年初から50%以上も上昇したプラチナ価格と、一時的にせよ関税に対する懸念が消えたことで、第2四半期以降にプラチナETFの売却と取引所在庫からの流出で市場に出た現物は約9.6トンにも上っている。しかし、これだけ大量のメタルが市場に出たにも関わらず、プラチナ市場は逼迫したままだ。
3ヶ月リースレートは25%を超え、ロンドンの相対市場は強いバックワーデーション、プラチナスポンジには再びプレミアムがついている。しかも、このタイトな状況は今後も続く予測なのだ。関税懸念が再燃し、NYの取引所在庫は再び増加傾向。中国の旺盛なプラチナ輸入もまだ続く。
現在の価格水準だと、エンドユーザーがメタル調達にリースではなく購入に転じるか、あるいはリサイクルや鉱山供給が増加するかしなければ、リースレートは下がらないだろう。ちなみに鉱山供給は今年第4四半期に増える可能性がある。
プラチナ市場はここ2年間大幅な供給不足で、需要の足りない部分は地上在庫(AGS)が補ってきた。その地上在庫は過去2年で約38%も減ったが、プラチナの価格はそれに反応していない。
というのは、保管庫から引き出されたメタルは、リースに使われ、一時的な流動性を提供したにとどまり価格には影響していないからで、市場の逼迫感を知る指標であるリースレートは2024年12月から上がり始めた。
関税懸念で米国市場は急速に順ざやになって取引所在庫の急増をもたらしたが、4月の「解放の日」にプラチナが関税対象でないとわかると、米国の取引所在庫はその後3ヶ月間で11.4トン減少した。
しかし、リースレートは2024年の水準(1%〜3%)には戻らなかった。このメタルの多くは中国のプラチナ投資需要と宝飾品需要を満たすのに使われたからだ。さらに、今年第1四半期は南アフリカの鉱山生産が洪水被害のために極めて低い水準にあったことも重なって、1月から5月のリースレートは5%から10%で推移する経緯となった。
図1.リースレートは今年に入り高い水準で推移
図2.NYMEXへの現物流入はETFの売りと一致
理論的には、リースレートが上昇すればメタルの調達はリースではなく購入すべきで、それが価格を押し上げるはずだ。ところが、プラチナ価格は6月に大きく上昇(+29%)したにも関わらず、リースレートは下がらなかった。
銅の輸入関税が発表されると、プラチナに対する輸入関税の懸念が再び持ち上がり、NYMEXの保管庫の現物は減少から一転、7月は6.5トン増えた。これは利食い売り狙いのETFの売却分8.6トンとネットベースでほぼ一致するが、ここ3ヶ月間のリースレートは25%を超えている。
プラチナ市場は今後どう動くのだろうか。次の四半期でETFの売りはさらに増えるだろうが、それでも市場のタイト感は解消しないだろう。中国では高騰したゴールド価格のおかげでプラチナの割安感が強調され、宝飾品と投資の分野の需要は堅調予測。南アの鉱山供給は、第3四半期に計画されている大規模なメンテナンスを経て第4四半期には回復すると考えられる。
年初から50%以上もプラチナ価格が上がったため利益確定狙いのETF売却が増えたが、市場の逼迫感解消には足りず
プラチナ市場は3年連続の供給不足の予測、地上在庫で需要満たす必要に
投資資産としてのプラチナを支える背景
-WPICのリサーチによると、プラチナ市場は2023年から供給不足が続き、2029年までに地上在庫がなくなる可能性
-プラチナ供給は、鉱山生産、リサイクルともに課題多い
-米国の関税で需要低迷のリスクも、宝飾品と中国の投資需要が補う可能性
-リースレートの上昇とロンドン相対市場のバックワーデーションがタイトな市場を反映
-プラチナ価格は長い期間過小評価が続きゴールドよりも大幅に安い
図3:プラチナスポンジのプレミアムが第2四半期に下落したのはインゴットの需要増を、7月に増加したのは自動車と工業分野がスポンジをめぐって競合したことを示す
図4:ロンドンの相対市場のバックワーデーションの拡大は足元の現物供給の逼迫を表す
図5:中国のプラチナ輸入は今年第2四半期に26%増加、放出された米国の取引所在庫を購入したと考えられる
図6:SGEの取引高はプラチナ価格が約50%上がった後に減ったがそれでも近年では非常に高い水準
図7:今年第1四半期の南アの精錬プラチナ生産は過去数年で最低水準
図8:NYMEX投資家のプラチナポジションは今年第2四半期の間にネットショートからネットロングに
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