米雇用統計ショックで米景気不安が蒸し返し、日経平均は一時4万円割れまで売られました。しばらく、上値の重い展開が続きそうです。ただし、深押しは想定していません。これで米利下げが早まりそうであること、日銀の利上げは遠のきそうであることから、下値は支えられると思います。例年通り8月は「夏枯れ」となりそうです。
※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の窪田 真之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米雇用統計ショック!日経平均どこまで下げる?」
気になる夏場のアノマリー:夏枯れ
今日は、日本株の夏場のアノマリー【注】について書きます。
【注】アノマリー
経験的に観測される株式市場の「規則性」。理由がはっきりしないものの繰り返し起こるパターン。
株式市場には、さまざまな言い伝え、アノマリーや格言があります。その一つに「夏枯れ」があります。夏場に株式市場の上値が重くなる、下がりやすくなる、というアノマリーです。なぜ、そうなるのでしょうか? 理由を考える前に、まず事実かどうか、過去のデータを検証しましょう。
以下は、過去30年の、日経平均株価の月別の平均騰落率を表しています。
<日経平均の月別、平均騰落率:1994年1月~2024年12月までの平均>
ご覧いただくと分かる通り、過去30年のデータで見ると、7~10月は毎年の平均リターンがマイナスです。
これはただの偶然でしょうか? あるいは、何か理由があることなのでしょうか?
ただの偶然ならば、今後も繰り返すとは言えませんが、何か理由があれば繰り返す可能性があります。
私は、理由があると思います。一番大きい理由は、米国株に「夏枯れ」の季節性があることです。米国株の影響を受けて、日本株も同じ動きになることが多いといえます。
米国株の季節性「セル・イン・メイ」
米国株に有名な相場格言があります。日本で「セル・イン・メイ(5月に売れ)」として知られる格言です。
Sell in May and go away and take vacation. But remember to come back in September.
「5月に売って(株式市場から)立ち去り、休暇を取れ。でも9月に戻ってくるのを忘れるなよ」
ユーモアあふれる表現ですが、要するに「5月に売って、9月に買い戻せ」という格言です。
この教えは有効なのでしょうか? まずは、米国株を代表するS&P500種指数の過去30年の月別の平均騰落率を見てください。
<S&P500の月別、平均騰落率:1994年1月~2024年12月までの平均>
米国株は、長期的に大きく上昇していますが、それでも、8月、9月はマイナスとなることが多いことが分かります。「夏枯れ」と言っても良いのですが、そうは言わず、米国の相場格言では「セル・イン・メイ」となっています。
これは単なる偶然でしょうか? 何か理由があって、こうなるのでしょうか? 私は、はっきり理由があると思います。
米国経済には、はっきりとした季節性があります。米国株は、毎年繰り返す米国経済の季節性を反映する結果、「セル・イン・メイ」のパターンを繰り返すことが多いと考えています。
米国経済が一番盛り上がるのは、クリスマス商戦のある10~12月です。クリスマス商戦明けの、寒い1~3月は経済活動が停滞する閑散期となります。4~6月から経済活動が少しずつ回復し、7~9月にかけてクリスマス商戦向けに作りだめし、10~12月が1年間の最盛期となります。
そのため、10~12月の米国株は大きく上昇しやすくなります。その反動で、1~3月の米国株はやや低調となります。4~6月は、次の10~12月に向けて経済が盛り上がる期待で、株価が上昇します。
ところが、4~6月に先取りして上昇した分、7~9月は安くなることが多いのです。そして、最後の10~12月に一年の締めくくりで、株価が大きく上昇します。これが、米国株のアノマリーにつながっていると思います。
米国の国内総生産(GDP)統計は、季節調整をして計算されています。従って、先ほど述べた季節性は、季節調整後のGDPの四半期別成長率に表れません。それでも、人々は肌感覚で、10~12月の盛り上がり、1~3月の停滞を感じます。それが、米国株のトレードに表れやすいと、私は考えています。
もちろん、コロナショックやリーマンショックなど激変がある年は、この季節性が働きません。季節性通りに動くのは、特別な出来事のない年です。
今年はどうか?
よく繰り返すアノマリーでも、毎年、必ず繰り返すわけではありません。とはいえ、今年も同じパターンとなるかもしれない現象が起こっています。米国株は、トランプ関税ショックからの回復期待をかなり先取りして上昇してきたためです。
期待先取りで上昇したため、夏場は調整しやすいと言えます。今年も「夏枯れ」があり、10~12月にかけて再び上昇するというシナリオも十分あり得ます。
以上、今日は、ファンダメンタルズの話は抜きで、アノマリーの話をしました。私は、長期的に日本株に強気ですが、今は、そんなに急いで買わないでも良いと思っています。夏枯れで株価がさえない動きをする中で、少しずつ時間分散しながら買っていけば良いと思います。
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私(窪田真之)は現在、朝8時にリリースされるレポートを、土曜日、月曜日、火曜日に執筆しています。トウシルYouTubeへは、火曜日と日曜日に出演しています。よろしくお願いいたします。
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