費が良く使い勝手の良いハイブリッド車を重視する流れが広がってきました。トヨタ自動車(7203)ホンダ(本田技研工業:7267)に追い風ですが、テスラに厳しい環境です。

 2024年の年初には、厳冬の中、充電できずに放置されたテスラ車が多数出たことに、非難が広がりました。充電前に電池を温める必要があるのに、それをしなかったことが問題ですが、そうしたテクニカルな問題に収まらず、テスラ車に対する感情的な反発につながりました。

 2025年にスタートした第2次トランプ政権下では、EV購入への補助金が打ち切られることが決決定しており、EVの販売不振に拍車がかかる可能性があります。

 逆風が続く中、先日、2019年に起きたテスラ車による死亡事故を巡る訴訟で、フロリダ州連邦地方裁判所からテスラに対して巨額の賠償命令【注】が出ました。オートパイロット搭載車が事故を起こし、テスラの責任が問われた形です。

 テスラは約2億4,300万ドル(約360億円)の賠償を命じられ、控訴する方針です。この判決が確定すると、テスラにとって大きな痛手となるでしょう。

 イーロン・マスク氏は、これまで「完全自動運転によるモビリティ革命の実現」を強調してきましたが、今回の事故と訴訟は、その主張に疑問を投げかけるものとなっています。

【注】巨額の賠償命令
 テスラに約2億4,300万ドル(約360億円)の賠償判決。うち、約2億ドルはテスラに対する懲罰的賠償、残り約4,300万ドルが被害者への補償的賠償。運転手の不注意だけでなく、オートパイロットの性能を過大に広告していたテスラにも責任があると判断されました。

 テスラは控訴する方針です。この判決が通ってしまうと、テスラ車の事故を巡り、さらに多数の訴訟が起きるリスクがあります。また、テスラがテキサス州で始めたばかりのロボタクシー(自動運転タクシー)にも逆風となります。

 イーロン・マスク氏は、これまで「完全自動運転によるモビリティ革命の実現が近づいている」と語ってきました。完全自動運転のロボタクシーを朝「いってらっしゃい」と送り出せば、日中、自動で稼ぎ続ける日が来る、と語っていました。それが過剰な安全性への誤解を生んだと、今、非難されています。

乱高下を繰り返すテスラ株

 テスラ株は礼賛されたりバッシングされたり、浮沈の激しい株です。

<テスラ株の月足チャート:2017年1月~2025年8月(12日)>

テスラ株の月足チャート:2017年1月~2025年8月(12日)
出所:楽天証券MS IIより楽天証券経済研究所が作成

 以下、テスラを取り巻く、ESGバブルなどの流れを解説します。

【1】2021年ESGバブル

 第1次トランプ政権が終わり、2020年11月に民主党バイデン氏が大統領選挙に勝利すると、EV関連株が一斉に急騰し始めました。気候変動の国際的枠組みを決める「パリ協定」に米国が復帰することが発表されたためです。

 バイデン政権がスタートし、欧州に加えて米国が脱炭素の目標を示すようになったことで、世界的な脱炭素の流れが加速しました。米国だけでなく、中国やインドなど、石炭火力発電への依存が高い国々も、脱炭素の目標を示すようになりました。

 こうして脱炭素の機運が世界中で盛り上がる中、株式市場では、石炭など化石燃料ビジネスを手掛ける企業の株価が下落し、EVなど電気を使うことでCO2排出を抑える企業の株価が大きく上昇しました。脱炭素などを重視するESGファンドが巨額の資金を集め、EV関連株を買い上げました。

 当時、EVの量産で先行していたのはテスラだけだったため、テスラ株に買いが集中しました。まだ十分に利益を稼げていなかったテスラ株が株価収益率(PER)などの指標で説明できない高値に買い上げられました。私は当時、この状況を「ESGバブル」と表現しました。

3分でわかる!今日の投資戦略 2021年12月8日:ESGバブル到来?「EV」買われ、「LNG」売られる

【2】2022年ESGバブル崩壊

 2022年は、ESGバブル崩壊の年となりました。ESGファンドのパフォーマンスが不振で、資金流出が加速しました。2月にウクライナ危機が起こった影響で、原油、ガス、石炭価格が急騰しました。そのためESG基準で投資除外となることが多い化石燃料関連株が急騰しました。ウクライナ戦争を受けて、軍事・防衛関連株も上昇しました。

 一方、2021年に上昇したEV関連株は、割高と判断されて軒並み大きく下落しました。ESG投資で積極的に買ってきた銘柄が下がり、「買ってはいけない」銘柄が急騰したため、2022年のESG投資は極めて不振でした。

【3】2024年ロボタクシーへの期待で上昇

 EVに逆風の環境となる中、ロボタクシーへの期待でテスラ株が急騰しました。

【4】2025年テスラ・バッシング

 テスラ・バッシングが広がり、テスラ株は下落しました。

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